Earth@新大久保earthdom

ネ申 再降臨!
ヘヴィードローン・ゴッドにして、最近はダークアメリカーナ路線を突き詰めたことをやっているEarth=ディラン・カールソンが再び日本の地を踏む!。前回から一年と九ヶ月ぶりの来日かな。ヘヴィーな側面に揺り動いたとされる新作のリリースを9月に控え、今回のツアーで新体制及び新曲も交えた新機軸を見せつけてくれるということなので行かねばなるますまい!ということでレポ。

  • 感想

遅れて会場に着いたのが19:15分ぐらい。既にオープニングゲストのNepenthesが得意の泥酔ドゥームメタルをプレイしていました。

とりわけヴォーカルの根岸さんの5時からのドゥームメタルな見てくれで暴れる様は最早恒例となってきた感じがw ギターのSUTOさんも「オラ!酒よこせ!」と言わんばかりに最前のファンとボトルを回し飲みしていたのも印象的。毎度のことですが、まだデモ一枚しか出してない新人()バンド(今更言うまでもなく玄人揃い)なのに演奏に安定感あって凄いなー。デモ未収録の新曲もいくつかやっていたのでフルアルバムはよう!そういえばライブ終盤で根岸さんが振り回してたマイクがコードからスッポ抜ける→誰かの頭に当たる→自分の手元に転がるという珍事がw ステージを見上げたら根岸さんがコードに声出して歌っていたし、なんだこれwww ともあれ珍事も含め楽しいパフォーマンスでした。
何故かBGMにマッシヴ・アタックのメザニーンが流れる中、次はもちろんEarthです。今回はディラン(Gt)とエイドリアン・ディヴィス(Dr)に加え、今回はアシッドフォークグループのJesse Sykes & The Sweet Hereafterのメンバーであり、SUNN O)))&BorisのAltarやEnsemble Pearlにも参加しているシアトルコミュニティとしても名高いビル・ヘルツォーク(Ba)が参加。このビルの見た目が言い方が悪いように取られるとアレですが、レッドネックまんまの田舎の白人っぽくてヤバい。オリバー・ストーンのUターンに出てきそうな風貌。背が高くてガタイもいいし。あとディランの見た目ですがなんというか、ますます髭の生え具合が増して仙人というかドローンメタルの翁化しつつw すこぶる体調は言いようで何より。 オールドスクールメタルのパッチを貼り付けたジャケットを着ていましたが、バックパッチにカスカディアンブラックメタルとして名高いWolves In The Throne Roomのやつデカデカと貼り付けていて意外だなと。そういえば過去に一緒にツアーしたことがありましたわ。エイドリアンは前回同様パワフル姐さんですので何卒。そしてメンバー自らセットチェンジ&サウンドチェックを行い、20:30ちょい前ぐらいにライブがスタート。



セットリストはこんな感じ。
1.Badger's Bane(新曲)
2.Even Hell Has Its Heroes(新曲)
3.Old Black
4.There's A Serpent Coming(新曲)
5.The Bees Made Honey In The Lion's Skull
6.Rooks Across The Gate(新曲)
7.Coda Maestoso in F(Flat) Minor
8.Ouroboros Is Broken
9.タイトル未定の新曲

