2012年ベストアルバムTOP30

さぁさぁ、意識の高い()音楽クラスタがやる年間ベストの時期になりましたよ!今回は敢えて順列をつけてみようかなと思う。上位はほぼ同列な気がするけど。一応上半期ベストの記事もリンクしておく。今回はつべの動画を貼り付けるとブログが重くなるので、下の方に今年印象に残った曲をまとめた再生リストのリンクだけ貼っときます。
※バンド名・アルバム名・リリースレーベルの順(国内盤が出てれば両方表記)

  • 30.A life once lost - Ecstatic Trance [Season of mist]


所謂Djentなんて呼ばれ方をする前からこういうスタイルでやっていたバンドなのだけど、今作ではハモンドオルガンを使いサイケ色を新たに打ち出してきた。執拗に反復ビートを繰り返しながらも妙に高揚感があるのがポイント。後期Killing joke(主にpandemonium〜democracy辺り)にも影響を受けたと思しき酩酊感も兼ね備えているのもミソ。

  • 29.Trash talk - 119 [Odd future / Trash talk collective]


怒れるモダン・ハードコア代表格。今作ではあのタイラー・ザ・クリエイター率いるラッパー集団OFWGKTAの本拠地であるOdd future(!)に移籍。前作と比べると幾分かパワーヴァイオレンス色は薄まってパンク・ハードコア成分が強まった感じ。しかし凶暴性は衰えておらず全然アリ。因みにタイラー・ザ・クリエイターもゲスト参加していますよ。

  • 28.Andy stott - Luxury Problems [Modern love]


ウィッチハウス〜ポスト・ダブステップ〜インダストリアル〜ドローン・アンビエントをねじ込んだ呪術的なダブテクノ。同レーベルのDemdike stareもそうだが、ダークで陰鬱ながらも何故か聴きやすいというw 今年のダンス・ミュージックの代表作。(これでみんな踊るのか・・・?)

  • 27.Conan - Monnos [Burning world]


大英帝国が誇る原始人バトルドゥーム!前作よりシンプルかつヘヴィーなサウンドを意識して作られた今作。にも関わらず脳天をぶち抜く激重ドゥームサウンドは健在!歌詞連呼系でわかりやすいのもGoodだと思う。グリーーーーーム!!!トーーーーーメーーーーン!!!ターーーーーー!!!!!

  • 26.Tim Hecker & Daniel Lopatin -Instrumental Tourist [Software]


ドローン・アンビエント/ノイズ、チルウェイブを代表する両者のコラボ作。両者の個性がそのまんま結合したようなサウンドに思わずニヤニヤ。耳をつんざくようなグリッチノイズから、静謐なアンビエント・ドローンまで幅広く聴かせてくれる意欲作。

  • 25.Xibalba - Hasta La Muerte [Southern lord / ALLIANCE TRAX]


出ました、カリフォルニアのラティーノ激重ハードコア!今年はThe Acacia strainのリリースもあって二大ダウン厨(とことんダウンチューニングであり、やたらビートダウン・ブレイクダウンを多用するから)対決がありましたが、ベクトルがドゥームに向いているという事でXibalbaに軍配!(なんだそりゃ!) 巷にあふれる凡百なデスコアバンドを圧殺死するサウンド。もはや音の暴力。モダンハードコアとドローンドゥームがまさかの融合を果たした再録"Cold"は必聴。

  • 24.Vision of disorder - The Cursed Remain Cursed [Candlelight]


数年前に再結成を果たし、11年振りに新作をリリースした「元祖メタルコア」バンドの復活作。一聴してすぐわかるV.O.D.のヴォーカルであるティム・ウィリアムズのヘイト剥きだしなスクリームは今も健在で微笑ましいw そしてもちろん激情あふれるクリーンヴォーカルにも感動でひとしお。来日祈願!

  • 23.Locrian & Mamiffer - Bless them that curse you [Profound lore / DAYMARE]


先日の来日公演も好評だった元ISISのアーロン・ターナー夫妻がやっているアンビエント・ドローンバンドMamifferと、シカゴのエクスペリメンタル・ポストドゥームバンドLocrianのコラボ作。こちらは両者の個性がぶつかり合った刺激的な作品。とりわけLocrianのヘヴィーかつエクスペリメンタルな成分が大きく作用している印象を受ける。中でもMetis / Amaranthine / The Emperor"は今年を代表する名曲だと言い切りたい。今年を振り返ってみるとLocrianがRelapseと契約して旧作二枚が初CD化再発され、現代音楽奏者で元H.N.A.S.のChristoph Heemannとコラボ作もだしたりとLocrianイヤーだったようにも思う。

