Leave Them All behind 2014 extra show (Russian circles/JK FLESH/ENDON)@TSUTAYA O-nest

このNESTのTSUTAYAって名前どうにかなんねーの?
今年も轟美重音を標榜するフェスLeave Them All behindが開催!といっても本編は諸々の事情で行けず。でもまぁ、jesuもMONOも実際そんな好きじゃ(ry でもってエクストラショーの方にはRussian Circlesをヘッドライナーに迎えるのに加えてあのジャスティン・ブロードリックの久々にビート・ミュージック名義のJK FLESHが出るということで、現行のインダストリアルを追ってる身としては行かねばならんだろうと。

Russian Circles / JK FLESH / ENDON

会場に着いたのが大体19:30ぐらいで、フロアに行くとENDONがいつも通り?殺気立ったライブを披露していた。

この見ていてハラハラする感じで、次に何が起こるかわからないような一触即発なライブがやっぱりENDONだなぁ、と。そして強面フロントマンの那倉さんがやっぱり怖い(;´Д`) 音の方はといえば初のアルバムリリースを控えているのか、そこからの楽曲が殆どだったかも。苛烈なパワーエレクトロニクスとヴァイオレントなメタル&ハードコアが織り成す激音が放出されつつも、新境地とも言えるやや叙情的な側面もあってとても良かったです。ところで新作EPのリミックスにVatican Shadowが参加ってなんつー俺得。

  • JK FLESH

ENDONが20:00前に終わってセットチェンジが始まると、奥のスクリーンにはJKF vs WSDの文字が。

WSDってなんじゃろな?とド忘れしていたんですが、ジャスティンのパワーエレクトロニクス/ハーシュノイズ名義のWhite Static Demonの略でした。このWSDとは元々ジャスティンが極初期からやっているFinalから分離したユニットで、Finalの作風が徐々にパワエレ・ノイズからドローン/アンビエント化していくのに対しこのWSDはそのパワーエレクトロニクス成分を残したまま新たに別ユニットとして切り離したものなんですね。そしてそのWSDも近年ではローファイブラックメタルにインスパイアされたような荒削りなノイズをも取り入れたりしています。(同様にValley of Fearというユニットもあり。)言わばジャスティンの原点的なポジション。ノイズのひな形とも言えそう。それで今回はTechono Animal,Curse of the Golden Vampire(ケヴィン・マーティンaka 祝The Bug来日!)以降のジャスティンのエレクトリック・ビート・ミュージック(まぁ、The Blood of Heroesもあるけど)であるJK FLESHと融合させるという目論見のようで。少しググってみたら2012年のかのRoadburnでもこの組み合わせはやっていたみたいですね。
田舎のおじいちゃんルックwのジャスティンが自らセッテイングを行い、20:15頃に再登場。

何あの緑のレインパーカー姿は:(;゙゚'ω゚'): こんな暑い日にたまげたなあ・・・ JK FLESHのステージといえばフードを深めに被ってプレイしているのが知られているとは思いますが、わざわざ首元までジッパー閉めてるし他に着る服無かったのかよw
ジャスティンがマイクを握ってモジュールとラップトップを弄りノイズが空間を埋め出し、ワブルベースが鳴り出す。一曲目は多作な奇人のドミニク・フェルノウのノイズユニットことPrurientとのスプリット「Worship is the cleansing of the imagination」から"Fear Of Fear"。ジャスティンがエビ反り絶叫という非常に稀な瞬間を見た・・・! どことなくConvergeのジェイコブさんを彷彿としますね。あとしかもマイクを握りつつアンプにソイヤッ!と拳を突き出すお茶目な一面も見てしまったw ただノイズを撒き散らしながら絶叫しているパワーエレクトロニックなステージングを見ていると近年のPrurientを想起させる一面もあったり。ダブステップ以降のエレクトリック・ビートにWSDのノイズが覆い尽くすという、云わば近年のインダストリアルの潮流の一つであるダンスミュージックに不純なノイズを混ぜていくテクノイズに接近したサウンドとも言えそうです。
そして何故JK FLESHがPrurientとスプリットを出したのか漸く理解出来ました。そのPrurientも昨年リリースした「Through the window」でこれまでのハーシュノイズ一辺倒な作風から一変してポエトリーリーディングを交えた冷徹なインダストリアル・シンセテクノを聴かせて世間の度肝を抜いたのも事実。といっても通常のテクノよりはやっぱりノイズ色があってこれもまたテクノイズの文脈に繋がり、JK FLESHとPrurientの共通点でもあり。ジャスティンがノイズから音楽キャリアをスタートさせてGODFLESHと平行してTechono Animalでテクノフィールドに踏み込んでいたし、ドミニクも同じ道をたどっているとも言えるでしょう。そのドミニク・フェルノウもVatican Shadowでローファイブラックメタルにインスパイアされたサウンドを披露していてまた類似点がありますし。あのスプリットは現時点でハイドラヘッド最後のリリースとなっていますが、先のトレンドを読んだとしても先見の明があるし最後の最後で大きな種を撒いたなぁ・・・ 因みにこの日お忍びで来ていたダブステップの名手ことGOTH-TRADもノイズからテクノフィールドに移行している方ですね。Daymare RecのボスやBorisのメンバーと談笑していました。

