Leave them all behind 2012 Day2@代官山UNIT

続いて、轟美重音フェスLeave them all behind二日目!この日は早々と前売り券もソールドアウトし、当日券にも長蛇の列ができて一時間もしない内に売り切れたとか。で、ですよ。

神は代官山に実在した!!

神です!GODFLESHです! 20年の時を経て漸く来日!この日が来ようとは・・・ さてさてそれはともかく感想を。

GODFLESH / envy (Performing 君の靴と未来) / Deafheaven / Mortalized

  • Motalized


元Discordance axis(以下DxAx)のジョン・チャンとGridlinkというグラインドコアバンドも組んでいる、ギターの松原氏率いる京都の音速シャープシューターグラインド(勝手に命名)ことMotalized
今回はかのジャスティン・ブロードリックがNapalm deathに在籍していたこともあり、現在進行形で尚且つ究極形の日本の(←ここ重要)グラインドを披露するために出演。
今回のイベントでは一番体感速度が速いであろうバンドですが、本当に凄かった!久々にまじまじとグラインド系のバンドを見たような気がしますが、感動させられた!ぼくはグラインド系だとDxAxが好きなのですが、それを彷彿とさせるが如く速くて切れ味鋭いグラインドコアを見せつけられて畏敬の念を抱かざるを得ないです。サウンドの肝はやはり、松原さんのシュレッドギターか。とにかく刻むようにリフリフリフの嵐。野獣のようなヴォーカルと暴走ドラムに相まって、シュレッドリフが繰り出される光景は圧巻の一言。最後にやったフレーズを反復させる曲では、これまたDxAxの「jigsaw」を想起させるような曲でアガってしまったw 324亡き?(でも解散してないよね?)後、日本を代表するグラインドコアはモータライズドで決まりかなーと思わされた次第。これはまた見たいなぁ・・・

  • Deafheaven



去年ネットで耳の早いリスナーを中心にして、あちこちのシーンを騒然とさせた超新星! 激情コアinfluenceブラックメタルサウンドDeafheavenが遂に待望の初来日! こんなにもすんなり来日するとはw
例のナードな風貌のケリー・マッコイ氏(Gt)と、相反するように甘いルックスが印象的なジョージ・クラーク(Vo)の二人に加え、サポートメンバーの三人(といってもほぼメンバーらしい)の計五人で来日。Drの方はBlack monolithの方ではなかったです。あと初期メンバーで、轟音シューゲのWhirrにも参加しているニック・バセット氏(Gt)は今年の二月に脱退してWhirrのフルタイムメンバーとなったため当然不参加。で、そのライブの方ですが・・・
か、かっこいい!!
まだ1stとデモ一枚出しただけの新人だし、ライブはどうなのと思っていた自分を猛省した!(苦笑
ポストロック/シューゲイザー/激情ハードコアを内包しつつも、あくまでブラックメタルの範疇であることライブで再確認。熱量が見て取れるヴォーカルのパフォーマンスもまたよし。右側ギターのケリー氏のシューゲイジング&トレモロリフもなかなかだった。そしてまるで子供みたいな顔つきのドラマー氏もパワフルでこれもよし。ロールからの〜?ブラストはやはり、良い。まぁ、ベースがあんまり音出てなくて残念だったけど、そこはまぁいいです。細かな所を言うと、叙情的だったりエモーショナルな部分はハードコア的感覚に近いかなぁと。曲展開はポストロック的ダイナミズムにあふれているし、豊穣なメロディーはシューゲ由来だとも思うし。
それにしてもヴォーカルのジョージ氏。オフではにこやかな好青年なのに、ライブでオンになると人が変わったように鬼の形相にwマイクスタンドを握りしめてファンを睨みつけて威嚇して何なんだこの人はと思ったwww あまりにもテンション上がりすぎて口から涎垂らしてヘヴン状態になってたようなwww
1stアルバムから1〜3曲目までやって、最後は来月リリース予定のBosse-de-nageとのスプリットから「cody」(mogwai cover)をやって締め。この曲の場合、原曲がとてもフォーキーかつメロウなのでプレイされた時のギャップが面白かったw 当然ながら終始絶叫して歌っていましたね。最後にはブラストビートもフィーチュアして轟音の局地へ。そしてここで見るモグワイブラックメタルの親和性。轟音とかホワイトノイズはこの辺に帰結するのかなぁ、なんて。・・・何を言いたいんだコラーとなったのでこれはこの辺で締めよう。
トータルでイケてたと思うライブだった。DeafheavenはLTAB以外にもヘッドラインのショウを二度ほど組まれていて、手応え十分だったそうで。また再度の来日にも弾みがつくかな?次は日本のCOHOL辺りとも対バンしてみてはどうだろうと思ったなど。

