エリジウム

あの「第9地区」(とHALOファン)でオタクの心を鷲掴にしたニール・ブロンカンプ監督最新作! ということで見に行ってきましたよ。以下あらすじと感想。

  • あらすじ

2154年、そう遠くない未来。人々はスペースコロニーエリジウムを作った。21世紀末から続いた環境汚染と爆発的な人口増加で地球が荒廃と混乱に見舞われたからだ。当然エリジウムに行けるのは一部の富裕層だけ。主人公のマックス・ダ・コスタ(マット・デイモン)も幼い頃に地球の孤児院で生活していた時にエリジウムで生活することを夢見ていた。だがマックスのそんな夢もかなわず、スラムと化したロサンゼルスにあるアーマダイン社のロボット製造工場で過酷な労働を強いられていた。過去に犯罪に染めていたこともあって保護観察中の身だったマックスは警備ロボットとひょんな事からイザコザを起こしてしまい、腕を骨折してしまう。
仕方ないので仕事前に病院に寄ったマックスは、そこで幼なじみのフレイと再会を果たす。フレイは看護師として働いていた。幼い頃共に孤児院でエリジウム行きを夢見た仲だった。だがフレイもそんな夢も叶わず、浮かない顔をしながらマックスに「複雑な人生なの」とこぼす。他愛も無い会話をしながらマックスはしつこくフレイにデートに誘い、とりあえず約束にはこぎ着けた。
それから保護観察所に寄って自動応答ロボに警備ロボとのイザコザを説明するが、ロボなので情状酌量などいざ知らず刑期は延長の処分に。浮かない顔をしながら出社したマックスは上司の所長に「半日給料引くぞ!!働けるだけありがたいと思え!」言い放たれる。
ところ変わって、人類の英知が結集した楽園エリジウム。ここの警備全体を管理しているのは女性防衛長官のデラコート(ジョディ・フォスター)。ある時、地球から亡命を求めて3機の未確認シャトルが飛来してきた。その内の2機をデラコートの手下のエージェントのクルーガー(シャールト・コプリー)が地球からロケットランチャー(!)で撃ち落とす。このクルーガー、実は元凶悪犯で現在はデラコートの管理下に置かれ政府機関で仕事をしていた。いわばデラコート直属の便利屋である。
しかし運良く(悪く?)ロケットの攻撃をかわした残り1機のシャトルエリジウムに不時着し、ある親子が最寄りの家屋に侵入して特殊なポッドに娘を寝かせる。このポッドはあらゆる難病を一瞬のうちに治療することが出来、老化ですら止める事ができる魔法のような装置だったのだ。だが直ぐに自衛ロボットにその親子も拘束され、地球へと強制送還されることに。
そしてエリジウムの総裁パテルに一連の騒動についての責任を追求されたデラコートは、禁止とされていた地球からのエージェント介入の件で総裁からクルーガーの解雇を言い渡される。
また地球のマックスへと話が戻る。いつもの様に工場で働いていたマックスはある時、機械の不調で所長から「中に入って何とかしろ!」との理不尽な命令を下される。嫌々ながらも多量の放射線がされる恐れのあるロボットの照射工程に入ったマックスは、(案の定)不運な事故に見舞われる大量の照射線を浴びてしまう。辛うじて一命を取り留めたマックスだったが、被曝により臓器不全を起こして余命5日と医療ロボに診断結果を告げられてマイポロールという強烈なペインキラーを渡される。しかもちょうど地球に監察に来ていたアーマダイン社CEOのカーライルから所長経由で「不潔だからクビにしろ」と宣告されてしまう。 
自暴自棄になったマックスだったが、かつての知人経由でスパイダーという男に会う。その男を頼ればエリジウムに行き、体を治せると友人に聞かされたからだ。しかしマックスには金が無い。それでスパイダーはある話を持ちかける。金持ちの脳を盗めと。脳から銀行口座等に金目のデータを引き出して大儲けしようとの魂胆である。拒否する理由も無いマックスはエクソ・スーツという強化外骨格を全身に施され、標的となったカーライルを追い詰めることを誓う。自分のこんな事に追い込んだ復讐でもあるからだ。
それからスパイダーの部下と共にカーライルがエリジウムへと帰還するシャトルを撃ち落とすことに成功。そして自分のエクソ・スーツ経由で自分の脳とカーライルの脳を繋ぎダウンロードに成功する。しかしそのデータは解読不可能なものだった。そのデータは実は全エリジウムをリブート出来るもので、密かにデラコートがエリジウムの実権を握るため、クーデターを計画するために必要不可欠なものだったのだ。マックスはそんなことなど全く知らず、クルーガー一味の襲撃に遭いながらもその場を逃げ出すことに成功。
マックスとデラコートのそれぞれの思いが交錯する。エリジウム、そして二人の運命は――。

  • 感想

率直な感想としては色々ツッコミどころがありつつも、まぁまぁ面白かったですよ。よくも悪くもニール・ブロンカンプ監督のオタク気質な感じが溢れてる映画でしたね。それに思いのほか肉片が飛び散っている映画だったことが思い起こされますな。人にライフルで撃ったら穴が開くのではなく四散するとことか笑。なんか不条理な暴力描写が「ロボコップ」っぽいなぁと思ったら、パンフレットにポール・ヴァーホーヴェン監督に影響を受けたと公言していました苦笑。やっぱりな!
それとこの監督の素晴らしいところはロケーション選びではないかと。昔だったら近未来のスラムといえばブレードランナーな高層ビルの廃墟が思い起こされますが、この監督だと低い家が立ち並ぶ中東の砂塵に塗れたスラムなんですよね。これが一番現実味があるような気がします。エリジウムのコンセプトイラストをかの巨匠シド・ミードがデザインしたそうですが、あまりフィーチャーされてなくて残念。でもおぉ・・・と思わせてくれるシーンはあります、一応ね。ロボットのデザイン(これが本当にHALO)や強化外骨格の造形も良かったですね。コレお前これがやりたくてこの映画作ったんだろ!とか思ったり。人口増加で人々の言語が英語とスペイン語でゴチャゴチャになってるのもユニークでしたね。未来に国境は無い、的な。
あと、元々ビデオゲームHALOライブアクショントレーラーを監督&撮影しただけあって、大変ビデオゲームに影響を受けたと思しきシーンもいくつか有りましたね。自衛ロボットを破壊するシーンでのモーションブラーや、シャトルでのエリジウム〜地球間移動シーン、何故かクルーガーの愛用武器が日本刀、、22世紀でもAK-47が健在、ラストの対決シーン(あるものが空中を舞う!笑)などなど。はようHALOの実写映画を! それと勝手な邪推ですが、主人公の名前がマックスで、回復アイテムがペインキラー(マイポロール)だったりしてこれビデオゲームマックス・ペインじゃね?とか思ったり。あくまで勝手な邪推ですが笑。
それと最近の?近未来といえばBGMはダブステップなんですね。あるシーンでBurialが流れててビックリ。

CoD:BO2に続くそんな頃でもダブステップかよ?問題。
あとはまぁ、キャスティングは前作同様に無名俳優で統一した方が良かったんじゃないですかね。マット・デイモンにせよジョディ・フォスターせよどうにも雇われ感が否めなくて。シャールト・コプリーの自由にイカレキャラを演じていたので尚更。
そして問題なのがやっぱり脚本かと。微妙にエリジウムの警備が杜撰だったり、クーデターのやり方だったり、色々ツッコミどころががが。まぁ面白かったのでそこは水に流すか・・・笑

とりあえず「第9地区」とHALOが好きな人は行っても損は無いかと。そんな感じかなー。