上半期ベスト13枚+α

はーい、意識の高い()音楽クラスタ()がこぞって何故かアピールしている上半期ベストの季節がやってまいりましたよ。円安は続くはUSPSは値上げするわ、消費税は上がるわ(安倍SHINE!!!)で買えてない新作とかデジタルで買うしかない状況に追い込まれていますがまぁなんとかやっています(;´Д`) という訳で昨年に引き続き13枚をピックアップ。今回もアルファベット順で。
※バンド名・アルバム名・リリースレーベルの順(国内盤が出てれば両方表記&太字表記)Bandcampかsoundcloudのリンクもあれば追加。
【上半期ベスト13枚】

  • Ben Frost - A U R O R A [Mute Records/Bedroom Community/Traffic]


オーストラリア出身で現在はアイスランドレイキャビックを拠点として活動している電子音楽家による4thアルバム。第一印象でいえば昨今のポスト・インダストリアルの流れを組んだややノイジーアンビエントと、メタルパーカッションが織り交ざった電子音楽とでもいいましょうか。こう、インダストリアル化するチルウェイヴといった印象も。昨年リリースされたPete swansonのPunk authorityに近い肌触りでもあります。特にシューゲイジングするノイズと反復するメタルパーカッションが交錯し、飽和を迎える#2、メタルパーカッションがポストロック的ダイナミズムで展開される#4、MogwaiにLiturgyが憑依した(実際にLiturgyのGreg Foxが参加)としか言い様がない苛烈なブラストビートにぶっ飛ばされる#5、SwansのThor Harrisがパーカッションで参加して華を添えつつトライバルなビート冷徹の反復される#6など聞きどころ満載。どちらかと言えばインダストリアル系が好きな人よりもポストロック/ポストメタル/シューゲイザー好きは聴いてほしいと思う。2014年ならではの電子音楽でした。
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  • The Body - I Shall Die Here [RVNG/Diskunion]


00年代以降のドゥームメタルの爆心地とも言えるアメリカのオレゴン州ポートランドで活動するスラッジメタルデュオが、暗黒ドゥームテクノことThe Haxan CloakのBobby Krlicをプロデューサーに迎えて制作されたアルバム。通算五枚目。昨今のポスト・インダストリアルブームはとうとうドゥームメタル界隈まで伝染した模様。The Haxan Cloakの場合、元々Aurora BorealisからデビューしていてSUNN O)))のスティーブン・オマリーと親交があったりとテクノ畑の住人ながらもそう遠くないフィールドにいたわけで遂に具現化したか!っていう。The Bodyの方も聖歌コーラス隊のAssembly of Light choirとコラボレートして暗黒舞踏ドゥームメタルを繰り広げたり、某オウムの尊師の声をサンプリングしてサリンを讃えたりなど頭のネジが弛んだヤツラですが、実際今作はどんな感じになったかといえばわりかし予想通りなインダストリアル色強めのドゥームメタルといった感じに。ゆっくりじっくりなぶり殺される陰鬱なスラッジソングの#1,もはやホラー・ドローンドゥームな#3、リードトラックとして発表されてドゥームメタルとベースミュージックがファックしたとでも形容せざるを得ない#4などが特徴的でした。ただ欲をいえばあまりに小奇麗にまとめ過ぎてやや物足りなさを感じるきらいも。でも今のところは気に入ってるので取りあえず選出。
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  • BORIS - NOISE [Sargent House/Daymare Recordings/Tearbridge Records]


