FUJI ROCK FESTIVAL'14二日目

暑い。
熱いじゃなくて暑い。ていうか避暑地の苗場で30℃超えの気温てどういうこと・・・:(;゙゚'ω゚'): 何か最高気温が予報で34℃とか出てるし。ただでさえ体調が微妙だというのに!なんとか午前中に起きてフィールドオブヘブンのピザ食いながらオレンジコートに行ってモンゴルに隣接するトゥバ共和国ホーメイ(ホーミー)の名手ことHuun Huur Tuをちら見。ホーメイといえばMayhemのアッティラさんがやってることぐらいしか知らないのですが、本場のものを実際に見るとやっぱり凄い。これはドゥームだ、と素面で思った。インスタで見てくれた方が早いかも。しかしこの炎天下で聴くもんじゃねーなwとも思ったので途中離脱してホワイトのWhite Lungへ移動。
行ったらメンバー自ら音出しリハーサルやってるという。

  • White Lung




女声カナディアン・ハードコアパンクバンドことWhite Lungがまさかのフジロックの初登場&初来日!最新作の「Deep Fantasy」がインディー大手のドミノ・レコーズ(日本盤はホステス)からリリースされたこともあってか、一気にステップアップ&来日の足掛かりを作った感じですね。元々日本のコアなパンクシーンでは名が知られていたものの、フジの観客にはどう見えたか?というところも見逃せないです。僕も最新作は上半期ベストの選出したし、かける期待は大きいです。
メンバーが登場するなりステージ左のケネス・ウイリアム(Gt)がギターをかき鳴らす。カミソリのように切れ味鋭いシュレッドリフから繰り出されたのは勿論最新作の一曲目であり、シングルリリースされた"Drown With the Monster"から。ケネスは明らかにメタルを知ってるというかスラッシーなリフを弾き出すので頼もしい限り。いい意味でラフなスラッシュ・ハードコアパンクサウンドを苗場に轟かせていました。フロントウーマンのミッシュ・ウェイ(Vo)姉さんが身振り手振りを交えつつスクリームし、集まった観客を釘付けにしていく。この人見た目以上に声量があってビックリ。頭にペットボトルを乗せて歩き出したりチャーミングな一面も。ところで、
なんですかこのスケスケドレスはー!


黒のブラウスとショーツがシースルードレスから透けているw ねぇわざと?わざとなの? と野郎の視線を集めた後に「もっと騒げー!アタシたちはうるさいのが好きなのー!」とLOUD AS FUCKにアジテートしていく。序盤は観客もまばらで様子見という感じでしたが、次第に激音を聞きつけたフジロッカーが集まり始めて熱気も上がりモッシュ&ダイブが発生して大分盛り上がっていましたね。ここで他のメンバーに触れておきましょう。実は昔在籍していたポップパンクバンドのRiff Randells(現在は活動休止・・・?)で来日経験があるアン・マリー(Dr)。伊達メガネというか不格好なサングラスをかけてクールに決めつつ、タイトなドラミングを披露していました。久々の来日はどう映ったでしょうか。 そして忘れてはいけないのがヘザー・フォーチュン(Ba)。この人もLAを拠点にしたWax Idolsというポストパンクバンドをやっていまして。昨年からWhite Lungにパーマネントなメンバーとして加入し、自分のバンドと折り合いつけつつ活動しているっていう感じですね。この日はゴシックなドレスを身につけハードにベースを弾いていて、その見た目といったらジョーン・ジェットやブロディ・ダルを彷彿とさせるクール・ビューティな姉御肌といった感じでしたね。主演後にもあのベースの人カッコ良かったとの声もチラホラと。(だが私は弾いてる時にピック落して若干テンパってたお茶目な一面を見逃さなかったぞ・・・!)
セットの方はどうだったかというと、最新作を中心にプレイしつつ2ndアルバムの「Sorry」から"Take The Mirror"や"The Bad Way"、昨年リリースした7"の「Song of The South」から"Blow it South"、あと1stアルバムからも一曲やってましたね。キャリアから万遍なくやってもトータルタイムが正味35分という潔さ。今急上昇中のバンドのソリッドかつシャープに攻めてきたライブでした。※ミッシュ姉さんが今回のライブは大変満足したようで、来日滞在記を書き下ろした程でした(リンク先英文)。きっとこういう人は後ろで見てたんだろうし、

