FUJI ROCK FESTIVAL'14三日目

三日目は生憎の雨。いや、恵みの雨か? 前2日と比べてガクッと涼しくなったし。今年は雨対策バッチリなので若干ルンルン気分。三日目はOutKastぐらいしかちゃんと見たいものねーなーって感じだったのであっさりめな感想で流していきます・・・w

朝から低気圧にやられて体調絶不調ながらもなんとか起きてレッド・マーキーへ。皆雨宿りの如く集まっている。



SET LIST
1.葵
2.時雨前
3.黒
4.⊿
5.左の種
6.曦ヲ見ヨ!
7.猿の手
日本のポストロックバンドの先駆け的存在であるdownyが昨年に再結成。新作の第五作品集『無題』をリリースして精力的にライブも行い、そして満を持して今年のフジに初参加ということで。バンマスの青木ロビン(Gt,Vo)が「こんにちは。ダウニーと申します。(低姿勢)」と告げて第二作品集「無題」収録の"葵"からスタート。バックに鳥が羽ばたく映像を映しながら朝から苗場に轟音をまき散らしていく。
私的なところで音源を聴いた感じ、青木氏の特有の甘ったるい歌声(ロキノン臭いともいう)が苦手だったのですが、ライブでは殆ど気にならなかったかな。かつて某マッドのKYONO氏が「声も音なんだよ」とかってインタビューで言ってたような気がしますが、まさにその通りかなと。真っ赤に焼きつくような映像を背にして新作の第五作品集「無題」から"時雨前"、"黒"と続いて行きます。
みんな演奏上手いなー(小並感)と思いつつ青木氏のギター捌きを見てましたが、やはり特筆すべきなのはドラムの秋山隆彦氏の手数の多い複雑なドラミングでしょう。"曦ヲ見ヨ!"での人力ドラムンベースとも言うべきポリリズミックなビートの連発といったらもう!音源聴いた時はこれ打ち込み何じゃねーの?と思ってたけど、実際に叩いていて唖然。
キーボードの音が出ない?トラブルがあったため当初セットの予定にあった"下弦の月"がカットされ、ラストは1stアルバムの「無題」より"猿の手柄"で締め。演奏を始める直前に青木氏が祝辞を述べていましたが、「またフジロック出してね?(テヘッ」と照れくさそうに言っていてこの野郎!(褒め言葉)と思いましたw 僅か40分程の出番でしたが、カッチリとした強固な演奏による轟音を楽しめました。

downyが終わってフェス飯タイムにしつつも微妙に体調が悪くなってきたので、グリーン後方で寝ながらBeginを見つつ休憩。ゆる〜いMCと共に"かりゆしの夜"やメガヒット曲の"涙そうそう"など鉄板チューンを連発して集まった観客を沸かせていました。ただ観客にリクエストせがみつつも、イカ天世代ドストライクソングの"恋しくて"が上がった時は「(いろいろ事情があって)・・・はっきり言おう!出来ない!」とリクエストを断る場面もあって笑いました。なんだろう?リハやってないのかな?権利関係上の問題かな?まぁ、なんだかんだで盛り上がっていました。
それから面白PVで知られるOK GOを見にレッドへ戻る。

お 前 ら も 紙 吹 雪 か
曲ごとに毎回紙吹雪を噴射していましたw ひとしきりゲラゲラ笑った後に飽きて移動。(元々そんな好きなタイプのバンドじゃない)
J-WAVE/Inter FMのブースでクリス・ペプラーがMCを務める中、ゲストに日高のおっさん(愛称:大将or帽子)が登場。取りあえず眺めつつ、帽子が「今年は(見たいバンドの)被りがヒドイねー」と発言していたので思わず(心のなかで)お前が言うな!と思ったりw 取りあえずブラフマンのトシローのアコースティックセットでもチラ見するかーと思いジプシー・アヴァロンへ移動。そしたら想像以上の人だかり・・・

いやぁ、TOSHI-LOW人気凄いなぁ(棒読み)途中から見たのですが、ゲストにtoeのYAMAZAKI氏を迎えて持ち曲のアコ版でも演るのかと思えばゆらゆら帝国の"空洞です"(!)のカバーが飛び出すサプライズが。それに加えて二人のアホアホなトークもあってなんともゆるーい雰囲気が回りを包み込んでいましたw 