  • 22.Horseback - half blood [Relapse]


そのLocrianとのコラボ作もめでたくCD化再発されたノースカロライナ州のジェンクス・ミラー氏によるワンマン・サイケデリック・ポストブラックメタル。一聴するとわかりますが、ブラックメタルとしての片鱗はグロウルでしか感じとることができず、そこにあるのは最近のEARTHにも通ずるダークアメリカーナな音。もはや音に温かみすら感じさせられてしまうという。同ジャンルに比較対象のいない貴重なバンド。

  • 21.Black breath - Sentenced to life [Southern lord / DAYMARE]


USモダンハードコアとスウェディッシュデスの代表格であるEntombedとの完璧な融合を果たし、USクラストコアのみならず全世界に衝撃を与えたワシントンのダークハードコアバンドの力作。今作では初期スラッシュメタルをも飲み込んで突っ走る音像に唖然w 夏の来日公演も盛況だったし、また来て欲しいですね! これも今年の必聴盤。

  • 20.High on fire - De Vermis Mysteriis [KOCH / VICTOR]


元SLEEPのマット・パイク率いるヘヴィロックバーバリアンが打ち出した傑作。今作ではCONVERGEのカート・バルーが録音とミックスを担当。それが功を奏したのか、前作のダメさ加減を払拭するがごとく汚い爆音を撒き散らすことに成功!変に小奇麗なサウンドよりも彼らはこれが合ってる!これでいいのだ!ヘヴィロック破壊神ここに極まれり!


ハイブリッドなエレクトロニカを奏でるフライローの意欲作。ジャズ・ベースな楽曲ながらダンサンブルな曲もアンビエントな曲もあり、静寂(QUIET)を体現するが如く幅広いエレクトロニクスサウンドの聴かせてくれる。それと同時に時と場合を選ばず、いつどのタイミングでもあっさり聴ける今作は素直に凄い。


ポスト・パンクニューウェーブ〜インダストリアル・メタルの魔神による通算14作目。もう古参バンドに数えられるバンドだけどその勢いは全く失われておらず、若いもんに負けてられるか!というぐらいに気合の入った激音を響かせてくれる。ジジィになってもジャズ・コールマンのヴォーカルは衰え知らず!あっぱれ!

  • 17.Black shape of naxus - Negative black [mainstream records]


独産のノイズ・スラッジドゥーム/ドローンドゥーム。79分57秒に渡ってひたすら毒気を撒き散らす涅槃の音。何故我々は音楽を聴いているにも関わらず苦悶しないといけないのか!しかし聴いていると脳が弛緩されて思考を放棄してしまうので、答えを探そうとしても堂々巡りなのであった・・・

  • 16.Seirom - 1973 [Aurora borealis]


僕らのMories(Gnaw their tongues,De Magia Veterum)が始めた新たなワンマンバンド。ここではGnaw their tonguesでの醜悪なサウンドとは真逆で、天上を目指すがごとく祟高な音像が。誰がこんなバンドを予測出来たというのか!音の中身の方と云えばJESUとAlcestを更に激化させたようなシューゲイザー/シューゲブラックといった感じ。それでもやはりというか偏執狂的に音を詰め込むところは変わっていないという。今年の隠れた名作。

  • 15.Old man gloom - NO [Hydrahead / DAYMARE]


Converge,ISIS,Cave inのメンバー含むボストン・オールスターズ、奇跡のリリース!もうやらないのかと思っていたがためにとてもびっくり。前作"Christmas"のようなギターロックなハードコアから一転、思いっきりスラッジメタルにシフトしてきて唖然。メンバーそれぞれが楽しそうにやっているのも目に浮かぶw 来年2月のライブも楽しみ!

  • 14.Panopticon - Kentucky [Handmade birds]


US産ワンマン自然崇拝アトモスフェリック・アナーコペイガン・ブラックメタルの問題作。前作のカスカディアンブラックと袂を分かち、大胆にカントリーミュージックを導入!一聴したとき流石に笑ってしまったw 笛ピーヒャラwwwwww笛ピーヒャラwwwwww しかしまじまじと聴いてみると意外と深くて、怒涛のブラストとトレモロリフが程よいメロディックブラック加減を醸し出していて、更には静謐なアンビエントまでねじ込んできて思わずグッと来ました。ネタ臭も強いですが、なかなかに力作かと。