ああ、だいぶ話がそれた(苦笑)続いて二曲目は同スプリットからドローンギターリフとジャングルめいたブレイクビーツが交錯する"Deceiver"。ホワイトノイズやハウリングノイズが加味されて不穏な空気とビートが入り混じる感じはDemdike StareのTestpressingシリーズに近い印象もありました。で、この曲の高速なブレイクビーツでアドレナリン噴出。この曲ホントかっこいいわ。次はアルバム「Posthuman」から一転してダビーなハーフステップとざらついたノイズが特徴的な"Devoured"へ。裏の退廃的な映像を含めてバーミンガムの工業地帯やらブリストルの淀んだ空気を感じ取ったり。そして同スプリットから"Obedient Automaton"と来て未発表曲と続きます。ヴォーカルエコーをループさせてジャスティンの咆哮が鳴り響く中、ハーフステップ・ビートとハウリングノイズ&ハーシュノイズが組み合わさる地獄絵図のような様相に会場が陥るなど。それでもビート感は失われていないし、ノイズでも踊らせられる感じは凄いなぁ、やっぱり。最後は「Posthuman」からダブステップっぽい"Underfoot"とこれまた未発表曲?をやって締め。最後の曲はWSD名義だったのかFinal名義だったのか。欲を言えば"knuckledragger"や"Idle hands"も聴きたかったのですが、それはまた別の機会にということで。今回はノイズとダブが交錯するやや特殊なセットだったわけですが、ジャスティンのノイジーな側面がここ日本で初お披露目となり、改めてジャスティンがThrobbing Gristleから脈々と続くUKノイズ・インダストリアルの血の繋がりを再認識した次第。これだけでも来た甲斐がありました。

  • Russian Circles

SET LIST
1.309
2.Harper Lewis
3.Geneva
4.Burial
5.Carpe
6.Deficit
7.Mlàdek
〜アンコール〜
8.Youngblood

幾度と無く来日を熱望されたインストゥルメンタル・ロック/ポストメタルの巨人Russian Circlesが待望の初来日!んでもって本日は事前情報によりフルセットでやってくれるそうなので期待値がとても高かったのですよ。(LTAB本編では40分程度しかやらなかったそうな)
ショーは21:20過ぎ頃にスタートし、一曲目は彼らのセットのド定番である4thアルバムの「Empros」より"309"から。どんよりとしたイントロを経て軽快なドラムを叩きつつ、ダイナミックなアンサンブルが会場に響き渡る!そう!これを見に来た!明らかに日本から生まれることのない肉食性インスト・ヘヴィロックの極致。こう、獣性を伴った力技のインストロックって他に例が無いと思うのですよ。彼らの凄いところは叩きつけるようなバンドアンサンブルをテクニックとパワーで押し切ってしまうところ。勿論繊細なところもあるのですが。また、ドラマーのデイブ・クランツの躍動感がある手さばきも凄い。ポストメタル系統では意外にも手数が多くて全くダレずに聴かせる手腕はお見事。(因みにISISの欠点はドラムが弱いところ)それと下から当てられるライティングによってスティックを振りかざした時の見栄えのカッコ良さは二割増しぐらいありました。ホントマジイケてる。

そして特徴的なのはこういう系統では珍しくベースがゴリゴリと主張して来る部分。ここのベースといえば3rdアルバムの「Geneva」から加入したブライアン・クック(ex-Botch,ex-These arms are snakes)なのですが、流石鉄人。スキルが段違い。エフェクターペダルやサンプラーを駆使して音のレイヤーを重ねていくのが素人目でも上手すぎる。おまけに見た目のくまおじさんみたいな風貌のゴツさもヤバい。こう、サスペンダーを履いてビシッとガチムチ紳士な服装で

と迫られたら誰も拒否出来ないと思うのですよ。あの場に居た人はみんなそう思うはず。
ええと、話を戻しましょうw 二曲目は2ndアルバムの「Station」から"Harper Lewis"をプレイ。イントロからしなやかに打ち鳴らされるドラミングや、後のまるでメシュガーを彷彿とさせるゴリゴリなユニゾンリフもバッチリ決まっていました。この辺のややカッチリとした感じのマスロックを内包したようなところもこのバンドの持ち味だと思うのですよ。それから三曲目にはひたすらリズムとフレーズを重ねていく感じの。超ヘヴィーなベース・ラインとユニゾンリフが耳に残る"Geneva"(3rdアルバムのタイトルトラック)、四曲目にはダークというよりはむしろ邪悪といっても差し支えのないトレモロピッキングのフレーズが強烈な"Burial"(目下最新作の5thアルバム「Memorial」より) 、五曲目は儚いイントロからドラマティックに展開していくポストロックアプローチの"Carpe"(1stアルバムの「Enter」より)と続きます。
ちょうどここで40分ぐらいだったのですが、この日はまだまだ続きます。六曲目にはブラックメタル感化のシンフォニックなイントロがフロアを覆い尽くし、後半ではドラムが走り始めてシュレッドリフの応酬も加わるなど展開に飽きない"Deficit"(「Memorial」より)、七曲目の本編ラストは明るいメロディーを綴りつつも、ダークな雰囲気に変貌してゆっくりと谷底へ引きずり込んで最後には全てをなぎ倒す"Mlàdek"(「Empros」より)。この曲ではギターのマイク・サリバンが右手でタッピングしてフレーズを重ねていくなど技巧派な側面を見せつけていました。三人という限られた人数ながらも各人がマルチタスクで小技をねじ込んでいくのは見事と言うしかないですな。
アンコールでは「Station」より"Youngblood"をプレイして締め。緻密なフレーズが反復されるイントロからアップテンポで尚且つハイテンションに展開されるこの曲。後半のぶり返すような波のある展開も聴き逃せなかったです(終電ギリギリでとっとと帰りたかったのは内緒だ!)

終わってみればトータル一時間強。いやはや強烈なバンドでした。ポストメタル系統では新作を出したら新作しか演らないようなイメージがあったのですが、(特にISISがそうだった)、新旧満遍なくやってくれたセットでしたね。現在進行形で動いているジャンルの音楽鳴らすユニットと、音楽シーンの前線を走るバンドの音楽が激突した熱い夜でした。LTAB本編より充実度が高かったりして・・・w