それからご飯休憩のためにオアシスでゆっくりした後、本日のDQN枠のためにホワイトへ戻る。

  • The Qemists




UKのデジロックエレクトロバンドことThe Qemistsフジロック初見参!サマソニ09に出た時は大変不評(主に演奏が下手で雑)を買っていたものの、あれから五年経ってどの程度成長したのかが見どころな訳ですよ。プロディジーは新作出さないし来日もしないし、ライバルのPendulumは活動休止してリーダーののロブがKnife Party始めてEDM方面行っちゃうし、ビッグビートを鳴らす第三極のバンドとしても期待が大きいっていうね。
リハーサルで黒人(インド系?)MCのブルーノ・バランタが自らマイク・チェックしつつ、熱心なファンにアイコンタクトや手をかざしたりとフレンドリーな一面を見せたりしながらいざ本番。コアメンバーのダン(数年前からライブではベースを使わずにシーケンサーサンプラーを操るサウンドシステムブースになった模様)とリアム(Gt)とリオン(Dr)に加え、前途のブルーノとSkrillexのレーベルことOWSLAのシャツを着たマット・ローズ(Vo,MC)の五人編成でステージに立つ。早速MCの二人が観客を煽っているw ブルーノが日本語でゲンキデスカーッ!とも煽っていて猪木かよ!と突っ込みたい事案も。一曲目は1stアルバムの「Join the Q」より、かのマイク・パットンがフィーチャーされてることでも知られている"Lost Weekend"から。ブレイクダウンからのアイガッチョマニー!と叫んでリズムチェンジして早速巨大なモッシュピットが発生。あーもうめちゃくちゃだよ(歓喜
当然僕も血が騒いでピットに突撃!漸く暴れ枠が回ってきたな!ただでさえ雨が振ってないので砂埃が酷い!ステージからスモークの残り香も舞っていて砂埃と混じって何がなんだか分からない空気で最悪で最高!(?)そして何故かこういうDnBバンドのピットには女子が多い( ^ω^ ) 続いて2ndアルバムの「Spirit in the System」より"Your Revolution"、"Dirty Words"へと流れていきます。マットがクリーンなヴォーカルを聴かせつつやっぱりリズムチェンジしてピットが大運動会と化すっていう。うん、知ってた。前者だったか巨大なサークルピットも出現していましたね。お前らこんな夕方の暑い時間帯なのに元気だなおい!(白目 
演奏の方も多少荒くてもノリで押し切ってしまう圧倒的なパワーが有り、なるほどハードコア由来のバンドなんだと感じました。この辺がメタル寄りのPendulumとの違いなんでしょうな。ここで気になったのはマットのヴォーカルスタイル。数年前からライブメンバーとして参加していて、異様大きい声量でスクリームもクリーントーンもそしてハイトーン(!)も器用にこなすし一体何者なんだ?と思って調べてみたら元々Djent系のメタルコアバンドに在籍していたんですね。(因みにMonumentsというバンド) なるほど、どうりで上手いわけだ。
何故か神輿のようにダイバーが運ばれつつ(?)、くっそ早いBPMの"Be electric"のVIPバージョンや、昨年緊急リリースされたシングルの"No More"とかっ飛ばしていったところでこの日最初のサプライズが。
なんとビースティ・ボーイズの時代を超えたパーティーチューンこと"Fight For Your Right"のカヴァーをかましてきたじゃないですか!!!それも当然こいつらが演るのでメタリックかつエレクトロ・ダブな仕上がりに。これには馴染みの深いフジロッカーも大盛り上がり。You Gotta Fight! For Your Right! TO Paaaaaaaarty!!!!! と鉄板のシンガロングもバッチリ決まってピットも大いに沸き上がってました。フェスにこういうパーティー野郎がいるのはいいことですよ!そして続けざまにもう一つのサプライズが。「この日のために新曲を用意してきたぜ!フジロックのためにな!それも世界初さ!」と告げられて披露されたのが今年中にリリースが予定されている新作より"Jungle"。ちょうど苗場の森の中でジャングルとはシャレが効いてるな?と思いつつ、ジャングルっぽいベースサウンドドラムンベースも組み合わさった新曲は即効性バツグン。このバンド特有のわかりやすさノリやすさも人気の秘訣っぽいですね。
ラストは1stアルバムから"Stompbox"をやって締め。ここでブルーノが「ミナ、シャガンデー!ミナ、シャガンデー!シャガンデー!」と呼びかける。しゃがんでって?マットも手を下にかざしDown!Down!と呼びかけているのでしゃがむのが正解だったのかしら。(その後クリス・ペプラー氏がこのようなツイートをしていたので謎は深まるばかり)その後は当然一斉にジャンプ!続いて巨大なモッシュピットも発生!と、見事にこの日のDQNバンド枠の仕事をバッチリこなしていたのでした。思い出せないだけで他にも何曲かやっていたと思うのですが、1stアルバムを中心にプレイしていたような記憶。2ndからTake it BackとかHurt lessとかも聴きたかったにゃん・・・ まぁ、新作出したらまた来てくれることを願いましょう。ポストPendulum、いやポストProdigyとしてポジションをしっかりと果たしていたライブでした。

いやー、運動会終わって疲れたなーとちょっと小休止した後、USインディーの変な女の人を見にレッド・マーキーへ。やっぱりレッドの中が蒸し風呂状態で暑い・・・

  • St.Vincent

女帝降臨!



