BIG LOVE Presents"ONE"Vol.7@原宿アストロホール


原宿の外れのマンションにて営業している国内有数のインディペンデント・レコード・ストアであるBig Love Records。レーベル運営もしていてまだ無名な新人を発掘し送り出す手腕も評価されています。そのBig Loveがライブイベントを企画するということで。(主催者の仲真史さん曰く、誰もやらないから俺がやる!みたいな心意気だそうです) 今年2月にもイベント(VÅR / LUST FOR YOUTH / PHARMAKON出演)があったのですが、例によって歴史的な豪雪で電車がストップして行けなかったのですよ!なので私的にはリベンジ的なフシがありますね。
今回の目玉は個人的に注目していたネオ・エレクトロニック・ボディ・ミュージック(ネオEBM)と評されるインダストリアル・リバイバルを担う一角、Youth Code!!どうしても見たかったのでお金が無いのに無理くり参加です!会場に入ると結構な人が。あまりにもコア過ぎるメンツなのでガラガラかな?と思っていたのでちょっと驚き。支持を集めてるんですねー。フロアではアートデザイナー兼ヴィジュアルクリエイター兼レーベルオーナー(Teenage Teardrops主催)のcali thornhill dewittがLAパンクなどをガンガンプレイしていました。ちょうど同じ頃に自身の個展も開いていたのでバーター出演でもありますね。

では感想など。

  • Domenic Palermo From NOTHING


シューゲイザーブラックメタル的要素を散りばめブラックゲイズやメタルゲイズとも評されるバンド、Nothing。その中心人物であるDomenic Palermo氏がひょんなことから単身来日。当初は元々イベントに出演予定が無かったそうですが、せっかくなのでということでソロ・アコースティックセットを披露してくれる事に。ドメニク氏がギターを抱えつつ歌い出す。シューゲ意匠らしい強弱を付けたメリハリのある演奏でしたが、いい意味でどこか大味でもありw (本人曰くアコースティックライブをしたのは生涯二回目だそうな)目下最新作の「Guilty of everything」から"Hymn to the Pilloy"や"Bent Nail"、そして最後にはPJ ハーヴェイのカヴァーも披露してくれました。僅か20分程でしたが、次はバンド編成で来て欲しいですね!

