オンリー・ゴッド

ONLY GOD FORGIVES.神のみ赦すことができる――

あの「ドライヴ」ニコラス・ウィンディング・レフン監督とライアン・ゴズリング主演ということで、これは見なければ!ということで行ってきました。以下ネタバレ含んだあらすじと感想。

  • あらすじ(ネタバレとオチを含む)

タイでボクシングクラブを経営している兄のビリーと弟のジュリアン(ライアン・ゴズリング)。兄はロリコン、弟はザコンでもある。実は裏でドラッグの取引をしていた。
ある日兄が殺される。兄は売春宿の経営者の娘とヤりたかったのだが、断られたのでキレて娘を殺してしまった。その報復で娘の父親の惨殺されてしまったのだ。そしてジュリアンはその制裁を下そうとしたのだが、事情を知って赦すことにした。どうやらその父親は謎の男に腕を切断されたと。
そして兄の死を聞きつけて母のクリスタル(クリスティン・スコット・トーマス)が駆けつける。ドラッグビジネスを仕切る元締めであり、犯罪組織のボスである。そして超絶ビッチである。ジュリアンよりもビリーを溺愛している。
クリスタルはジュリアンがビリーの仇を討たなかったことに憤慨し、自ら刺客を送り仇を果たす。そしてクリスタルはある事実を知る。ビリーの殺害現場に謎の男が居たと。その男もついでに始末してしまおうとクリスタルは考える。
その男、チャン。元警察官である。現在はどうやら現役から退き、温かい家庭を迎えている。剣術とムエタイの達人でありカラオケを趣味とする。しかしながらチャンは警察に同行し、罪人をその場で裁くという神のような所業を行っている。前途の殺された娘の父はそのチャンによって腕も切り下ろされていたのだった。その事情をジュリアンは知ったため、仇を討たなかったのだ。
クリスタルはチャンに刺客を差し向けるが、刺客は全滅。そしてチャンは刺客の一人を拷問の末、依頼主をクリスタルだと把握する。混沌とした事情を察したジュリアンはチャンに拳で戦いを申し出る。あっさり引き受けたチャン。二人は拳を交えるが、ジュリアンはチャンに全く歯が立たずボコボコにされてしまう。
その様子を見届けたクリスタルは恐怖に怯え、今までのビリー贔屓を誤り共に帰国しようと申し出る。そして私を守ってほしいと。
滞在先のホテルで帰国の用意を済ませたクリスタルのもとにチャンの一行が現れる。上手く弁明しようとしたクリスタルだったが、チャンは聞く耳を持たず短刀でクリスタルを喉元から突き刺し処刑したのだった。
一方その頃ジュリアンは仲間の一人と共にチャンの自宅へ向かっていた。待ち伏せして銃殺する気だったのだ。自宅にいた見張りを殺したジュリアン。仲間は「家族もろとも殺せ」とクリスタルから指示されたとジュリアンに話す。戸惑うジュリアン。そして事は起こった。チャンの嫁を仲間が殺してしまった。仲間は娘をも殺そうとするが、ジュリアンは仲間を殺して間一髪止めたのだった。
全てが決してクラブに佇むジュリアン。そこにチャンが現れる。ジュリアンにも思うところがあったのだろう。場所は変わってどこかに林へ。ジュリアンは裁きに報いるため両腕を差し出す。チャンが短刀を振り下ろす。所変わってクラブへ。裁きの後はカラオケをすることで心を沈めるチャン。そうして映画は幕を閉じる。

  • 感想

何だこの映画は(;´Д`)
これは初見殺しに近いw これは人を選ぶ映画だ・・・ 見終わった後ならドライヴの〜と書くだけで地雷臭プンプンw 正直パンフ買って翻訳家の柳下さんの解説読むまで意味がわからなかった。これは赦しの映画ではなく復讐の映画なんだと。監督の宗教観が著しく反映された映画なんですよ。で、キリスト教的観念において、人間は如何なる理由においても復讐を成してはならない。悪しき者を罰せられるのは神及び神の如き超越者であると。ここでいう神とはジュリアンではなくチャンなのですね。だからチャンは自らけしかけておきながら(試している)たとえ復讐を果たした売春宿の男であっても平等に裁く訳であって。チャンは裁きの後に必ずカラオケをするのですが、あれは聖歌のうような位置づけなんだそうな(監督談)
チャンは神の如き超越者なので刺客の銃弾を浴びることもありませんし、ジュリアンとの決闘でも一切の隙を見せることはありません。シカタナイネ、ネ申レベルだからね。自分を強き神のような存在だと過信していたジュリアンはそこで初めて超越者と出会い、心を打ち砕かれるわけで。それでジュリアンは畏怖とも尊敬ともいえる念を思い、最終的に自分への裁きを受け入れるつもりだったんだなぁとラストシーンを見て思いました。
ともあれ何があろうと復讐は遺憾よ!そういう映画でしたまる!