因みにどんなトークだったかというと、「トシローが18〜19ぐらいにスメリング・カンツ(直訳:まんこの臭い)ってバンドやってたものの、ビースティ・ボーイズのアダム・ヤウクに「お前ら名前変えろ!」って怒られた話」や「toeのYAMAZAKI氏が風俗で書く名前はヤマモト」などホントどうでもいい話でしたw
明らかに予定時間をオーバーしているのにも関わらず、最後に思わぬ展開が。トシローが昔付き合っていた彼女の話を始めて。その彼女とは99年のフジの時に一緒に行ったそうですが、そこで見たイースタンユースで彼女が感動して号泣してしまったそう。後にその彼女とは別れるわけですが(現在は女優のりょうと結婚しているのは周知の通り)、実はその彼女がゆくゆくはtoeのYAMAZAKI氏の奥さんだったりする意外な事実。で、その奥さんは311の震災の一週間後に先立たててしまう悲劇がありまして。こうしてここにみんな集まってるのは偶然では無いだろうし、人は色々なところで繋がっているし、奇跡的かつ奇妙な偶然の積み重ねのバランスの上に成り立っているという、重たい話になっていました。そんなところで披露されたのがアコースティックVerのtoeの”グッドバイ”とブラフマンの”arrival time”。僕は特別にどちらのファンでも無いのですが、先述の話の後なので思わずグッと来てしまった・・・ 皆の涙をすする声も響きつつ、アヴァロンに感動を呼び込んでいました。ただチラ見する程度だったのに、結局最後までいたし来てよかった。ちょうど終わった頃に晴れ間も見えました。

天気に合わせるように体調も良くなったのでアイスランドのSSWことアウスゲイルを覗きにホワイトステージに移動。

涼しい夕暮れ時のホワイトステージにメロディックなフォークは合うなぁ・・・と思う反面これは眠気を誘うなとも感じてしまった。キリの良い所で渚のKINGを拝みにオレンジコートへ移動。ああ、ところでスマホでアウスゲイルと入力したら
あ薄毛いる
と変換されてしまったことを書き残しておく。 あ、薄毛いる! 頭部も涼しい!
で、渚の若大将こと加山雄三率いるThe King All Stersを途中から見に来たら思いのほか人がいっぱい。

若大将のバックにはそうそうたるメンバーが集っていてものすごい。ざっくり挙げると、キヨサク(上江洌清作)(MONGOL800)、佐藤タイジシアターブルック)、名越由貴夫(Co/SS/gZ)、古市コータロー(THE COLLECTORS)、ウエノコウジthe HIATUS)、武藤昭平(勝手にしやがれ)、高野勲、山本健太、タブゾンビ(SOIL&"PIMP"SESSIONS)、とまぁよく集めたなw
そんな強固なバックバンドを迎えて"君といつまでも"やラストに演った"海 その愛"など往年のヒットソングに加えて、映画「パルプフィクション」のテーマも飛び出すなど充実した選曲ぶり!特に"君といつまでも"のアコースティックな語りではとてつもないフジロック最終回感がありましたな!間のMCでは「おれロックンローラーなんだけどさあ、緩い曲が売れちゃったから路線まちがっちゃったよ(苦笑)」とここに来て本音をポロリw そういう本音が飛び出すほど充実したものがあるのでしょうなぁ。そういえば若大将エレキギターを片手にロックンロールを楽しんで演奏してる姿なんてテレビでも見たことが無いなぁと、ふと思うなど。

"海 その愛"では山の中なのにも関わらず「うーみよ〜♪俺のう〜みよ〜♪」苗場山に木霊してか、またしても雨がちらついてくるなど・・・w 山の波飛沫か!若大将が海と歌うからここは海なんだ!(と、自分に言い聞かせる)みんなお手を拝借し、大団円の中フジロッカーの心を鷲掴みにしたのでした。

みんな"サライ"演らなかったねーと漏らしつつ、レッド・マーキーに何かいるとの報告を受けてSBTRKTを見に移動。
いた!