日本を代表し、世界においても比類なきバンドであるヘヴィーロックトリオの最新作。通算19枚目のフルアルバム。メジャーリリース二作目。遂に出た!大文字名義としては6年ぶりの作品ですが、やっと膨大なディスコグラフィーを総括できるアルバムができたなぁ、と。ヘヴィーなロックを追求する名義のBORIS、エクスペリメンタルなサイドに沿った実験色の強い音楽性のboris、そしてそのどちらでもなくあるいはどちらでもありメジャー志向とも言えるBorisとこれまで名義を使い分けてきましたが、今回は多様な音楽性の振れ幅を持ってあえて大文字名義に回帰しリリース。今作は基本軸にポップっていうのが据えてあるような印象が強いです。轟音ながらも"ポップ"なメロディを聴かせる#1,ヘヴィロックチューンながらも突き抜けた"ポップ"感がある#2,あからさまな"ポップ"なチューンな#5,長尺曲のながらも歌モノ曲として"ポップ"に聴かせる#6、そして異色のスラッシュメタル・"ポップ"な#7など。ポップ≒ノイズかー?と邪推したくもなるようなw ノイズっていうのは人によって捉え方は様々で、ヘヴィーミュージックに慣れ親しんだ人ほどポップソングをノイズとして捉えるだろうと。そういった意味を含めてタイトルを飾ったのは上手いなぁ。様々な音楽性を一枚に詰め込む事に成功しているので、Boris初心者はとにかくこれは聴け!っていう大推薦な一枚。
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  • EYEHATEGOD - S/T [Housecore Records/Daymare Recordings]


スラッジメタルを世に確立させたルイジアナ州ニューオリンズのバンドによる14年ぶり通算5枚目のアルバム。前作以降バンドには色々ありまして。バンドのリーダーであるジミー・バウアー(Gt)がPanteraのフィリップらと共にDownを結成して当のバンドが宙ぶらりんになって活動休止状態になったり(残されたメンバーはジミー抜きでOutlaw Orderを結成した)、地元にハリケーンカトリーナが襲来して自宅を含めなんもかんも崩壊したり、今作制作中にはドラマーのジョーイ・ラケイズが無くなったりと苦難の道が続きました。そして漸く届けられた今作はセルフタイトルなのですが、一曲目からパンキッシュに疾走してて新境地かな?となるも二曲目からはいつもと変わらないNOLAスラッジ節全開で微笑ましくなりましたw(NOLAとはNew Orleans, Louisianaの略語)ペーペーとフィードバックノイズと不協和音を撒き散らしてるのももはやトレードマークか。国家権力を嫌い苦悶と怒りに満ちたマイク・ウィリアムスの咆哮と、楽器隊が織り成すズルズルと這いつくばるような殺伐としたグルーヴ感。このバンドはこれだけでいいし、それ以外の事は求めていないですし。ややアップテンポな曲もありましたが、それらはArson Anthem(これまたPanteraのフィリップとマイク・ウィリアムスが結成したバンド)での経験もあるからなのでしょう。これはバンドのパンク的側面が現れてかっこいいんですけどね。NOLAスラッジマスターの無駄の無い作品。

  • HTRK - Psychic 9-5 Club [Ghostly International]


オーストラリアのメルボルンで活動しているシンセウェイブ/ポスト・インダストリアルユニットの三作目。バンド名の読み方はヘイトロック(Hate Rock)。元々トリオ編成だったものの、前作制作時にメンバーが自殺。それでも歩みを止めずに活動を続け、届けられたのがこのアルバム。時間が傷を癒やしてポジティブに捉えられるようになってから制作された今作では、ダビーなビートがゆったりと振り落とされて時間軸が歪んでいるような感覚に陥る程のサウンドスケープを見せてくれます。ゴシックかつセクシーなボイスがエロティックに感じてしまうところも特徴的。比較対象として挙げるなら昨年リリースされたTropic of Cancer(互いにスプリットをリリースしている)のRestless Idyllsが暗黒一辺倒のコールドウェイブだったのに対し、こっちはポジティブで耽美的なミニマル・ミュージックっていうのが相応しいかな。ズッシリ撃ち落とすダブビートとスモーキーなヴォーカルが絡み合う#1,白昼夢のPortisheadのような#2,か細いヴォーカルとリヴァーブのかかったサウンドとミニマルなビートがある種の陶酔感をもたらす#6などなど聴いているととてもうっとりとさせてくれます。The XXやPortishead、Tropic of Cancerが好きな人は聴いても間違いない!と思うはず。
Bandcamp」※試聴のみ 「Soundcloud

  • Kyoka - IS(Is Superpowered) [Raster-Noton/inpartmaint.inc(P*Dis)]