  • envy



そしてenvyですよ!かの激情ハードコアにおける屈指の名盤「君の靴と未来へ」(2001年リリース)を全部通してやるという。もうこれ一回しかやらないそうなので見逃さない手はないと。
ステージの照明が落とされ一曲目の「ゼロ」が流れ始める。そうしてメンバーが堂々登場。で、もちろん・・・
「ダカダカダン!」
二曲目は名曲「さよなら言葉」!最近ではライブでやらないことも多くなってきたこの曲なのですが、やっぱり(名盤の)名曲は色褪せないし、かっこいい。ハードコアとポエトリーリーディングを組み合わせたスタイルは今では新しくもなんとも無いですが、10年前から確立していたんだよなぁ、と。
佳曲の三曲目「静寂の開放と嘘」を挟んで四曲目当然は「左手」!バンド史においても近年のライブにおいても定番であり、エンヴィーならこれでしょ!という大名曲!ところで常々思うのですが、エンヴィーのドラマー氏って手数多いし上手いですよね。
「呪われた左手の 腐った親指が素早く逃げる」と、
ポエトリーリーディングから静から動への展開では、毎度の事ながらフロアも爆発していた。そしてここで一度ブレイク(だったような気がする。)
MCでテツさん(Vo)が「Daymareの濱田さんに今回のイベントに合わせて何か変わったことをやって欲しいと言われて。Borisがfloodをやると聞いたので、じゃあ僕らはこれをやろうと。久々にやる曲殆どなのでちゃんと練習して来ました笑 僕らは練習が嫌いで(苦笑 あんまりやらないんだけど、この人のためにちゃんとやってきました笑 昔を思い出すために僕らが影響を受けたUranusっていうバンドのシャツも着てきました。もうあれから11年も経つと、(このアルバムをやるのは)流石に体力的にキツイね苦笑 昔はなんとなくやってこれたけど、今はヘロヘロで苦笑」
と、軽くフロアが和やかな雰囲気にw ところでそのUranus(90年代後期に活動していたカナダのハードコアバンド。his hero is goneと並ぶ激情コアの元祖。)のシャツなんですが、ヨレヨレ感が出てるのはともかく明らかにサイズがでかくて。多分XLサイズ。昔のハードコアシーンではXLサイズのシャツを着るのがトレンドな時期があったんですよ。今ではメタルコアスクリーモの影響からか、ジャストサイズかXSサイズがトレンドになりましたけど・・・w そういうところにも時代を感じられました。えーと、話を戻しましょうw
続いては五曲目の「切望と議論の揺りかご」。この曲の歌詞で「大いなる理念を背負い その言葉を胸に刻むように」という一節があるのですが、みんな歌詞を覚えているからか歌うんですよね。それだけみんな聴きこんでるし、君靴が名盤でもあるという証明だと思うんです。ダイナミックリフで幕を開ける六曲目「安らぎと謎」、ポエトリーリーディングから曲が展開していく七曲目「見えない糸」、必要ない〜とメロディックに歌い上げるパートが印象的な八曲目「螺旋操作」と続いてここでまたブレイク。ここのMCでさらっと祝辞を述べ、今日のライブ音源をmp3でDL出来るUSBを物販で販売してるから是非買っていってね!と宣伝するテツさん。何故かここでも和やかな雰囲気にwあの気難しそうなルックスの割にMCがやたらユルいところがテツさんの人気の秘訣というか愛されてるなぁとw
ここから続けて三曲やると述べて、次は叙情的かつジャジーな雰囲気を併せ持つ九曲目「堕ちてカゴへ」。この辺でenvyがテクニックに裏打ちされたバンドだとわかるような気がする。そして十曲目の「足跡の光」を挟んで最後の締めである十一曲目、「君の靴と未来へ」を。二、三年前はやってなかったような気がするこの曲なのですが、ある時(恐らく3.11以降の自主企画であるlast wish)から急にやるようになった気がします。歌詞を含めて思うところがあるのでしょう。ボソッと曲名を呟いてから悲しげなメロディーのイントロが胸を打つこの曲。そして積み重なるようにトレモロリフが組み合わさってハードコアな曲展開になり、スッと静的なパートに。で、来るべきあの一節。
「求め!作り上げた!武器に!後悔と!幸せを!」
この時ばかりは会場の空気感が一変した。あの時の一瞬は確かに何かが違っていたと思う。溢れんばかりの激情を叩きつけ、和やかなアウトロへ。
いやぁ、終わったときは言葉が無かったですね・・・ 本当にありがとう、と一言だけ。

