Boris "Live noise alive"@新代田FEVER

重音と轟音と爆音の極致

やって参りましたこの日が。今更説明不要な日本のヘヴィロック・トリオのBorisが、久々の大文字名義BORISで新作の「NOISE」をリリース。そしてリリースに先駆けて新作を全曲披露するというワールドプレミアを行う(!)ということで万難を排して足を運んだわけです。更にオープニングゲストには日本が世界に誇る金沢の暴虐Hardcore rockバンドこと、GREENMACHiNEが参戦!昨年再結成をを果たし、今年から本腰?を入れて活動していくようでこれほどグッドタイミングであり好対バンな相手も居ないでしょう。

めでたいことにこの日はソールドアウト。そりゃそうでしょう、こんな機会逃したら死んでしまう!
以下バンドごとに感想などなど。

  • GREENMACHiNE



SETLIST
1.ON
2.Muddy
3.Red Eye
4.Cunt Maniac
5.Narrow
6.D.A.M.N.
7.Burdens of Karma
8.Slug
9.Black Summer
10.Anima
11.Fire Never Ends
12.Hammer And Burner
開演を前にしてフロアは既にパンパン。こんなFeverなかなか見れないな(;´Д`) そして時刻は19:10を回ってやや押したところにGREENMACHiNEのメンバーが登場。あれ四人?(それは後述) 
改めてバンドの歴史をざっくり振り返ると、1995年に結成し、1stアルバム「D.A.M.N.」を海外のストーナー系レーベルの名門Man's ruinよりリリース。そして続く2ndアルバムの「The Earth Beater」を同レーベルよりリリースした後解散。その後2003年に再結成を果たし、2004年にDiwphalanx recordsから「The Archives of Rotten Blues」をリリースするものの、金沢というエリアの難しさ故の問題なのか2006年に再度解散。(因みに今や伝説となっている2006年10月に行われたWizard's Convention下北沢シェルター3Daysの最終日に解散ライブを行い、その模様もDVD化された) 2010年に地元で一夜限りの再々結成ライブを行うも、沈黙は続きました。それから自体は急変。2013年の5月に再再再結成ライブを行い、それ以降「当面のライブの予定はない」と周囲をヤキモチさせるのも束の間、2013年後半には関西方面で幾つかのライブをこなし大々的に復活をアピール! そして半年経った6月に複数のライブをアナウンス!それで今に至る、ってとこですかね。
関東では長らくライブをしていなくて、八年ぶりって感じですか。そしてBorisとは同期で何度も共演していて、互いにストーナームーブメントを牽引して漸くここで・・・!っていう。前振りが長くなってしまった。一曲目はD.A.M.N.からのON。久々の挨拶代わりに一発かますぜ!ってムードがプンプン。そしてMuddyRed eyeで繰り出された地を這う超弩級のスラッジ・ロックンロールで悶絶。これはすげーな・・・ 全くのブランクを感じさせないパフォーマンスに唖然。気迫のこもった演奏による圧倒的な熱量で攻め立ててきてFever大炎上ですわ・・・ えーとそれでそう、メンバーについて。コアメンバーであるドラマーのDatsuさんとギター・ヴォーカルのMonzawaさんに加え、昨年からの再始動メンバーとして初期のベースプレイヤーだったYoshikawa氏(通称:将軍)が復帰。そして更には同じ金沢のハードコア・メタルバンド、The DonorのMAX氏がセカンドギターとしてサポートで加入。という新旧の血を通わせた四人編成となっているのでした。今が最強や!(個人の感想です)
そして四曲目には情念のハードコアチューンCunt Maniacで再度屈服。それからNarrowD.A.M.N.におけるあの時代のストーナー・ロックが勃興した空気感を音に封じ込めて尚且つ、今でも全く古びていないどころかビルドアップされている印象すら受けました。グルーヴィーで業の深いサウンドだ・・・ ここで思ったのはMAX氏の貢献度の高さ。コアメンバーの演奏スキルは言うまでも無いですが、サポートというのでリズムに徹するかと思いきや、中々に良いギター・ソロを聴かせてくれるではありませんか。リフもブリブリ鳴らして最前列右端で見ていた私のお腹にもガッツリ重低音が。 右のフロア袖の方を見るとネペンシスの根岸さんがエアギターで応戦していて微笑ましかったですw と、ここまでD.A.M.N.をアルバムの曲順通りにやっていたので当然次は2ndアルバムのThe Earth BeaterよりBurdens of Karma。アップテンポなリフの応酬!思わず自然とヘッドバンギングしてしまう!続く軽快なヘヴィロックソングSlugと来て次は
Black Summer!!!!!
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
そうだよ!!コレを待ってたんだよ!!コレをどれほど待ったか!最高の夏!!最高の初夏!最高の黒い夏!Black summerの夏!!3rdアルバムのThe Archives of Rotten Blues一曲目である豪快ハードコア(ブルース)・ロックチューンで会場は大興奮!!Fever大炎上!!モッシャー&クラウドサーファーも出現!!最高すぎてもうなんとも言えないこれは。続いてAnimaFire Never Endsとハードコアソングが続き焼きつくされんばかりのパフォーマンスにたじろぐ私。ラストは爆走ロックンロールチューンのHammer and Burnerで全て焼殺しかねん勢いで吹っ飛ばしていきました・・・ 
もう笑うしか無いねコレw 比類の無い圧倒的なパフォーマンスをまざまざと見せつけた正味50分なのでした。改めてセトリを見るとバンドの歴史を順に追っていった組み立て方ですね。欲を言えば2ndから二曲しかやってないし、もう少しやって欲しかった気もします。だからねぇだからねぇ、うおおおおおまた関東来てくれええええ!!!!