ドイツのベルリンをベースに活動している日本人女性電子音楽家の初のフルアルバム。「踊れる電子音楽」を標榜して音楽の幅に囚われない、遊びゴコロのある低音重視の(インダストリアル)ダンス・ミュージックを提示。本人が口々に言うかわいい音っていうのが何なのかは僕にもさっぱり分かりませんが、ダビーなビートやブレイクビーツを駆使しつつカットアップやボイスサンプリングを織り交ぜて音のレイヤーを重ねていく手法は面白いなと感じました。特にボイスサンプリングは殆ど意味がないらしいってのがまたw 声も音ってことなんでしょうか。ズッシリとしたマシーナリービートが心地良い#5,ほぼ意味不明な言葉遊びがそのまま曲になっている#10、1,2,1,2,3とカウントしてから往年のTechno Animalを彷彿とさせるブレイクビーツを乱射する#11などなど。かわいい(テクノ)は正義!
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  • Millie & Andrea - Drop The Vowels [Modern Love]


UKのダークなテクノレーベルModern LoveのオーナーであるAndy Stottと、同レーベルの看板アーティストことDemdike Stareのメンバーであるmiles whittakerの二人が変名で組んだ実験色の強い変形ジャングルユニット。そして今回が初のフルアルバム。両者ともダークなミニマルダブをやってるいるのは周知の事実だと思いますが、こうも享楽的な音楽を作れるんだなと。(少なくともDemdike StareはTestpressingシリーズでその片鱗を見せていた)あくまでインダストリアルを中心に捉えつつ、ジューク〜ジャングル〜ダブを行き来するトラップミュージックを提示し、明らかに踊らせに来ていてすげーなという感想を持ちました。ただ両者ともまだ実力を出しきってなくて腹八分目な印象をうっすら感じてしまうのも事実。それでも「醜いままであれ」とアイロニックなタイトルが特徴的な灰色のジャングルベースソングの#2,PitchforkでBest New Trackを獲得した暗黒ブレイクビーツ速射チューンの#5,本来のAndy Stottのサウンドに近い畝るミニマルベースな#7,そしてDemdike Stareの意匠のような不穏なダーク・アンビエントがアルバムを締める#8など存分に聴かせてくれます。これも2014年ならではの最新音楽。
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  • St.Vincent - S/T [Loma Vista/Republic/Hostess Entertainment]


インディー・ロック界の女王St.Vincentことアニー・クラークさんの通算四枚目のアルバム。今作は古巣の4ADを離れてRepublic Records内のレーベルのLoma Vistaよりリリース。当初は気に求めていなかったものの、フジロック来るんだーとのことで予習がてら聴いていたらズブズブハマってしまったという恐ろしい作品・・・!四枚目にしてアーティスト名をタイトルに飾って見たいものを見せてやるわ!的な岡崎京子ヘルタースケルターみたいな見世物小屋感覚に端を発しているかはどうかは分かりませんが、トレードマークのエキセントリックかつファンキーなギターワークとあま〜い歌声が織り成すポップソングは今回も健在。そしては今作はダンサンブルなチューンも多く占めていて圧倒的な高揚感に包んでくれましたよ。ファンキーなギターフレーズとアップテンポなビートが独特のグルーヴ感を産み出す#2,しっとりと歌い上げるバラードチューンの#3,PVの渾身の池沼演技も話題なブラスセクションが味わい深い#5、ファズ・ギターをブーストさせつつコーラスパートの気持ちの良い歌声で充足感が得られる#7などなど。インディー・ロック界最高の女声SSWとして堂々とした作品。
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  • The Soft Pink Truth - Why Do the Heathen Rage? [Thrill Jockey Records]


