Chelsea Wolfe//Stephen O' malley (solo set)@渋谷O-NEST (11/9修正)

漆黒の新ゴシック・クイーンことChelsea Wolfeが日本に襲来!!
轟音フェスのLeave Them All Behindのエクストラという位置づけで、one-off headline showが実現! ゲストにはSUNN O)))Stephen O' malley(ステファンと書いてスティーブンと読む)の本邦初公開となるビデオ・インスタレーション作品のソロshowも実現! とのことで行かねばならぬと思い足を運びました。

  • Stephen O' malley (solo set)


人がまばらだなーと思いつつ(30〜40人いればマシな方)、ステージには大きなスクリーンが。やや15分ほど遅れて開演。スクリーン裏のステージで演奏すると思いきや、フロア後方でラップトップを操作していました。 すると突如轟音ノイズ・ドローンがフロア中に満たされ、なんとも張り詰めた空気に。スクリーンには凍結した氷が黒い水で融解していく様子が淡々と映しだされていく。時に激しく、時にゆっくりと融解。ただ融解。最終的には流れ落ちる雫が円を描き出す。まるでそれは波動のように。その雫が勢い良く穴に降り注ぐ。ただただ無情に。こういう形でドローンミュージックを視覚化しているのかな?と思ったり思わなかったり。もうそういう局面にも来てるのかもしれませんね。

なんでもこの作品はルクセンブルクの映像作家のGast Bouschetという方とNadine Hilbertとの共同作品なのだそうです(タイトルが「Unground」という。) もともとルクセンブルク国内にある、カジノルクセンブルクという美術館で行われるビデオ・インスタレーションイベントで公開される予定だそうで。様々なアーティストに楽曲提供してもらっていて、他にもいろいろ映像作品があるみたいですね。今回はそれに先駆けてスティーブンがライブイベントとして披露している所だそう。
音の方といえば、MerzbowやSkull flower直系のノイズ・インダストリアル/ノイズ・ドローンのような感じだったかな。結構音量も大きくて、床に置いていたカバンに振動がビリビリ伝わっていました。途中静寂が訪れたと思ったら、ドーン!という音とともにまたノイズ地獄(天国ともいう)苦笑。流石にこの時はビビった。
そして映像が早く終わってしまった(多分早送りしすぎた)のにも関わらず、更に15分ほど暗闇でドローンノイズが淡々と。この時は流石に堪えた・・・ 私はなんでこんなところにいるのだろうと自分を見つめなおそうかと←もうおせーよ!笑 そんなわけでスティーブンのthank you.の一言でソロショウは終了。貴重な体験を有難う!(様々な意味で)

余談ですが今回のショウには日本を代表するノイジシャンであるインキャパシタンツの美川さんも訪れていて、スティーブンと英語で談笑しつつ、自身のユニットのこないだ再発したBOXセットとアナログ盤をプレゼントしていました。本業が銀行マンであることは知られていると思いますが、スーツ姿だったので余計にそれっぽかったです笑 この時には暇だったのか、ツアーに帯同しているアッティラ・チハーやSUNN O)))の専属PAであり、かのMaster Musicians of Bukkakeのブレインであるランドール・ダン(!)も見に来ていました。

  • Chelsea Wolfe



混沌としたノイズショウが終わってスクリーンが片付けられると予め機材がセットしておいてあったので、10分程度でチェルシーウルフさんのショウがスタート。今日のセットは前日のSUNN O)))のサポートのときとは打って変わって八割アコースティック、二割バンドセットと言う感じでした。ヘッドラインなので特別だったのかな?これは嬉しい誤算!(明日のLTABも行くので)
白いベールを着込んだチェルシーさんを見て思った。この人背が高くてモデル体型だと。なるほど、だからファンション方面からも注視されるわけだと。
そんなこんなで一曲目は2ndアルバムの「Movie screen」から。(多分。うろ覚え。)スーッとヴォーカルから入り、導かれるようにバックバンドが演奏を紡いでいく。因みにチェルシーさん以外の三人はrevelator(リーダーはBen chiholm(Ba&Key)氏。爽やかイケメン)というバンドを組んでいて、今度あのConvergeのヴォーカルとして有名なジェイコブ・バノンさんのソロ名義ユニットwear your woundsと7インチスプリット(!)を出すそうです。
続いてはまた2ndから「Mer」をプレイ。歌詞がカットアップであるこの曲のPVでチェルシーウルフを知った人も多いでしょう。自分もそのクチです笑 

この曲もそうなのですが、ライブではほとんどの曲にアレンジが加えれていて表現力豊かだなぁと思った次第。よくポーティスヘッドとの類似点も指摘されていますが、音楽性だけでなくズブズブと落ちていくダウナー感覚も似ているのかなーと。
次からはアコースティックにアレンジを変えた曲が次々と披露されていきました。その時思ったのは何かとチェルシーさんのゴシカルイメージやアヴァンギャルドイメージが取り沙汰されがちですが、実際にはそんなことなくていちフォークシンガーとして筋が通っているとも思いましたよ。少なくともアコースティックナンバーではそれが凄く感じられました。そのアコ盤からふわっと優しい曲の「Flatlands」、これまたヴォーカルから始まる「The way we used to」、1stからアコースティックアレンジの「Halfsleeper」などなど。私的にHalfsleeperがハイライトだったかな。この曲は500枚限定12インチLPの「Live at roadburn」にも収録されてるんですけど、そちらのヴァージョンも素晴らしいので気になった方は早めに押さえたほうがいいです。
途中には明るい曲で新境地となる?新たにPVも作られた「Sunstorm」もプレイ。(日本盤のみアコ盤に初音源化)

この時はチェルシーさんがキーボードにスイッチして弾き語りしていました。曲後半にはBen氏もキーボードを弾き始め、連弾の様子に。
そんなこんなで本編が終了し、アンコールでは1stの一曲目の「Advice & Vices」を一人でエレキギターを弾きながらプレイ。※rudimentary peniの「Echo」だそうです。失礼しました。ややディレイがかけられて尚且つ単音リフの繰り返しにドゥームが引き合いに出される所以を垣間見ました。時々Pentagramのシャツも着こなしているし、ブラックメタルも好きだと公言しているし、メタルサイドにも注目される理由がなんとなくわかったような。

平日だしあまり人は多いとはいえない感じだったけど、自分を含む訪れたファンは一様に満足度は高かったように思いました。来て良かった!