  • Youth Code




あっという間にセットチェンジが終わりメンバーのライアン・ジョージとサラ・テイラー(以下ライアンとサラたんでw)が登場して機材のセットアップを試みようとしたところ、初っ端から不具合が・・・w 一瞬不穏な感じになりましたが、直ぐリカバリーしてライブがスタート。一曲目は1stアルバムの「Youth Codeから」"Wear the Wounds"だったかな。(もしくは新作EPの"To Burn Your World"だったかもしれない)あまりにもモロ過ぎてback to the 90sとしか思えない削岩機のようなぶっといボディービートに合わせて、"FUCK IT"と書かれたTシャツを着たサラたんが跳ねる!叫ぶ!身振り素振りをしながらステージを駆け回り、集まったファンにアジテート!おまけにマイクを額にゴツゴツ叩く!首から足までビッチリタトゥー入れてる女の子とはいえ、ここまで過激なパフォーマーだったとは。ちょっとビックリ。(実は元ISISのアーロン・ターナー所有のレコードストア、Vacation Vinylの店員だったりする)
対するMinistryの「The mind is a terrible thing to taste」のジャケがプリントされたシャツをタイトに着こなすライアン。そんなTシャツ着ちゃってもうバリバリインダストリアル・リバイバル感あるじゃないですかw そのライアンですがシンセや様々な機材をマニピュレーションしつつも、時折気合の入ったスクリームを聴かせてくれる。特にマイクを握りつつ、もう片方の手を上に掲げているムーブはConvergeのジェイコブを彷彿とさせる感じがありましたな。そしてサラたんとのスクリームの掛け合いもバッチリ決まっていました。実はこの人って現行のモダンハードコア勢に多大な影響を与えている伝説的ストレートエッジハードコアバンドCarry Onの元ヴォーカルだったりするのです。(バンドはライアンがブレイクエッジして解散、同バンドメンバーの有名ドコロでNailsのトッド・ジョーンズ先生も在籍していた) そういうところを踏まえると感慨深い方もいる?んじゃないでしょうか。中でも「"destroy"said, She」という曲でライアンがデストローーーイ!!!とスクリームする場面では軽くアタリのアレック・エンパイアを超えてましたね。(最近日和った感のあるアレックよりも明らかに上だと確信した) 途中のどの曲かは忘れましたが(;´Д`)、ライアンがサラたんとスイッチしてステージ前でスクリームする場面もありましたね。昔のノイバウテンブリクサほどでは無いですが、とてもタイトな体型で細い!やっぱりConvergeのジェイコブさんの姿がダブるような・・・w
ライブの中盤ではサラたんが「全世界で初めて新曲をライブでやるよー!今日来た人はツイてるねー!(超訳)」と告げて新作EPの「A place to stand」より、かのピッチフォークでBEST NEW TRACKに選ばれた"Consuming Guilt"をプレイ。これがまた全盛期のスキニー・パピーを彷彿とさせるハンマービート&ボディービートが炸裂して異常にかっこいい!そしてスケール感のあるシンセの音色が被さったコーラスパートも含め何もかも決まり過ぎ!これはみんなガツンとやられる訳だわ・・・ 思わずビートに合わせて拳を振りかざしてしまう自分。やはりルーツには抗えないなー(苦笑)
(他にも数曲やりましたが失念)ラストはPVも作られた"Carried Mask"で締め。何と言ってもこの曲の見どころはコーラスパートでNever Fuckin' Die!!と復唱されるところでしょう。打ち鳴らされるビートと共に繰り返しネヴァ!ファッキン!ダーイ!とスクリームしてアジテートするサラたんはマジにクールでしたわ。もう正に
EBM NEVER FUCKING DIE!!
って感じですわ。というわけでライブは正味30分ぐらいとあっという間に終了。うわー、また見てー。ここでですよ、Youth Codeのライブを見て強く感じたのはやっぱりハードコアの影響なり源流なりがはっきりパフォーマンスに現れてるなっていう。昔のEBM勢がややフィジカルなパフォーマンスに欠けていたのに対し、コチラはアグレッシブさとダイナミズムが桁違いなんじゃないかと。(ライアンのムーヴがConvergeを彷彿とさせる感じもあったし)まぁ、べた褒めなんですがそれくらい良かったってことでw

  • Girlseeker


ラストはGirlseekerです。まずみんな誰?って思うでしょう。そもそもシングルやアルバムすら出てませんしね。デンマークにPosh isolationというレーベルがありまして。そのレーベルといえば今をときめくインディー・ロックの新星ICEAGEのメンバーなどが中心になってやっているところでして。で、そのレーベルからはレイジングハードコアバンドのSexdromeや、Sexdromeの元メンバーを含みSacerd BonesよりデビューしたニューウェーブポップバンドのLust for youthや、先日MatadorからデビューしたLowerなどを輩出したことが目ざといインディー・ロックリスナーに知られています。で、そのGirlseekerにはICEAGEやSexdromeのメンバーが在籍していたり、Lowerのメンバーが関わっていたりする隠れたスーパーバンドだったりするわけですよ!ごく一部で神格化されていた凄いマニア向けバンド!遂に来日!っていうフリでしたw
くっそ長いドリーミーなイントロがフロアに響き渡る中、遂にメンバーが登場!メンバー二人の白い出で立ちを見て、君ら80年代ポップスからタイムスリップしてきたのかよ!と第一印象。そして演奏が披露されるがいなや、強く感じたのはとにかく緩い!あま〜いあま〜いニューウェーブポップサウンドを奏でているのですが、どこか緩い!そしてICEAGEなどにも通じるローファイっぽさがきっちり引き継がれていてなるほどなるほど〜と思った次第。みんな曲もまともに知らなくてどこで盛り上がっていいのかもわからなないのに何故か受けている!不思議すぎるwww とまぁ、絶妙な空気感で盛り上がっていたのですが、僕は終電の時間もあるので途中離脱。
なるほど、とてもコア過ぎるライブ・イベントでしたがとても楽しめました。またコアなラインナップをBigloveさんに期待したいですね!