事後。

GREENMACHiNE終演後、一度暗幕が閉められ転換へ。この時点でもう耳がキーンとなっててダメージが・・・w やや時間がかかるかな?と思ったものの、20:30ぐらいには開演。案の定初っ端からブワーッとスモークがががが。

SETLIST
1.黒猫メロディ
2.Vanilla
3.あの人たち
4.雨
5.太陽のバカ
6.Angel
7.Quicksilver
8.シエスタ
アルバム再現(初お披露目)ライブなので当然一曲目は黒猫メロディから。抗いがたいキャッチーなコーラスやメロディを主軸としつつも、それと相反するようにベースラインがグラインドして鳴り響いて体(鼓膜)を震わせ、轟音のハーモニーを放出するといった感じでしょうか。挨拶代わりとして、ライブでの一曲目のつかみとしてはとてもいいと思いました。続いてリードトラックでありミュージックビデオも作られたVanillaへ。PINKやメッセージやフレアのような系統の王道ロックソングですが、ある種の突き抜けたポップ感覚が非常に中毒性を喚起してくれます。そして忘れてはならないのが曲後半のビッグなブレイクダウンから飛び出すSleep直系のストーナーリフ。過去にもHeavy friendsやあくまのうたのようなストーナーチックな曲はありましたが、ここまでモロだと思わず笑ってしまう。これメジャーフィールドで響かせてるってと思うと感慨深いですな。このアルバム冒頭二曲を実際に体感して思いましたが、メジャーに行って培ったポップ感覚が漸く結実を見たかなぁと。そのメジャーリリース一作目のの「New album」は本当になんだかよくわからなかったw「メジャーリリースってこういうもんなんでしょ?」と意図したのかある意味で実験的なアルバムでしたし。「(従来のファンには)拒否反応が起きても当然」とかAtsuoさんが語ってような覚えもありますが、今となってはアレが私達にとってのノイズなんだろうと。そういう風に結論づけてますね、私達にとっては。