ステージパンパンに膨らまされた獣のバルーンに目が行ってしまうw ポスト・ダブステップ系DJ/アーティストとして知られるSBTRKTですが、バンドセットを引き連れてのステージング。しかし今回はどうも歯切れが悪い。途中から見始めましたが前半がだるだるダウナーなトリップホップなチューンを鳴らしてて、後半になってやっと勢いを取り戻してアッパーなダンスチューンを並べてきたようなセットでした。・・・これは控えてる新作どうなんだ?と首をかしげるなぁ。元々ダブステップ自体もBPMが速いわけでも無いのでノリずらい感じであるのですが、これはちょっと盛り上がりに欠けていたなぁという印象。MCのサムファもあまり調子が良さそうには見えなかったし。まぁ、リベンジに期待!ってとこですか。
そしてご飯休憩を挟んでFlaming Lipsを途中から見てました。


ウェイン・コインがなんかゆるキャラと戯れてる(;´Д`) 実はフジロック初出演だったりするフレーミング・リップス。最初の頃は後ろで見ていて、終わり頃に前の方に移動。(どうやらその間に例のバルーン移動があったらしい)バックにびっしりと貼り付けられたバルーンがあり、天井からはLED?が仕込まれた紐みたいなのがぶら下がってて学芸会みたいなステージの中サイケデリックな演奏に合わせてウェイン・コインがしっとりと歌っていました。当ののウェインも進撃の巨人みたいなコスチュームに身を包んでポンポンを振り回したり、巨大なゆるキャラにちょっかいを出したりと、変なおじさんオーラを存分に醸し出していましたが・・・w これまた僕は熱心なリップスファンでは無いのでぼんやり見ていましたが、これまたフジロック最終回感のあるラストの"Do You Realize?"では思わずグッと来る瞬間がありました。最後にはウェインが星さんキャラの手を引いてステージ袖に連れ帰っていました。個人的に思うのですが、あの宇宙人とか星さんなどは不器用な人間そのものなのかなと。色んなヤツがいるけどさ、不器用なりに生きていこうじゃん?的な。考え過ぎか・・・w 雨は降っているものの、フジロッカーの気持ちは温かくしてくれたでしょう。そんなライブでした。
そしてホワイトステージの大トリ、OUTKASTを見に最後の移動。トイレ待ちの時にKelis見たけど、過疎っていた(苦笑) 最終的にはそこそこ人が集まっていたのでよかったですが。

SET LIST
〜Big Boi&André 3000〜
1.B.O.B.
2.Gasoline Dreams
3.ATLiens
4.Skew It on the Bar-B
5.Rosa Parks
6.Da Art of Storytellin', Part 1
7.Aquemini
8.SpottieOttieDopaliscious
9.Ms. Jackson
〜Big Boiのソロ〜
10.Kryptonite (I'm on It) ※Purple Ribbon All-Stars cover
11.GhettoMusick
12.The Way You Move
〜André 3000のソロ〜
13.Vibrate
14.She Lives in My Lap
15.Prototype
16.Hey Ya!
〜Big Boi&André 3000〜
17.Hootie Hoo
18.Crumblin' Erb
19.Southernplayalisticadillacmuzik
20.Player's Ball
21.Elevators (Me & You)
22.Roses
23.So Fresh, So Clean
24.Int'l Player's Anthem (I Choose You) ※Underground Kingz cover
25.The Whole World
ヒップホップはそんなに知らなくても洋楽好きなら最早誰でも知ってるっていうポップアイコンレベルのOUTKASTが(おそらく)初来日&初フジ!ってことで。今年で結成20周年を迎え、七年の活動休止を挟んで結成祝いのワールドツアーを発表し世間をどよめかせたのも記憶に新しいところ。フジでヒップホップって正直どうなの?という答えもありましたが果たして。
小雨だった雨がやや強く降り注ぐ中、女性ベーシストとDJと、そして女性バックコーラスの二人(片方は黒い天使の羽を着飾っている)がステージに現れる。当然全員黒人。

1stアルバムの「Stankonia」のジャケットアートをあしらった黒い星条旗のバックドロップがスクリーンにデカデカと映しだされた後、満を持してBig BoiAndre3000の二人が登場。一曲目は勿論1stのリードトラックである"B.O.B."から。初っ端からハイテンション!そして早口ながらも流暢なラップスキルを魅せつける二人。素人目に見ても上手い!これには自分もブチ上がってノリノリにw