  • GODFLESH

20年の時を経て、UKのインダストリアルメタルの裏帝王ことGODFLESHが日本に降臨!!


90年台にナインインチネイルズやミニストリー、フィア・ファクトリーやKMFDMとスキニー・パピーが幅をきかせていたあの頃。同期のバンドが親和性の高いゴス色を取り入れたりメロディックな作風を取り入れていく一方、ひたすらビートを偏執狂的に突き詰めてあくまでジャンク・ノイズ/ドゥーム/デス・グラインド/ハードコアフィールドで鳴らしているバンドだったと思う<GODFLESH が、故に世間ではあまり評価されなかったかなと。というか同期のバンドに比べて地味だった苦笑 そして2002年に解散してしまうのですが、再評価の気運もあったのか2010年に再結成ライブを行うに至りました。2013年には新作も予定しているとのこと。いい時代だ・・・近年ではUKのダブステップ方面からも影響を受けたと公言する人も増えたようで、決してやってきたことは無駄では無かったし再結成も来るべきものだったのでしょう。
ステージにセッティングが組まれ、マーシャルアンプ三段積みを見て来日前にジャスティン・K・ブロードリック(Vo,Gt)が「初めての日本、最大音量でやる」と公言していたのは嘘では無さそう。

そしてジャスティンとベン”G.C”グリーンの二人が登場。ジャスティンがUKノイズの大御所のラムレーのシャツ着ていて、流石だなぁと。そして初めて見たグリーンは宣材写真に比べて髪の毛が後退していた・・・w あれや!ロバート・デ・ニーロや!w ステージには二人の年季のいった男だけ。もちろんドラムなど無い。ジャスティンのギターは六弦と七弦の二本有りましたね。足元のエフェクターペダルは2、3個ぐらいしかなくてシンプルだったような。隣のスタンドにはもちろんマックのラップトップが。SEとビートを制御している模様。そして海外のライブ同様スクリーンが姿を表わす。「Streetcleaner」と「Pure」のアルバムジャケットのモチーフになった映像や、サルバドール・ダリの絵画、同じくダリとルイス・ブニュエル共作のアンダルシアの犬から有名な眼球切り映像なんかが曲に合わせて映されてました。
そしてギターのチューニングを確かめ、ゆっくりとボリュームを最大まで上げる!
「You Breeeeed!!!!! Like raaaaats!!!!」
一曲目はもちろん1stの「Streetcleaner」から「Like rats」をプレイ! ビートの音圧がヤバいwww 昨日のSUNN O)))とはまた違った意味で重い。スピーカーのそばにいたからなおさら凄い。腹筋にズドンズドンとインダストリアル・ボディビートが押し寄せてくるしw これがTGを産んだUK本場のインダストリアルメタルか・・・  
ほぼ間近で見ていたので、青筋立てながら絶叫するジャスティンは新鮮だった。jesuではメロウな歌唱が基本だったから尚更。ひたすらのたうち回る様にギターも弾いていて凄かった(小並感 グリーンはなんというか職人肌なベースプレイヤーだと思う。渋い顔をしながらひたすら淡々と引き続けるが印象的。あの図太いベースラインは彼特有のものだと思うし(サウンドチェックの時点で音がヤバかったw)、彼抜きではGODFLESHは成立しないんだなぁと痛感した。そして二人が紡ぐ無機質なリフとビートを反復して繰り返すさまは、なるほどスワンズ(USジャンクの帝王)由来だなぁと思ったり。
そうして「Christbait rising」をプレイ。今聴くと温故知新というかビートに時代を感じますなぁ。なんというか場末のインチキディスコ感覚。三曲目は皆さんご存知のアルバム・タイトルトラックである「Streetcleaner」を。あのISISもカヴァーしてましたね。テテテテテテテテテン、テンテン!!というビートが何度も反復されるこの曲ですが、この曲に限って言えばビートに古臭さを感じないし常にビートに対して先鋭的だったのかと思う。この曲でジャスティンに「We all die!!」と言われたら何も言えないですよ・・・w
で、徹底してダウナーな「Life is easy」。この曲でも「Life is money!!」と叫ばれてお、おう・・・とw 