  • 13.The Secret - Agnus dei [Southern lord / DAYMARE]


イタリア産暗黒ハードコアの暴虐の一枚。今は亡きCursed直系のサウンドながら、クラストというところに留まらずブラックメタルですら完全に飲み込みしまった・・・! 正直今年出たDsOのEPよりもブルータル加減では上だと思うし、瞬間火力的な意味合いではConvergeの新作よりも上かも。今年のマストな一枚。

  • 12.Torche - harmonicraft [Volcom entertainment]


マイアミの爆音ストーナー・ポップ。今作はVolcom entertainmentに移籍してリリース。レーベルが変わったからどうというわけではなく、安定した爆音ストーナーロックを聴かせてくれる。どんどん前身バンドのFloorのようなスラッジサウンドは退化しているが、その反面ポップネスとして昇華できているので全然有り。とてもわかりやすいバンドだし、もっといろんな人に聴いて欲しいなぁ、と。

  • 11.Martyrdöd - Paranoia [Southern lord]


モダンスウェディッシュクラストバンドの大傑作。頭二曲で全てを持って行ってしまった感があるけど、高速D-Beatに寒々しいメロディックなリフは何度聴いても耳に残ります。特に二曲目の"Överkom Er Rädsla"は今年のマイベストソングと位置づけていますよ。スウェディッシュクラストのみならずメロデスファンにもオススメ!

  • 10.Baroness - Yellow & Green [Relapse]


サヴァンナのポストメタル/スラッジメタル/アートメタルの二枚組超大作。前作まであったヘヴィネスをそぎ落とし、代わりに大胆にサイケ・プログレ色を新たに打ち出してきた。これにはやはり賛否が分かれているようですが、ぼくはこれを支持したい!そもそものロックであるというところに立ち返って、普遍的なサウンドを奏でているという・・・ 特にグリーンサイドの"Psalm alive"や"The line between"には心を打たれてしまった。これは評価せざるを得ないだろうと。特に難しく考えずゆっくり聴いて欲しい一枚。

  • 9.Nachtmystium - Silencing machine [Century media]


アメリカのサイケデリックブラックメタル。最近ではメンバーのブレイク・ジャドが中心となってやっているTwilightに注目が行きがちですが、今作も要注目な作品ですよ。今作では前二作にあったようなサイケ色が控えめになり、代わりにインダストリアル色を新たに導入してきました。(そもそもアルバム名は、かのNine inch nailsの歌詞から取っている)それと同時にブラックメタルに強く回帰し、ヘヴィーかつ哀愁漂うインダストリアルノイズ・ブラックメタルがここに提示されたのでした。日本ではいまいち知名度が低い気がするので、これももっといろんな人聴かれて欲しい。Ministry辺りのファンにもオススメ。

  • 8.Rise and fall - Faith [Deathwish]


ベルギー産ブラッケンド・ハードコア。激情コア〜スラッジメタル〜クラストコア〜モダンハードコアまでを結ぶミッシングリンク。(断言!)爆走ハードコアナンバーから黄昏たような哀愁感ただようスラッジィなナンバーまで幅広い楽曲群並ぶが、トータルタイム30分ぐらいであっさり聴けてしまうのも高評価に。(因みにLamb of godの新作も良かったけど、長すぎてだれてしまったのでランキングからは除外した)これも今年の傑作として数えておきたい。

  • 7.Death grips - The money store [EPIC]


突如出現したエクスペリメンタル・アブストラクトヒップホップグループのメジャー・デビュー作。ドラムにHellaのザック・ヒルが関わっていることから一筋縄ではいかないことは承知していたけど、これほどまでに狂っているとは・・・w エレクトロ・ノイズ・インダストリアルまで幅広いバックトラックが流れるものの、それとは別にヴォーカル氏の独特なライミングが強烈でとても癖になります。次作でアレをアレしてメジャーをドロップしますが、来年1月末に奇跡の来日も決まり頼もしい限り。どんどん既成概念を破壊していって欲しいなぁと思う。

  • 6.Pinkish black - S/T [Handmade birds]


テキサスから幻惑のゴス・スラッジ(ここがポイント)を奏でるデュオのデビュー作。あまりにも奇っ怪なPVや、ねっとりとした粘着質なサウンドまで何から何まで「ヤバい」ヤツら。なんでも前身のトリオバンド、The great tyrantのメンバーが他界したため残された二人で始めたバンドなのだそうです。形容するならやはりOMがゴシック化したと表現するのが的確かと。スラッジサウンドニューウェーブ・ゴシックロックを導入しても、ゴシック・メタルやゴシック・ドゥームとなり得ないのがこのバンドの強み。なんとも形容しがたいシンセサイザーも特徴的。そういえば新たにあのCentury mediaと契約したそうです。凄い!