一曲目は前回の来日公演でも披露していたBadger's Baneから。流石に聴くのは三回目なのでイントロで分かりました。反復を基調とし、哀愁と黄昏感に満ちたダークアメリカーナチューンとでも言うべきサウンド。そして間髪入れずに新曲のEven Hell Has Its Heroesへ。この曲もアメリカーナ路線を踏襲した曲なのですが、やたらダウナーなコード進行に昔の影がちらほらと。あとギターをより動かしてフィードバック音を響かせていたのも特徴的。この曲の時だったか、ビルがベースを叩いて音を出していました。近年のEarthの特徴とでもいいますか、やはりメインはディランのギターフレーズの反復なのであくまでベースは縁の下のちから持ち的ポジションなのかなとベースプレイを見ながらぼんやり。
見た目のお陰でやや取っ付きづらい印象のあるディランですが、喋ると意外と声が高くて温和なおじさんと化す彼が一言。「今日は来てくれてありがとう。この曲はOld blackだよ。」と告げて前作の"The angels of darkness,Demons of light 1"よりOld blackを。前回の来日でもプレイしていた曲ですが、今回この曲ではややヘヴィーな意匠にアレンジを加えられていて、メロディーラインを抑えつつディストーションを加味した感じになっていました。元々チェロもフィーチャーされていた曲ですが、骨格が見えてきた、そういう印象を持ちましたね。それからまた新曲のThere's A Serpent Comingへ。この曲ではとにかく残響を重視したサウンドだったかと思います。珍しくギターを掲げて振ったりしてフィードバックドローンを鳴らしていたのが記憶に残っていますよ。そういえば例のギターについて。前回来日した時に「世界各地に預けておけば(来日した時に)何時でもプレイ出来るじゃん?」という理由で赤のハグストロムをDaymare Recordingsのボスに預けていまして。それで今回使ってましたが例のかわいいキャラクターのステッカーも健在w一部Twiter周辺でも話題にもなりましたが、アレはトキドキっていうキャラクターブランドなのだそうで。ディランってこういうの好きなんですね。だからといってディランはかわいい物好きの変なおっさんとかそういうツッコミはよしておくれ!w えーと、もっとも最近使っているのはエピフォンのSGだそうですが、今回は見当たりませんでした。
次にプレイされたのが前回の来日で個人的にハイライトでもあったアルバムと同タイトルのThe Bees Made Honey In The Lion's Skull。この曲といえばアレですよ、ディランがひたすらフィードバックノイズを延々と垂れ流しつつ、エイドリアンがドラムスティックをタクトのように振りタイミングを合わせて皆一斉にブレイク、というフレーズの繰り返し。そう、これを見に来たんだよ!!とりわけディランが本当に楽しそうにギターをブンブン振りまわしたり掲げたりしていたのが微笑ましかったですw やはりオリジネーターが鳴らすフィードバックドローンは格別ですね? 続いて新曲のRooks Across The Gateへ。この曲もダークアメリカーナ路線の曲なのですが、時折意表を突いたようにミュートしたりと面白い曲でした。そしてここでもややディストーションを重視しているようにも聞き取れましたね。そして次は"Hibernaculum"EPよりCoda Maestoso in F(Flat) Minorを新たなイントロを加えてプレイ。まぁ、プレリュードみたいなものでしょう<新イントロ ダークでもの悲しげなメロディを奏でつつ、徐々にディストーションが増して重厚なサウンドに変貌していくイントロ。正直これだけでも曲として出せばいいのに!とも思えるぐらい完成されてました。その重厚な前奏を経て本編に進行していきますが、ここでもやはりディストート強めといった印象。サウンド。の変化がバンドとして新たなフェーズへと移行しているのが窺い知れますね。
やはりというか当然本編ラストはバンドとしてもクラシックソングであるOuroboros Is Brokenを披露。ここでもまた新出のイントロを経てプレイされていました。「この曲はOuroboros Is Brokenダヨー」ってディランが言って違う音が流れてきたので???とはなりましたがw そのイントロを経て一発目から豪快に
デーン!!!
とビッグなリフを鳴らして来たところで思わず鳥肌立ちっぱなしですわ・・・ そうだよコレだよコレ!これを見に来たんだよ!!! なんかディランもフィードバック効かせながら白目剥いてたけどこっちも白目状態だよ!!!この曲ではかなりディストーションを強めて1st収録の原曲に近からず遠からずであり、再録版とも違うアレンジで演奏してて目からウロコ。独特の殺気が音から発せられていました。元々殺伐とした曲ですが、原曲を聴いた時にうっすら思っていたSaint Vitus(言わずもがなドゥームメタルのパイオニア)直系の地を這うようなヘヴィーさに確信が持てましたわ。(EarthはSaint Vitus直系だろ!と自分で勝手に思っている。実際バンド初期ではカヴァーもやっていたらしい) 
アンコールでは「今日は来てくれてありがとう、今から演るのはまだタイトルが決まって無いんだけど、別の何かのサントラに収録されるかもしれない。OK、それじゃあやってみようか。」と告げられてプレイされたのはタイトル未定の新曲。この曲はドローンと言うよりもひたすらミニマルにフレーズを重ねるダークアメリカーナソングでしたね。Earthというよりもディランのソロ名義のDrcarlsonalbionの楽曲に近い印象も持ちました。
これにてライブは終了。終わってみれば二時間弱たっぷりやってくれた事に驚き。今回はバンド(ディラン・カールソン)がヘヴィーなサウンドへ移行しているのを肌で感じられたいい機会でしたね。これは新作も期待できると感じられた良いライブでした。