Earth Japan tour 2012 with special guest : Mamiffer @新大久保Earthdom

ディラン・カールソンという男がいる。この人物はニルヴァーナカート・コバーン最後の友人(自殺に使った猟銃の元の持ち主として有名)にして、SUNN O)))Borisなどの後続バンドに直接の影響を与えたヘヴィードローン・ゴッドことEarthを率いている人物である。
そのEarthが結成後22年(途中活動休止も含む)の時を経て遂に初来日!!
しかもゲストには、ISIS亡き後去就が注目されていたアーロン・ターナーが奥方のフェイス・コロッチャ嬢がやっているMamifferに加入するという形で来日!!(まぁ、house of low cultureとかOld Man Gloomもやってるけど・・・w)
この組み合わせでのツアーは全世界で初めてという事でして。
このツアー発表には度肝を抜かれましてw 前からずっと楽しみにしていました。そんな前置きはさておいてライブレポを。

  • Mamiffer

今回はアーロンとフェイスのコアメンバーに加え、Pale〜Collections of Colonies of beesの敏腕ドラマーとして知られるJon muellerを迎えてのトリオ編成。



まず最初に思ったのが、音源だとドローンなイメージが強いMamifferなんだけれど、ライブだととてもポストロック的ダイナミズムに溢れていた。所謂静から動へ的な。それでも一音一音大切にしている印象もあり。やはりというかサウンドの核となっているのがフェイスのピアノだと思う。ピアノに導かれるように曲が進行し滑らかなヴォーカルもフューチャー。
次にジョンの精密なドラミングも際立っていた。時に激しく時に緩く叩いて存在感を示していた。また、引っ掛けてある小さいシンバルのようなものを鳴らして空間を埋めたりして音色を際立たせ、間を意識したサウンドを構築していたと思う。そしてアーロンのギターが時にメロディーを紡ぎ、時にノイズをまき散らしていた。
そのアーロンなんだけれど、とても多数のエフェクターを使用していてスタンドが殆ど埋まっていたw それでも置ききらず床にペダルが2つ置いてある始末。どうなってるんだこの人・・・とその時は思った。楽器のことはよく知らないのでなんとも言えないけど、常にツマミを弄って微調整していた。スタンドにはE-bow(ギターにマグネットを近づけ弦を触れずに共振させる装置)を使ってキュイーンとならしたり、Mamifferの2ndやHoLCなどでも披露していたややシャーマニックなヴォーカルを交えていた。(ただし、ジョンのドラム音が大きくて若干聞き取りづらい部分もあった苦笑)
そんな幽玄なサウンドを奏でていた彼らは最後にとんでもない曲をやってくれた。Locrian & MamifferのMetis/Amaranthine/The emperorを!この曲はLocrianとのコラボ曲なのでやるはずがないだろうと思っていたのだけれど、イントロを聴いた瞬間思わず鳥肌が立ってしまった(汗

アーロンのスクリーム解禁!(泣
フェイスのピアノとヴォーカルから始まり、中間部でギターのハーシュノイズと辛辣なドラミングで空間を圧迫。そして最後に怒号と轟音を撒き散らすこの曲にガツンとやられてしまった・・・この時の低音は本当に凄かった。ハコがEarthdomなので尚更。正直これだけでもチケットの元は取れたと思ったw

  • Earth

そんなMamifferのグレイトなライブに続いて、満を持してのEarthなのだ。
Earthも今回はトリオ編成。なんでもツアー毎にセッションメンバーが変わるという話なんだとか。コアメンバーのディラン・カールソン(Gt)とエイドリアンヌ・ディヴィス(Dr)に加え、あのシアトルの珍妙集団Master musicians of bukkakeの主要メンバーであるドン・マクグリーヴィー(Ba)を迎えてのライブとなった。


全体としての印象はドローンというよりも曲の進行に合わせて微妙に変化をつけていく辺り、ミニマルな感じを受けた。過去の閉所恐怖症的なサウンドから袂を分かって、暗黒アメリカーナにシフトからはアンプも一つだけになり、所謂音圧ビックリ系バンドというわけでもなく。

ライブは終始フレンドリーでゆる〜い感じで進行。時折ジョークも交えていたw そんな一曲目は目下最新作の「Angels of(ry part2」から三拍子が際立つ"A multiplicity of doors"をプレイ。アルバムとは違っていい意味でラフな演奏に好印象。徐々に高揚感に満たされる辺り、やはりミニマルだなぁ、と。続いてアルバムタイトルと同名の"The bees made honey in the lion's skull"を。この曲で強く感じたのは、エイドリアンヌのドラムがバランサーとして機能していると実感。弦楽器隊のみだと若干間延びしてしまうきらいがあるのだけれど、そこをギリギリのところでドラムが抑えているかなぁと思った次第。かといってドラムがリズムを引っ張っているかと思うとそういうわけでもないのがミソ。
中盤では新曲を2つぐらい(片方は"Badger"というそうな)プレイしたところでアクシデント発生。ディランのhagstromの弦が一本切れてしまったのだった。そそくそとディランが楽屋に下がってショウ中断か?と思いきや、残りの二人がベースとドラムでジャムセッションを始めて場を繋いでいた。これがまた独特のグルーヴ感があってそれなりに曲をなしていて驚き。この辺の機転のきかせ方を見て流石シアトル人脈恐るべしだとw

元に復帰してからは、「Angels of(ry part1」の一曲目の"old black"、1stのヘヴィードローン期に作られたouroboros is brokenをリアレンジして披露。この曲は本当に凄い。どんなにアメリカーナっぽく聴こえても、原曲の暗黒さが消えておらずとても陰鬱に聴こえる。これが原曲の魔力か・・・
そしてまさかの"tallahassee"ですよ!この曲が入ってるpentastarというアルバムはEarthのキャリア中一番シンプルなロック過ぎて迷盤とされているのですが、まさかチョイスしてくるとは・・・w この曲も前途のouroboros(ryと同様リアレンジしてプレイ。しかも長尺板。因みにこの曲をコールした時が一番反応が薄かったw
最後の締めはこれまたアルバムと同名のタイトルトラックである、"Angels of darkness,Demons of light"だった。各各が呼応するようにジャムセッションが際立つこの曲でこの会場に来たファンは一様に高揚感で満たされていったのでした。結局一時間半ぐらいやったかなぁ。とても実りの多いライブだった。

ところでカミナンデス(真顔ことディラン・カールソンってずっと気難しいイメージがあったのだけれど、実際そんなことはなく気さくで良い人でしたよ。会場にはBorisのアツオさんも見に来ていました。それはそうとディランのギターにサンリオキャラっぽいステッカーが貼られまくっていたので実は可愛いものに目が無いんじゃないか説を提唱していきたい所存www
ツアー最終日もいくので今から楽しみ!Borisも出るし!