In association with root & branch feat.Andy Stott@恵比寿リキッドルーム

昨年ピッチフォーク等の音楽メディアを初め、様々な称賛を得た傑作『Luxury Problems』を引っさげてAndy stottが待望の来日!そして今回はゲストにあのDJ KRUSHがミニマル・ダブセットを引っさげて参加! というわけで行って来ました。

Andy Stott / DJ KRUSH / Flying rhythms(途中から)

会場に一時間半ぐらい遅れて入場したのですが、フロアに入ってステージを見るとそこにいたのはドラムと民族楽器!? その二人組(実際には三人組らしい)がFlying rhythms。日本人の生ドラムと黒人のジャンベやコンガなどの民族楽器を用いたパーカッションと絡み合って、トランシーかつダブィに演奏されていました。電磁パッドも使っていたかな?ミニマルかつトライバルなビートが織りなすグルーヴ感が凄かった。えーと、時々思うのですが、やっぱり生の打音は(打ち込みと違って)音の強度と質感が違うよなぁ・・・っていう。これは思わぬ発見だったのでまた見たいなぁ。



日本を代表するミキサーであり、御年50歳を迎えもはや円熟の極みに達しつつあるDJ KRUSH。今回はイベントの趣旨に合わせ、ミニマル・ダブセットで挑むことに。まじまじと見たのは今回が初めて。実は去年のエレグラでも見る機会はあったのですが、タイミングが合わなくて断念。で、プレイの方はどうだったかというとストイックそのものでした。とても実直なフェーダー捌きとチョップ&スクリュー。昨今のDJだとCDJやラップトップDJ(流石にUSBDJはどうかと思うな・・・)も増えてきた中、ヴァイナルにこだわってプレイしているのはやはり流石。音の方はディープなミニマル・テクノそのものでしたね。程よく硬質でアッパーななビートで自然と体を揺らされましたw

  • Andy stott




時は23時過ぎ。そんな頃に漸くAndy stottが登場。ハゲてる人だと思ったらとうとうスキンヘッドに・・・w ステージ中央にはラップトップとMPCが。そして裏には前から用意されていたスクリーンがあり、初めにはどんよりとした曇空が映しだされていました。ズズズッと足元から低音が響き渡る中、「Passed me by」より"new ground"でゆる〜くスタート。ははーん、こういうどろ〜んとしたノリか、っていう。それでもやけにビート感はある。そのためか思ったよりインダストリアルノイズ成分はやや薄め。「Passed me by」や「We stay together」から何曲かアレンジを変えてプレイされたあと、会場に「ターッチ・・・ターッチ・・・」と女性の声が響き渡る。そう、「Luxury Problems」から"numb"をプレイし始めた。その時は確かにフロアもオオーッ!と湧いていたような。アルバムとは打って変わって大分ダブビート感強めだったかも。そうしてまた何曲かプレイされた後にはまた「Luxury Problems」から"sleepless"を披露。個人的にもとても好きな曲なので嬉しかった。あの段階を踏まえてジワジワとビートが迫ってくる感じが多少アレンジを変えながらも再現されててやや興奮w なんというかこれもまた自然と体を突き動かされる感じだった。そして聴きながら踊っていると妙に背徳感があるのも事実。これはこういうものなんだろうと。また何曲かプレイされて終盤の頃には、・・・ドラムンベース??? そうだ、これは「Luxury Problems」の"up the box"だ・・・ これも好きな曲ではあるけれど明らかにアルバムの中では異質な曲。そこでぼくは思った。Andy stottは「踊らせる」DJなんだと。それからダンサンブルなビートも飛び出し、前半と打って変わって明るい曲調に。そんな高揚感で胸いっぱいになった頃にAndy stottのプレイは終了。確か24時を過ぎていた。
全体的な感想。インダストリアルやドローンやアンビエント成分も薄め、アルバム「Luxury Problems」の全体を纏っていたウイッチハウス的な呪術成分も薄めで基本的にはダブテクノなんだろうと。他の要素はあくまで味付け程度なのか・・・? などと途中まで疑念に思っていたが終盤辺りで納得してしまった。期待した、出されたものに対して異物感はあるがこれはこれでまぁいいか・・・と思わされたのもまた事実。そんなAndy stottのショウでした。