  • 5.JK FLESH - Posthuman [3BY3 / DAYMARE]


鬼才ジャスティン・ブロードリック(GODFLESH,jesu)によるインダストリアル・ポスト・ダブステッププロジェクト。強度の強い重低ビートにノイズギターが乗るという、jesuを跳び越えて初期GODFLESHに回帰したようなサウンド。しかし旧態依然のようなビートではなく、今現在のベースミュージックで主流なダブステップをも飲み込み、ドローンドゥーム・ノイズをもぶち込み近未来を意識した新人類(Posthuman)的前衛ダンスミュージックといった様相に。
やった!流石ジャスティン!おれたちに出来ないこと平然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!(AA略


カナダが世界に誇るインスト・ポストロックグループ10年ぶりの新作。途中、インストバンドでのプロテスト表現に限界を感じて活動休止をしていたのですが、2010年から活動再開し、今年10月に突然の新作リリースという運びに。蓋を開けてみればそこには変わらないGY!BEの姿が。全四曲中の内の二曲、長尺曲の「Mladic」と「We Drift Like Worried Fire」はそれぞれ「Albanian」と「Gamelan」という名でプレイされていて、(日本で開催されたi'll be your mirrorに出演した時にも披露された)ドローンとかポストロックとかジャンルを超えた一つのロックが鳴らされてた・・・!ドローンで始まりドローンで終わる結末、抗いがたいメロディとフックなどなど。中近東的なメロディも導入していたり、トレモロリフも波のように押し寄せ、ただただ感動に抗えませんでした・・・w これを聴かずして今年のポストロックは語れないよなぁっていう。マストバイ!

  • 3.Converge - All we love we leave behind [Epitaph・Deathwish / SONY]


ボストンハードコアのみならず今や世界中に影響を与えているカオティックハードコアバンドの新作。またしても彼らはやってくれた!ぼくはこのバンドが信者レベルで好きなのですが、作を増すごとに素晴らしい作品をリリースしていると感じる。今作は比較的"You fail me"に近いかも。だとしても同じような作品はリリースしていないと思うし、リリース毎に記録を抜いているとさえ思う。"Jane doe"から10年以上経っているけど、過去にすがるようでは新しいモノは産まれてこないとも考えている。ノスタルジーなんてクソ喰らえ!そんな今現在CONVERGEの実力をまざまざと魅せつけてくれるアルバムでした。

  • 2.Swans - The seer [Young god]


NYジャンクの帝王、再結成後の二作目。通算12枚目。デビュー当時には最低最悪の音楽だのと罵られていた彼らですが、紆余曲折を経てここにたどり着いたのかと・・・ まずなによりも衝撃が全てだった。二時間にも及ぶ楽曲群に人間の喜怒哀楽を全て押し潰してねじ込まれたようなサウンドと評したい。病的にまで反復ビートが続く曲もあれば、ホロッとさせてくれる感動的な曲まで様々。ベテランの意地とかそういうレベルすら超えてしまっている・・・ そういえば今年はマヤ暦の節目の年でしたが(何もなかった!w)、そんな節目に相応しい作品でした。スペーーースカーーント!!カント!カント!

  • 1.Pallbearer - Sorrow and extinction[Profound lore]


栄えある一位はもちろんこれ!アーカンソーのハイブリッド・プログレッシブドゥームのデビュー作。
このバンドの何が凄いかというと、今までいそうでいなかった比較対象の少ない貴重なバンドでして。大胆にアコースティックギターを導入するのも意外と珍しい。この辺で泣きのドゥームを演出しているのもポイント。一聴するとシンプルなドゥームロックに聴こえますが、フューネラルドゥーム×エピックドゥーム×ストーナーロックの絶妙な黄金比で成り立っているのです。4:4:2ぐらい。曲調はフューネラルドゥームに近く、ヴォーカルスタイルとメロディはエピックドゥーム、そしてSLEEP直系の金物ドラムとグルーヴ感。所謂ストーナーロック的酩酊感を兼ね備えているという。この辺は熱心にドゥームメタルを聴いている層でないとわかりづらいかも(苦笑) ともあれ2012年にもなってまだまだドゥームメタルにも可能性があることが判明した、今年を代表する金字塔的作品。

Best song of 2012(2012年に特に印象に残った曲)