↑よく見るとR-18画像なので拡大要注意
ブラックメタルはゲイ
アメリカの変態電子音楽デュオMatmosの片割れである(ゲイを公表している)Drew DanielによるThe Soft Pink Truth名義の全くまともじゃない三作目。なにがどうしてこんなことになったのか。ブラックメタルの名曲をメジャーマイナー問わずにハウス・エレクトロカヴァーするなんて・・・! 当人の考えいわく、「ブラックメタルの音楽性は評価するが、人種差別的であったりペイガニズムだったりナチズムを孕んでいる精神性を冒涜して呪ってやる!」というコンセプトに基づいているそうです。詳細なステートメントなどはここで。ブラックメタルはピュアでトゥルーであればあるほどどうも滑稽に見えてきてしまうのですが、こういう(精神性を攻めていく)形でコケにしているのは中々新鮮。エレクトロにカヴァーしてもやっぱりそれっぽく聴こえるVenomのカヴァーの#2,R&B調にするわ(Wye OakのJenn Wasnerがヴォーカルで参加)喘ぎ声はサンプリングするわでめちゃくちゃなSarcofagoのカヴァーの#4,Locrianのテレンス・ハナムが強烈なスクリームで脇を固めるもエレクトロな印象は薄れないSargeistのカヴァーの#5,Hellhammerをブレイクビーツでカヴァーしてある意味"マニアック"な#9と、バラエティ溢れる作品です(?)せっかくなのでBurzumのRundgang Um Die Transzendentale Saule Der Singularitatのカヴァー(フリーDL可)とひたすらブラックメタル系のイントロとアウトロを集めた謎すぎるミックスのリンクも貼っておきますね。あとホモホモしいPVも。

  • SWANS - To be kind [Mute/Young God/Traffic]


10年代SWANSの三作目。通算13枚目。今作はマイケル・ジラ自身のレーベルYoung Godを離れ、ノイズ・インダストリアル系老舗レーベルのMuteよりリリース。今作も前作同様に二時間の超大作であり、これにて冥府魔道の道も遂に第三弾と。延々と続く呪術的なミニマリズムを突き詰めた作風は前作と変わらないのですが、今作ではライブレコーディングを敢行した曲もあり、ダイナミックかつよりフィジカルによりダイレクトに訴求する作品となりました。なんと今回は人間賛歌的な側面もあって驚きを迎えています。Toolを引き合いに出せそうなストリングスが特徴的かつ、毎度お馴染み打ち鳴らされる金管が絶妙なアンサンブルを放つ#1,30分以上の大曲であり前作の「The Seer」の続編としての意匠を引き継ぎ延々と続くミニマルビートが高揚感をもたらし、マヤ文明宜しく太陽賛歌とも言うべきコーラスが続き、終いにはスペイン語でまくしたてながら半狂乱で神を讃えライブレコーディングで録音された#4,St.Vincentをゲストに迎えて不愛を題材としつつ気味で美しいデュエットを聴かせる#5,得意のミニマリズムを持って、とてもじゃないが還暦を迎えた大人が書いた歌詞とは思えない「ニャンニャンニャン!ファックファックファック!お前の名前はクソ!」という叫びが強烈な#6,バンドの初期を彷彿とさせるグルーヴ感が堪らない#8、まさかSWANSに泣かされる時が来ようとは・・・としか言えない人間賛歌をアコースティックで歌い、ラストは全てが崩壊するアルバム締めのナンバーの#10。今作には抗えない説得力があり、各地のレビューで絶賛を浴びるのも頷けるの納得。やっと時代がSWANSに追いついたか。今年これを抜きにして音楽を語ることを許されない強烈な超大作。なお日本盤では昨年来日して代官山UNITの電源を落として半ば伝説化しているライブの"Coward"が収録されていて、アノ雰囲気そのまま封じ込められているでオススメです。
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  • Thou - Heathen [Gilead Media/Robotic Empire/Howling Mine]