次は攻撃的なビートが押し寄せる「tiny tears」。この辺のダンサンブルな感じは今でも十分イケてる。それにそんじゃそこらのバンドとは一線を画しているとも思う(当たり前や・・・! 六曲目は1stEPからバンド最古の曲でベスト盤の一曲目でもある「Avalanche master song」を。スワンズ直系ながらもインダストリアル×ダウナーを体現しているこの曲。私的にも好きな曲なのでプレイしてくれてちょっと嬉しかった。次は「Dead head」。初期GODFLESHの中でも比較的メロディックかつ爽やかなこの曲に、後のjesuへの片鱗を伺わせるような。丁度この辺で使っていた七弦ギターを六弦に持ち替えていたと思う。
それから一転、2ndアルバムから「Spite」。この曲の打ち付けるハンマービートはエグい。しかし踊れる程度にダンサンブルでもあるのでなんとも中毒感があるなぁ。次は「Mothra」。モスラだー!モスラだー!えー、はい・・・w なんで曲名モスラなんすかね?未だに謎w それはともかくとして初期の曲ではわりとポップな方ですがこれも良かった。その次が2ndアルバムのタイトルトラックである「Pure」をプレイ。イントロのウッ!ってSEだったのかよ!これが20年目の真実!wこの辺から意図してダブっぽい感覚を覚えます。「PURE!!!」と絶叫するジャスティンはこの日一番だったかも。
それで本編最後を飾ったのは3rdアルバムからの「Crush my soul」!この曲を待っていた!ぼくこれ一番好きなんですよ!私的に一番ノリノリだったw それでこの時のグリーンはベースを弾くというより明らかにぶっ叩いていたw GODFLESHといえばひたすらリフとビートを偏執的に反復させるバンドだと勝手に自分は思っているのですが、この曲はそれを一番体現しているのではないかと。一際サイバーな空気感を持つこの曲が個人的にはこの日のGODFLESHのハイライトだったかな。曲終盤でジャスティンがギターでドローンノイズを垂れ流してるなか、そっとステージ袖に戻るグリーン。そしてアンコールでやるであろう曲のイントロが流れると、慌てて止めるおちゃめなジャスティンw
最後のアンコールは3rdEPから「Slateman」。サイバーかつ浮遊感もあるこの曲で、この二日間に及ぶ轟音フェスは締められたのでした。そして最後にギターによるハウリングノイズとドローンノイズをまき散らしてライブも終了。ジャスティンが何度もお礼して去って行きました。とんでもない!感謝したいのはこっちだよ!最高なライブを見せてくれてありがとう!次はjesuでもいいけど、まずはJK FLESHで来てね!と心のなかで思った!

そんなわけで最高に素晴らしい二日間だったLeave them all behind。個人的には近年の自分が聴いていた音楽の集大成だとも思った。また開催されて欲しいと思うし、趣向を凝らしたラインナップでもいいと思う。ビッグネームだけでなく、敢えて中堅若手で固めてみるとかね。また重ねて言うけど、素晴らしい二日間をありがとう!