リヴィッド

今年の12月頭ぐらいに渋谷のホラー(映画)ハウスとして有名なシアターNが閉館してしまうそうで・・・ そんなこんなで在館中はなるべく足を運びたいなと思って行ってきました。今回は「屋敷女」の監督が作った耽美派ホラー。

  • あらすじ

ハロウィンを迎えたとある港町。主人公のリュシーは母が自殺し、傷心の状態だった。そんな現実から逃避すべく老人介護ヘルパーの仕事を始めようとしていた。そんな中、ある古びた大屋敷に行き着く。そこでは元バレエ教師の老婆が植物状態で横たわっていた。その名をジュセルといい、遺言で生が果てるまで永遠に介護して欲しいとのこと。
その光景が心に焼き付いて離れなかったリュシーは、漁師をしているボーイフレンドのウィルに大屋敷での仕事振りをバーで話していた。ついでにあの屋敷には手付かずの財宝が眠っていることも・・・ 
それを知ったウィルは友人のベンを連れ、夜な夜な屋敷に忍び込んで捜索(強盗ですな)しようとリュシーに話を持ちかける。一度は断ったリュシー。ふと帰宅すると、父に新たな恋人がデキていて自宅に同棲しようとリュシーに持ちかけていた。まだ母が亡くなってそんなに経っていないのにも関わらずに。なんとも空虚な気分になってしまったリュシーは前途の強盗計画に加わることにした。大金があればどこか遠くで暮らせるだろうという思いも込めて。
そして大屋敷のジュセル邸に忍び込んだ三人は、なんとか潜入できた開かずの間であるマネキンを発見する。否、それはマネキンにあらず。それは生きた人形のように施されていたジュセルのよりも先立たれていた一人娘のアナだった。まるでオルゴールのように回り、踊りだすアナ。
鍵は開かれた。惨劇の夜が始まろうとしていた――。

  • 感想

単刀直入に言うと、サスペリアサイレントヒル(もちろん映画版)を足して二で割ったような映画だったかな、と。
まず、バレエを組み込んできたのがサスペリアっぽいし。恐怖が支配する夜の世界というのはなんとも。(余談だがバレエ教師のジュセルは、かの”溜め息の母”が校長を務めた学校を卒業している設定だそうなw)
そしてサイレントヒルっぽいところといえば、どこかゴシカルな雰囲気とライティング。朽ち果てた感じや劇中に出てくる、とあるドールの動きがまたバブルヘッドナースのような動きに酷似していて。(あのカクカクした独特な動きがまさにそれっぽい女っぽい要素もありますが、実際にはヴァンパイア映画の趣も強いです。主にアナの死因がそれにあたって、「神(天国)にも悪魔(地獄)にも見捨てられた子」という感じがまさにそれ。ところでそのアナ役の子役がまた強烈で。純粋無垢が故に凶暴という感じでとてもインパクトがありました。
バレエ教師役のジュセルも素顔の時の鬼教官振りがまた怖くて印象に残ってますね。実際にバレエで名を馳せた方を起用したそうで納得。。。
そして、あのベアトリス・ダルが今作に出ているんですよ!リュシーの自殺した母親役として。昔を知る人にはベティ・ブルー、近作では屋敷女での怪演が知られてますね。この人はどこか影があり冷たくて、そして美しい。
最後に主役のリュシー役の人。ムチムチ巨乳でガーリーで凄いなと思ったら、撮影前に出産していたとのこと。だからか・・・ それはともかく、眼力があって良い人だと思いましたよ。これからに期待。
全体としてゴア描写(一部だけ強烈なシーンあり)は強くなく、どことなくファンタジー要素(主に屋敷外でおこる奇妙な光景)の強い映画でもありました。