アメリカのルイジアナ州バトンルージュで活動しているスラッジメタルバンドによる、膨大なリリース量を誇るものの意外にもフルアルバムとしては四作目。多産なことで知られるバンドですが、調べたら昨年は一枚もリリースされていないんですね。今作は凄いです。ゲロゲロデロデロな極悪スラッジメタルに悲哀のこもった激情的なメロディーが高次元で融合を果たしているという信じられない一枚に仕上がっています。前作の「Summit」やその前作のアウトテイク集の「The Archer & The Owle」に収録されているPygmy Lushのカヴァーでもその叙情的な片鱗を見せていましたが(後者は特に顕著)、今作で遂に爆発。全10曲74分という大作で間にインタールードを設けて聴かせる作品に仕上がっている事に脱帽。荒涼としてスラッジリフが5分程続いてから漸く苦悶する絶叫が悲喜こもごもに放たれ、叙情的なメロディーとないまぜになる#1(この後のインタールードの重たいアコースティックギターも最高),人外めいた絶叫が響いているのにも関わらず、メロディックなフレーズがドラスティックに展開され頭から離れない#6、抗えないメロディックなフックと後半のトレモロリフが寒々しく綴られる#7,Wolves In The Throne RoomのTwo Huntersを想起させる女声ヴォーカルをフィーチャーして完全に泣き落としにかかるスラッジソングの#9。私的には現時点でこれが僕のアルバム・オブ・ザ・イヤーかな。これを超えられる作品に出会えるといいのですが。ところで今年もThouのリリースラッシュは始まっています(白目 Summit以前にリリースされたEPを一つにコンパイルしたCeremonies of Humiliation、まさかの危険な遭遇を果たし狂気のスラッジデュエットをかまして頭痛がひどくなるThe Bodyとのコラボ作のReleased from Love、そして今作のアウトテイクにあたり非メロディックな従来のThouに近いサウンドが聴けるThe Sacrifice、(ヘヴィードローンソングやまたしてもニルヴァーナのカヴァーも収録w) などリリース攻勢が止まらないっ!
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  • Trap them - Blissfucker [Prosthetic Records]


アメリカのワシントン州シアトルやマセチューセッツ州セイラムで活動しているダーク・クラストコアバンドの四枚目のアルバム。前作の「Draker Handcraft」をリリースした後にしばしの充電期間を経てリリースされた今作。かのBlack Breathが注目を集める以前からConvergeと並んでEntombedやスウェディッシュクラストの影響をもろに受けたサウンドだったバンドですが、前作で見せたロックンロール色や新境地とも言える叙情的なサウンド(Drag The Wounds Eternalが特にそう)を封印。その一つ前の「Seizures in Barren Praise」を彷彿とさせるグライディングなサウンドに回帰。ドラマーが交代して元The Red Chordの人が加入したのも貢献度が高いと思いますね。といっても今回はミッドテンポに重きを置いているのか渦を巻いたようなカオス感がたまらないです。そしてあえて後半にアルバム冒頭と似たような不協和音を垂れ流して、A面B面を混同させるアナログ盤を重視したような曲順も秀逸。D-Beatマナーな#1,マシンガンの如くカッチリとしたブラスト速射の#2と#8,ドロドロと怨恨渦巻くドゥーミーな#9,何度も同じヴァースが続いた後にブチ切れたがごとく「Bang on your Head!!」と絶叫した後ブラストビートが全てを粉砕してしまう#11など。痛快なハードコアアルバムに思わず脱糞ガッツポーズですわ。Trap Themは裏切らねぇ。
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  • White Lung - Deep Fantasy[Domino Records/Hostess Entertainment]


カナダのバンクーバーをベースに活動している女声ハードコアパンクバンドの通算三作目。今作から大手レーベルのドミノレコードに移籍。全10曲22分強でスラッシーに一気に聴かせる傑作。明らかにメタルノリ(トレモロリフなんかもあって創意工夫を感じる)で前のめりで突っ走るパンキッシュなハードコアサウンドに脳天直撃。特にカリスマ的なオーラを放つヴォーカルのミッシュ・ウェイ(バンドと兼業してViceやNoiseyのライター業もこなしている才人)のスクリームや力強い歌声には、全盛期のホールのコートニー・ラヴを彷彿させる感じがありますね。初っ端からカミソリの如くシュレッドギターが飛び出す#1,暴走特急の如く走りまくる#2,L7みたいなPVも含めややグランジテイストに感じられる肌触りの#4,芯の強いしっかりと伸びやかなヴォーカルが確固たるガールズパンクサウンドを確立させているとも言える#10。今年のフジロックのも出演が決定しているめちゃくちゃ楽しみ。