三曲目はあの人たちサイケデリックなメロディに包まれてしっとりと歌い上げるこの感じはどことなく栗原ミチオさんとのコラボ作の「Rainbow」に収録されていても違和感が無いし、SMILE収録の花・太陽・雨(PYGカヴァー)にも近い印象を受けます。歌モノだけどエクスペリメンタル、みたいな。それからへ。冒頭で何度かチューニングを合わせていてやたらビガガガッ!と鳴ってて不失者みたいに聴こえていたので曲の一部か!?と思ったけど違ったよね`,、('∀`) '`,、 いつものか細い声でwataさんが歌い出し、はち切れんばかりのヘヴィーなスラッジリフ(SMILEの"タイトル無題"のラストによく似たリフ)が轟音を響かせて静寂を打ち消す。静と動のコントラストというよりは絶妙なアンバランス感が息をつく暇もない空間を形成している、という印象を受けました。特に静寂からのドカーン!とダイナミックな展開には思わずヒエッ・・・と竦むような気分に。MogwaiのFear satanとかCorruptedがよく演るようなアレですよ。体に悪いよコレはw 次は太陽のバカ。これがまたらしくないポップソングでw もうなんかロキノンくさいっつーかギターロックっつーか・・・うん。(ギターロックってなんだよ!!!ロックってギターで演るもんじゃねーのかよ!!!) これもNew albumに入っていたような(Boris)らしくなさを楽しむ曲なんでしょう、きっと。我々は試されているのだ! と、五曲目が終わって一度ブレイク。ここでAtsuoさんがMCを。「えー、こんばんは。ここまでA面とB面が終わりました。それでは引き続きお楽しみください。」(うろ覚え)と言っていました。曲順もやっぱりアナログ盤ありきで考えていたことが伺える発言ですね?アルバムをサラッと聴かせるテンポも大事ですしね。

ライブも中後半にに差し掛かり、長尺曲のAngelへ。クリーントーンのギターの音色がフロアへゆったりと鳴り響き、それと呼応するようにドラムも歩調を合わせて叩き出す。(ここはfloodっぽい展開)独特の不安定なTakeshiさんの歌声が張り裂けそうな緊張を紡ぎ出していく。wataさんの長めのギターソロが華を添え、強く歌い出したと同時にサウンドもピリオドへとゆっくりと進んでドラマティックな方向へ。(ここはfeedbackerを想起させる)そしてバンドの新たの境地とも言えるオーガニックな展開を迎え、トレモロリフがポストロック/シューゲイザー的なアプローチで空間を埋め尽くす。本当に気持ちが良かったな、ここは。だがも束の間の一時であり、不意に冒頭と同じメロディへ回帰して終焉を迎える。ってとこですかね。大抵の場合、今までの感じだとこういう曲は一番最後に持ってくるかと思うのですがあえてここでっていう。がっつり堪能させていただきました。続いて狂乱のスラッシュメタル・ポップナンバーのQuicksilverへ。猪突猛進で突っ走るこの曲でモッシャー発生w やたらとなんか漢くさいシンガロングパートも笑ってしまうほど良い。しかし何でしょうここまで分かりやすく2ビートで疾走するこの曲に変な違和感を覚えるのはw スラッシュメタルやってみました感凄い。まぁ、かっこいいので良いのですけども。過去にTorcheとのスプリットで"Luna"っていうブラックメタル・ポップソングがありましたけど、それに近い印象も。あとPINKの俺を捨てたところ(今更ながらブログ名はこれから取った)〜SMILEの枯れ果てた先〜New albumのTu,la laと同じ系譜に連なっているとも感じました。曲の終盤では皆さんお待ちかねのスラッジ・ドローンパート。Atsuoさんも立ち上がってfloodのライブでもお馴染みのエフェクターオシレーターかな?)をかざしてノイズ大噴射の爆音ホロコーストタイム!当然というか恒例行事というかAtsuoさんがステージ前に現れてイーヴルホーンを掲げつつ、クラウドサーフを敢行!

ある程度のところまで行ったら押し戻されるっていう、絶妙なファンの空気の読み方と息の合い加減w そして戻って演奏は続き、締めのシエスタへ移行した先でハプニングが。イントロを少しやったところで
(アンプの)電 源 が 落 ち ま し た
今年の1月にUFO clubでラストにVomitselfを演った時も途中で電源が落ちたそうなので、ある種の芸風化しつつあるのかもしれません(?) 当然アンコールも無しでライブは終了。正味70分ぐらいだったかな?という訳でアルバム完全再現ならずで無念!次は9月に代官山UNITでリベンジですかね。7月下旬から8月下旬までアメリカでヘッドラインツアーをこなしてからの凱旋ライブになるので、また一層ブラッシュアップしたものを提供してくれるはず。
両者ともに現在進行形で鳴るべきところで鳴るべきを音を鳴らすバンドの最高で最高なライブでした、と。

↑物販で売っていたGREENMACHiNEのGODFLESHのS/Tリップオフシャツ。思わず衝動買い。