SET LIST
1.Rattlesnake
2.Digital Witness
3.Cruel
4.Marrow
5.Every Tear Disappears
6.Surgeon
7.Cheerleader
8.Prince Johnny
9.Birth in Reverse
10.Huey Newton
11.Bring Me Your Loves
12.Your Lips Are Red
USインディーの女帝にして美の奇人SSWことセイント・ヴィンセント(本名:アニー・クラーク/以下アニーと表記)が苗場の地に初降臨!新作の通算四枚目となるセルフタイトルアルバムも好評で、今をときめく旬の人だと思うし待望論が根強かったのではないでしょうか。ステージ後方には噂のお立ち台がそびえ立つ中、出番を待つ。BGMでTim Heckerのravedeath,1972が垂れ流しにされてる中(アニーのお気に入りかしら?)、定刻になると同じくTim Heckerの同アルバムよりThe Piano Dropのイントロが前奏曲として流れ出す。アナウンスのような音声が流れた後に堂々とスラっとタイトなドレスに身を包んだアニーとサポートメンバーが登場。余裕のある笑み(というかドヤ顔)を浮かべつつステージ中央の定位置につくと、"Rattlesnake"のデッデデデ〜♪というイントロと共に踊りだすではありませんか。新作を引っ提げたツアーからこういうパフォーマンスを取り入れているみたいですね。(コラボしたデヴィッド・バーン先生の影響かな?) youtubeなどでライブ動画を見ている人にはお馴染みの光景ではあるのですが、初見の方は思わず面食らったのでは?スルスル〜とすり足早歩きでマイクスタンドに近づいて歌い出し、「アッアアアアーアッアー♪」と耳に残るコーラスを放つ。そしてまたスルスル〜と斜め後ろに下がってローディーからギターを受け取るとアニーの本領発揮。ステージ前に詰め寄って無茶苦茶にギターを弾き倒す!

そう、コレを待っていた!アニー本人としても自分はまずギタープレイヤーだと自認しているし、フジロッカーにもアヴァンギャルドな彼女の姿を見て強烈なインパクトを与えたかと思います。続いて新作からのリードトラックでありPVも作られブラスセクションも交えてゴージャラスな"Digital Witness"、前作の「Strange Mercy」より全米でスマッシュヒットを記録し、生き埋め真顔PVでもお馴染みの"Cruel"と序盤からキラーチューン連発。この辺りだったか、やたら長々とMCをしていたので何を言っていたのと思えばこういうことでした。見た目以上に思慮深い側面を垣間見た気が。続いて2ndアルバムの「Actor」より、サイケデリックな曲調に非情なノイズギターが炸裂するひねくれたポップソングの"Marrow"、新作から"Every Tear Disappears"、そして前作よりファンキーなギターフレーズが特徴的な人気曲(4ADセッションでもお馴染み)の"Surgeon"とプレイされていきました。
ここでアニーが後ろのピンクのお立ち台に立つ。

そしてプレイされたのが前作より"Cheerleader"。「アーッ!アーッ!アーッ!」とリフレインする歌詞が脳内にこだまするこの曲ですが、お立ち台にそびえ立って歌うのは歌詞(何者にも囚われずに自分自身であり続ける意匠を含む)やPV(アニーが崩落する巨像となっている)を意識してのことなんでしょうか。そのままアニーがお立ち台に立って新作から"Prince Johnny"を披露しヘヴィーなギタープレイを終えてローディーにギターを預けると、突如しゃがみこんで倒れて崩れ落ちるようにゆっくりとお立ち台から降りていくではないですかw

最終的には寝転がって犬神家的落下というオチw どこまでも変な人!w
ライブも佳境に入り、新作から"Birth in Reverse"をプレイ。デーデッ!デーデッ!とファズがかかったようなイントロを経てコーラスパートで「逆子で産まれるように」と皮肉っぽく歌うこの曲ですが、見どころは別にあって。ライブのサポートメンバーであり今や無くてはならない存在である元Blonde RedHeadで現Enonのヤスダ・トーコさんと、デヴィッド・バーンのバンドに参加経験があるシンセ使いのダニエル・ミンテリースとの息の合ったパントマイムのようなダンスw これを見に来たw youtubeで何度もみているものの、実際に見るとやっぱりシュールw 君らデヴィッド・バーンStop Making Sence見ながら考えてたでしょ!そして更にはアニーとヤスダさんがギターを抱えたまま交互に前後へスルスル〜と動く謎の掛け合いも。

