Tim Hecker Japan tour 2013@渋谷WWW

あのアンビエント/ドローンの巨匠Tim Heckerが満を持して遂に初来日! オープニングゲストでは国内外で高い評価を得ている音楽家Ametsubがこの日のための特別なセットを引っ提げて参戦! ということで行って来ました。

Tim Hecker / Ametsub -Exclusive Set-



レンジの広いエレクトロニック・ミュージックを奏で、様々な方面で高い評価をAmetsub。今回はアンビエントに重きを置いたセットということで。
だいたい開演10分押しぐらいで始まったかな。プレイし始めたときに、裏のスクリーンにノルウェーかもしくはアイスランドツンドラ地帯の山間の車道をずっと走らせている映像が。これがまた演奏と相まってとても心地よいだったのですよ。映像からの癒しw この映像についても、夜明けから太陽が完全にでるまでのストーリー性を帯びた展開でとても楽しめました。
で、実際の音の方。音数の少ないアンビエント/ドローンな感じかな?と身構えてたものの、思いのほか聴きやすくノリやすかったですね。ところどころノイジーだったりするものの、静と動のコントラストを提示した音像の中にダンスミュージックマナーなビートをも織り込んでとても聞き惚れる感じ。多方面からの高評価なのも納得、これはまた機会があったら見たいと思わされるライブでした。

そしていよいよティム・ヘッカーです。ティムのヘッカーですよ!ティムティムがへ(ry ・・・はい。会場内に「開演中は演出の都合で全ての照明を落とすのでお気をつけてください」的な張り紙がされてあって、何かあるのかと期待してたんですよ。大体21:10ぐらいから漸くスタートしたのですが・・・

見えません(;´Д`)
いや、会場内ではうっすら手元のLEDだけで照らされていたティムの姿は見えていたのですが・・・w もうちょっと寄るとわかるかな?

見える!私にも見えるぞ!byシャア
そう、映像効果など一切使わず、ただ真っ暗な中で正味一時間ずっとアンビエント/ドローンなサウンドが放出されていたのです。ただ音だけに集中してほしいというミュージシャンシップの表れですよね。これをストイックと言わずなんという!ただ問題なのは花の金曜日の夜なので目を瞑って聴きいれると眠た(ry おっとなんでもないぞぉ???
しかしまぁ、本場のドローンはこうだったのか!というかヘヴィードローンと違ってビート感が存在しないノイズ・ドローンがおよそ一時間ほど続いていました。初見というかあまりこういった音楽に慣れ親しんでいない人はとっつきづらかった思うフシは確かにあります。そもそもドローンミュージックを日本語でいうところの「音楽」という言葉で括っているところがもどかしくはあるのですよ。楽しめるかどうかわからない音を音楽として括ってしまっていいのかって。これはノイズミュージック全般にも言えることですが。それと同時にヘヴィードローンはあくまでリフロック派生だから(メタル耳、ロック畑の住人にも)聴きやすいっていう自説を持っているのですが、更に一歩確証出来た気も。
プレイされた中身について軽く書きだしてみる。昨年にはOneohtrix Point NeverのDaniel Lopatainともコラボ作なんかもだしてますが、一応現時点最新アルバムである"Ravedeath,1973"から何曲かプレイしていましたね。(Dropped Pianosはアウトテイクに近いので)やはりというか、ravedeathの冒頭を飾る"The piano drop"のゴゴゴっていうイントロがフロアに鳴り響いていたときは感慨深いものがありました。それから続けて"In the fogⅠ-Ⅲ"とプレイしていたと思う。パイプオルガンによるドローンはやはり高尚というか静謐などと言った言葉がぴったりだ思う。音の揺らめきなども感じさせる荘厳たる音像が繰り広げられていました。ただちょっと気になるところがあって、音が若干小さかった(立ち位置の問題かも)のと曲間の繋ぎの時だけ極端に音量が小さくなっていったのが気がかりでした。元々こういう人だと言われればそれはそれで納得せざるを得ないのですけど。とはいえこの人でしか鳴らせないライブに参加出来たのは自分にとってもいろいろと貴重な体験となりましたね。
ドローンミュージックを形容する時に「なんだかよくわからないがとにかく凄い・・・!」を体現したようなライブだったかと。それとアンビエント/ドローン道は険しく厳しいのだと実感した、そんな夜でした。