で、これで13枚。あとその他佳作とかEPなどいろいろ。
【次点&EP】

  • GODFLESH - Decline & Fall [Avalanche.inc/Daymare Recordings]


インダストリアルメタルの裏番長、13年ぶりの復活EP。怒りに満ちたヴォーカルと歪みきったベースラインに無機質なギターリフとハンマービートが反復されるという、GODFLESHのトレードマークは相変わらずで最早笑うしかないw Techon Animal〜jesu〜JK FLESHを経てダブステップ以降のビート偏重なサウンドは更に磨きがかかっている模様。このEPはまだ序章に過ぎなく、今秋リリースされるフルアルバムにて全貌が判明するというのでそちらも期待大。
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  • Floor - Oblation [season of Mist/Daymare Recordings]


ストーナーポップバンドのTorcheの前身に当るバンドであり、伝説のスラッジメタルとして名高いFloorの13年ぶりのアルバム。スピーカーがぶっ壊れそうな音がブーストしたような殺気に満ちたサウンドは今も健在。しかしどこかポップに聴こえるから不思議。
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  • Trash talk - No Peace [Odd Future/Trash Talk Collective]


アメリカのカリフォルニア州サクラメントで活動しているモダンハードコアバンドの通算五作目。Odd future移籍後としては二作目。クッソドープなThe Alchemistプロデュースのオープニングトラックから幕を開けるハードコアサウンドは掛け値無しにかっこいい。というか初期はパワーヴァイオレンスな作風だったのに作を増すごとにどんどんストレートなハードコアに変化していて面白い。D-Beatを取り入れた曲もあるし。


ドイツのベルリンで活動する電子音楽家の通算四作目。「ナイン・インチ・ネイルズを聴いて育った」「DJのやり方なんて知らないし、僕はトラックメイカーだ」と語るカンディング・レイことデヴィッド・ルテリエ。昨年注目を集めたPrurientのThrough The Windowの作風にも近い(もしくはVatican ShadowのRemember your Black Day)冷徹なインダストリアルテクノといった感じ。夜の高速道路を駆け抜けている時に聴きたい一枚。NINのGhostsⅠ-Ⅳが好きな人にもオススメ。
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  • Black Monolith - Passenger [allblack recording company]


耳の早いリスナー間では既に話題になっていた元DeafheavenのライブメンバーことGary Bettencourtによるワンマンブラックメタルバンドのデビューアルバム。基本軸としてはWolves In The Throne RoomやDeafheaven影響下のポストブラックメタルなのですが、このバンドのキーとなっているのがD-beatを大胆に導入してクラスティーな味付けに仕上がっているところ。引き合いに出すならHexisやYoung And In The WayやOathbreaker辺りでしょうか。ある意味型に囚われないサウンドで楽しく聴けます。
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  • Killing Sound - S/T [Blackest Ever Black]


かのWIRE誌の表紙を飾り一躍注目を集めている、ブリストルサウンド新世代集団のYoung Echo(Collective)。その分派ことKilling SoundのデビューEP。(メンバーにはTri-AngleからアルバムをリリースしているVesselも含む) サウンドの方はどんなものかといえば、同レーベルの看板アーティストでもあるRaimeと同様にメタル化するドローンに対するテクノ畑からの解答ともとれる高圧的なドローンテクノ。やたら録音レベルが高く、再生すると音圧に圧倒されます。デジタルリリース無しでアナログ盤初回プレスのみのリリースだったのにも関わらず、予約分だけであっという間にソールドアウト。レーベルとして異例の再プレスを行うなどその注目度が伺えます。
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雑感としてポスト・インダストリアルの文脈で語れるアーティストが増えたなーってのと、ドゥーム・ストーナー・スラッジ系のバンドは安定して聴けるなーってとこでしょうか。今年後半にも話題作も目白押しですし。私的に期待しているのがYOBとPallbearerとEarthとGODFLESHかな?あと元ATDI&元Mars Volta組のAntemasqueもか。Flying LotusとPrurientの新作も期待大。カスカディアンブラックのPanopticonも要注目したい。
あとYoutubeに上半期ベストのプレイリストも作ったのでコチラもどうぞ。
best of 2014 so far