これもやっぱりシュール。この時は一際歓声が上がっていましたね。続いて新作からアニーの当て振りのようなひょこひょこした振付と、ヤスダさんと向かい合って共にディストーションのかかったギターサウンドを響かせる"Huey Newton"と、また新作からまたしてもアニーがヤスダさんと共にギターを抱えつつクルクルと回ったり、遂にはダニエルも交えて三人の息のあった振り付けも楽しめる"Bring Me Your Loves"と見逃せない見せ場をドンドンかましていきます。もうなんというかライブというよりもコンテンポラリーなアートパフォーマンスのような趣きもあるんじゃないですかね、これは。
締めは1stアルバムの「Marry Me」から"Your Lips Are Red"をプレイ。で、この曲でアニーの真髄というか狂気性を見た・・・!儚げななヴォーカルとは対照的に不協和音も混じったノイジーな演奏を聴かせる様はドリーミーというより悪夢、というかセイント・ヴィンセント版ジャンクロックとも言える様相に。なるほど、Swansのマイケル・ジラからラブコールを送られるのも納得。ラストではアニーがギターを抱えたままフロアへダイブを敢行!

上半身から突っ込んでまたしても犬神家方式に倒れこんでいましたw そんなに横溝正史が好きか!最後はルンルンと小走りにステージを後にしたアニー。どこまでも変な人だったw 今をときめく女性シンガーの歌と踊りが楽しめる狂気と娯楽性が入り混じった圧倒的なパフォーマンスでした。また来日してくれ〜!

フジロック二日目もいよいよ大詰め、メインのArcade Fireまで時間に余裕があるので少し休憩。

人が大勢詰め寄せる中、どんうぉりどんうぉりw(まぁ、酷かったらしい)の誘惑を振りきってグリーンの前方ブロックの左のエリアへ移動。BGMでフェラ・クティのZombieが流れる中真っ白なステージングが準備されていて、上を見ると六角形の鏡が複数貼り付けられていた。

  • Arcade Fire

SET LIST
1.Reflektor
2.Flashbulb Eyes
3.Neighborhood #3 (Power Out)
4.Rebellion (Lies)
5.Joan of Arc
6.The Suburbs
7.The Suburbs (Continued)
8.Ready to Start
9.Neighborhood #1 (Tunnels)
10.We Exist
11.No Cars Go
12.Haïti
13.Afterlife
14.It's Never Over (Oh Orpheus)
15.Sprawl II (Mountains Beyond Mountains)
16.BobbleHead Band登場〜Rydeen(YMOのカヴァー)〜Normal Person
17.Here Comes the Night Time
18.Wake Up
カナダが誇る世界最高峰のオルタナティブ・ロック/ライブ・バンドArcade Fireフジロックに初登場!6年ぶりの来日ということもあって、この日を待ち侘びた人も多いのではないでしょうか。カニエ・ウェストが出演キャンセルになってフェスに暗雲が立ち込める中、4月に突如出演が決まってネット上が騒然としていたのも記憶に新しいです。(海外とのギャラと人気の差がありすぎて)今ここで呼べないともう日本には来られないだろう、という噂も囁かれていたぐらいですからね。僕自身熱心なファンではないのですが、ロック好きとして見逃してはアカンだろうとゴーストが囁い(ry
定刻になって照明が落ちると、前方ブロックの間のお立ち台にに例のミラーマンが出現!(断じてミラーマン植草ではない)

反射してとても眩しいw

するとミラーマンが日本語で喋り出すではないですか。(実はどこの国でもライブを行う国の言語で喋っている)ミナサーン、コンバンワ!ワータシハ、ミラーマンデス!キョウハ、ハジメテノ、フジロック!オオイニ、タノシンデ、クダサーイ!アーケイド・ファイア
と告げられてプレイされたのが当然"Reflektor"。