パッチワークのようなへんてこりんなピンク色の服装のビッグ・ボーイと、白いカツラに「God.or God?」とプリントされた黒いツナギを着たアンドレという、どちらも個性が強すぎてどう見ても変な二人。しかしながらやっぱりラップが上手い!二人の掛け合いもバッチリでブランクなんて無かった!と言わんばかりの圧倒的なパフォーマンス。ライブ中には第三のメンバーと知られている白いガウンを着たスリーピー・ブラウンが登場して、三人横一列に並んでヒョコヒョコと踊りながらライムを刻んだり、コーラスをとる一幕も。また、アンドレスリーピー・ブラウンを紹介した時に「こいつは朝でも夜でもスリーピー(眠そう)だぜ!」と言っていたことをご報告しておきますw
それから"Ms,Jackson"をプレイする前振りには、二人が「ジョンソンの曲やるぜ〜? おいおいジョンソンじゃねーだろ!ジャクソンだろw えーとなんだっけ?ジャネットジャクソンだっけ?いやジャメインジャメインだっけ?w」みたいなコントをしていましたw 変な人達だw (因みにたまたま宿で相部屋だった外人に"Ms.Jackson"は「あんたのとこのジャクソンさんとヤっちゃってごめんなさい」みたいな歌詞だと教えてくれました)
それからはアンドレがステージから退いてビッグ・ボーイのソロタイムへ。


となると当然プレイされるのが音楽史に燦々と輝く大名盤の「Speakerboxxx/The Love Below」からの曲!まずカヴァー曲を披露した後、名刺代わりに"GhettoMusick"を披露!まくし立てるようにラップするものの、全く途切れること無く歌えてて凄いなと。その次に披露したのがメガヒットソングの"The Way You Move"!!キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! 原曲通りにここでもスリーピー・ブラウンを呼び込んでプレイ。スリーピー・ブラウンの艶やかなファルセットボイスと対照的に、落ち着いた感じのビッグ・ボーイのライムが絡み合っていく。ソウルフルなこの曲に思わず年甲斐も無く横揺れしながら踊ってしまったw いやぁ、この曲鉄板だわー。
あっという間にビッグ・ボーイのソロタイムが終わり、ビッグ・ボーイが「みんなでアンドレを呼ぼう!」とアンドレコールをファンに則してバトンタッチ!



小中学生が見たら思い出しオナニーしかねないややエッチな映像が映されつつビッグ・ボーイの時とは打って変わってファンクやソウルなどの影響が強いアンドレの曲が続く中、最後には待ってました!とばかりにウルトラメガヒットソングの"hey Ya!"が!
キタ─ ̄─_─ ̄─(゚∀゚)─ ̄─_─ ̄─!!!!
ステージにラッキーなフジロッカー女子が9人ほど現れて(どうやって選ばれたんだろ?)、アンドレが「用意はいいか?」とファンに呼びかけて演奏開始。定番のコーラスが苗場に響くやいなや観客もブチアゲ大盛り上がり!!これを見に来た! 曲後半のコール&レスポンスもバッチリ決まって盛り上がりもひとしおに。

二人のソロタイムも終わり、ライブも終盤に。ここからは彼らのクラシックナンバーが披露されていました。私的にはGTAVのFlylo FMでもお馴染みの"Elavators (Me & You)"をプレイしてくれて嬉しかったですね。それと"Roses"やアンドレに「テント生活で風呂入って無いと思われている」と言及されたフジロッカーに捧げる"So Fresh, So Clean"などキラーチューンが連発されて、古参ファンのハートもガッチリ掴んでいたかと思います。
ラストはアンドレ曰く「俺たちやみんなや世界中の人たちの曲」であるOUTKASTWe are the worldな"The Whole World"で締め。ワッワ〜♪というコーラスと共にスクリーンには詰め寄せた観客の姿が。フロウに合わせて手を掲げる様が映しだされてホワイトステージが独特な一体感に包まれていましたねー。


気づけばあっという間に時間が過ぎていき、たっぷり一時間半全25曲とても楽しめました。ヒップホップにそんなに詳しく無くても絶妙なポップネスの地力が勝っていた印象でした。個人的にもヒップホップのライブを見たのは久々だったので新鮮な空気も感じましたなー。フジのやれヒップホップはダメだのブラックミュージックはダメだの、そんなことは全然なくて要は演者のスキルの問題だろうと。裏に物凄い被りがあったら仕方ないけど。

ここで取りあえず満足しきったので真っ直ぐ宿に帰りました。楽しい三日間もあっという間に終わってしまう!悲しい・・・!洋楽不況だのメンツが弱いだの色々叫ばれてますが、終わってみればこんなに人が集まって盛り上がってるしそんなのどこの話だよ?ってわけで。
ではまた来年!

番外編へ続く・・・