ジャンゴ 繋がれざる者

クエンティン・タランティーノ四年ぶりの新作、ジャンゴ 繋がれざる者(原題:Django unchained)を見に行って来ました。

  • あらすじ

時は1858年、黒人奴隷制度真っ只中のアメリカ。そのテキサス州北部でスペック兄弟という二人組の男がが奴隷市場で黒人を買い、鎖を繋いで率いていた。そんなスペック兄弟の道中に現れた一人のドイツ人の男。名をキング・シュルツ医師(クリストフ・ヴァルツ)と云う。その男は自称歯科医であるといい、繋いでる黒人の一人を私に売ってくれないか?と尋ねる。当然兄弟は拒否する。妙に礼儀正しいし、ドイツ人のドイツ訛りの喋り方もきな臭いし、なにせ奴隷にすら丁寧に接してるいるからと。話す余地は無いと決めた兄弟はシュルツに銃を向ける。が、あっさり兄がシュルツに撃ち殺されると、ある一人の黒人を開放する。
この男がジャンゴ(ジェイミー・フォックス)だ。シュルツは元々歯科医だったが、お尋ね者を検挙するバウンティハンター(賞金稼ぎ)に転身。そこでシュルツはジャンゴに「ブリトル三兄弟を知らないか?」と尋ねる。ジャンゴは妻のブルームヒルダを三兄弟に奪われた過去を持っていたので、顔の見分けが付くと答えた。シュルツは合点承知し、ジャンゴを連れて三兄弟を探す旅に出る。その道中での酒場ですったもんだした結果、三兄弟の居場所を突き止めることに成功。そしてまた道中の間、焚き火で暖を取っているときにジャンゴとシュルツは語らう。ジャンゴは生き別れになった妻ブルームヒルダについて話す。シュルツは妻の名の由来にピンときた。それはドイツに伝わる伝承の物語(ブルームヒルダ姫とジークフリードの伝説)から取られていると。
ブリトル三兄弟はとある農場で名を変えて働いていた。上手いことシュルツは農場主に話を付け、ジャンゴに農場内を見て回るよう仕向ける。そこでジャンゴは自身と妻を引き離した三兄弟のうち二人をを見つけ、怒りの銃弾をぶち込む! また颯爽と現れたシュルツは、逃げようとした三兄弟の一人を狙いすましたリピーターカービンで仕留めることに成功!
しかし、農場内でドンパチやられてはたまらんと農場主が駆けつける。だがシュルツはまたしても上手いこと話を付けてその場を切り抜けることに成功。(なんでも賞金稼ぎとして犯罪者を殺した又は捕えたものを殺すと、連邦裁判所命令で罰則が下り首吊りの処刑に遭うらしい)
晴れて役目を終えたシュルツとジャンゴは、コンビを組んで賞金稼ぎをすることに。妻ブルームヒルダを探すと同時に、妻との資金稼ぎを手伝うとシュルツが申し出たためである。なんでもジャンゴに対して負い目を感じ、その顛末を見届ける義務があるとシュルツは切り出す。そうして旅を続けるとジャンゴの射撃能力をみるみる上達し、「北部一の早撃ち」とシュルツに称賛されるほど上昇。
シュルツとジャンゴは遂にブルームヒルダの居場所を突き止める。ブルームヒルダはキャンディ・ランドという農園に居ると。そのキャンディ・ランドはフランスかぶれの若く冷酷な男、カルビン・キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)の領地であるという。そのカルビンは黒人同志を死ぬまで殴り戦わせることを趣味としているとんでもないレイシストだったのだ。どうにかしてジャンゴとシュルツはカルビンと接触し、商談の話と称して(当然嘘!)カルビンと交渉することに成功。そうしてジャンゴとシュルツはカルビン御一行とともにキャンディ・ランドを目指すのだが――。

  • 感想

映画の上映時間が165分なのでどうしてもあらすじを書くと長くなってしまうw いやもう、傑作でしょうこの映画は!これだけの上映時間ながら全く飽きさせない作りは流石の一言。きっと脚本が練られてるんだろうなぁ。あのタランティーノ特有の長セリフも、長いがゆえに後に起こる出来事を含めて緊張感があって凄かった・・・w 映画のテンポがイイって重要ですよね。特にヴァルツとレオが「握手」(見れば何の意味かわかる)を求めるシーン。あれは凄い。その前後の経緯がわかっていれば尚更。アクション・シーンの血みどろ加減はタランティーノらしい感じでこれも良かった。そしてラストがまさかのジョニー・トーオマージュという!ほんとに映画オタクなやつだな、タランティーノは!
それにしてもやっぱりクリストフ・ヴァルツは面白いw ただ喋ってるだけで絵のなる人もそうそういないw ジェイミー・フォックスの口数少なめなクールな演技も良かったと思う。そして突如として感情を顕にし爆発されるところとかも。あと何よりも今作で珍しく悪役を演じたレオナルド・ディカプリオも良かったですね。もうとんでもないレイシストのクズで、殺されても仕方ない立ち回りという。「最後の晩餐」シーンで怒りを顕にして手を負傷するのですが、あれが本当に怪我をしたとして絶句。役者魂そのものだなぁ、と。そしてあれです。タラ映画の常連サミュエルL・ジャクソン叔父貴。今回はカルビンに飼われすぎた結果、奴隷根性が身について白人かぶれの糞ヤロウな役。相変わらず「マザファカ」がキマっていたw そういえばタランティーノ本人も映画に出演してるのですが、そのフェードアウトシーンがまた秀逸w 流石に劇場では大笑いしたwww この人天才だわwwwっていう。 ところであるシーンにおいて、「デス・プルーフ」のゾーイ・ベルゾンビ映画の特殊メイクで有名なトム・サヴィーニ御大のカメオ出演に気づいた諸兄はどれだけいるのだろうか・・・w もうこの辺はいつもの友情枠かとw
そして全体的にエンニオ・モリコーネの曲を配していたのも良かった。セルジオ・レオーネを代表とするマカロニウエスタンでは必ずと言っていいほど流れますしね。途中の銃撃シーンでまさかのジェームス・ブラウンと2PACのマッシュアップが流れるのですが、これがまたサグい! ところでジャンゴを血みどろの映画と揶揄する人もいますが、かのホラー映画「サンゲリア」で知られるルチオ・フルチマカロニウエスタンを撮っていたので不思議なことではないです。まぁ、物凄い個人的なことなんですけど、メキシカン・スタンドオフ(一対一の決闘)シーンもあったほうがよかったかな?と思ったり。だってあれってウエスタン映画のお約束でもあるじゃないですか。きっと意図して外したんだろうなと思うことにしています。
私的にも今年のベスト映画に入る部類!ゼッタイに劇場で見るべし!