新作アルバムタイトルと同名のリードトラックですね。冒頭からコンガが鳴り響き、エレクトリックな異国のディスコサウンドが苗場に炸裂!従来のバンド編成の6人に加え、ヴァイオリン×2(一人はなんとオーウェン・パレット)、サックス×2、そしてコンガを含むパーカッション×2と総勢12名によるパフォーマンスはやはり圧巻の一言。(決して米米クラブ言ってはいけない)フロントメンバー6人全員が横一列に並んでコーラスに参加してる様も凄い。実際に目撃すると、定評のあるライブパフォーマンスにはそれなりの理由もあると実感。なんというか感慨深いですね・・・ 曲の途中でウィン・バトラー(Vo,Gt,etc)がカメラマンのカメラを奪い取って自分の顔を自撮りするイタズラっ子な場面もw 基本的に何かやらないと気がすまない性格かな?Reflektorの切ないアウトロの幕切れの後に、同じく新作からダブっぽい感触もある中南米に迷い込んだようなダンス・チューンの"Flashbulb Eyes"、永遠の名作1stアルバムの「Funeral」より情念のロックソングの"Neighborhood #3 (Power Out)"と続いていきます。特に後者の鉄琴の音色が力強いロックサウンドにアクセントとなって浮かんでくるあの感じは何とも言い表わせないですなぁ。フォークかつトラッドな音楽とでもいえそうな雰囲気がそこにはありました。
続いてライブの定番曲の"Rebellion (Lies)"へ。待ってました! ウィル・バトラー(Sys,Gt,Ba,Per,etc)がタムドラムを持ち歩いて(マイクで音も拾えてないのに)ぶっ叩きながらステージを右往左往!そしてこの曲といえばあの「ラーイッ!ラーイッ!」ってコーラスですね!少なくとも自分の回りではみんな合わせて歌ってましたねー!ただ自分は体調不良につき、喉が枯れ気味で歌えなかったのが心残り。
それから新作より"Joan of Arc"をプレイ。スラッシーなイントロからガクッとブレイクダウンしてズンタッ、ズンタッとゆったりとしたダンスビートな曲調に変貌し、仮面とマントを羽織ったレジーヌ・シャサーニュ(Vo,Per,Piano,Dr,etc)がステージ左のお立ち台に立ってコーラスの掛け合いも楽しめるこの曲。この時のレジーヌはクルクル回っていたり、ずっと旦那のウィンの方を向いて歌っていたりと楽しそうでした。

次はあのグラミーを制した3rdアルバムの「ザ・サバーブス」から"The Suburbs"〜"The Suburbs(Continued)"という至極の流れですよ!裏のスクリーンには少年時代の一時をイメージしたPVの映像が流れる中、ウィンが自らピアノを弾きつつもう戻ってこない少年時代と永遠のサマータイムを想起させるメランコリーな曲が展開されていく。この曲といえばSometimes I can't believe it♪ I'm movin' past the feeling♪という歌詞のシンガロングですが、あまりみんな歌えてなかったのでちょっとがっかり。ラストではウィンが観客にマイクを向けて歌わせてたけど、やっぱり反応が鈍い。これに関してハッキリ言うと、ザ・サバーブスツアーで日本に来なかったのが悪い!(責任転嫁)
まぁ、次回では定着して歌えるようになるといいですね?と願うなど。同じく「ザ・サバーブス」よりNow I’m ready to start!と歌い上げるもののどこか哀愁ただよう"Ready to Start"ときて、新作よりテン年代の(僕の中で)ベストクィアソングと名高い"We Exist"へ。

かの俳優のアンドリュー・ガーフィールド性同一性障害に悩む役としてPVに出演していることでも知られているこの曲ですが、裏のスクリーンにもPVに出てきたフル・モンティ宜しく男性ストリッパーの映像が映されていました。ナナナナナ〜♪とリフレインするコーラスと共にムーディーな雰囲気が漂うダンスソングであるこの曲。場末のクラブでかかってそうだし、私的にもNINのCloserに変わるベストストリップソングなんじゃない?という率直な感想も。そして2ndアルバムの「Neon Bible」からヘイッ!という掛け声が逞しく聴こえる"No Cars Go"へ。この時にはステージ中央でレジーヌがアコーディオンを弾いていました。今さら言うまでもないですが、曲ごとに各メンバーがそれぞれ代わる代わる楽器をスイッチして演奏してて凄いなと。めまぐるしく展開するのがこのバンド強みであり凄みであると改めて実感。そして1stからレジーヌがリードヴォーカルを務めるフォーキッシュな"Haïti"を披露。レジーヌの両親がハイチ共和国から難民としてカナダに移住したということについてはそれなりに知られているでしょう。このハイチにまつわる出来事は新作のテーマとして語り尽くされてるので割愛しますが(各自ググってね)、レジーヌが踊りくねりながら飾りのついたグローブをフリフリして歌う様は愛らしい。そんなにルックスも良くな(ry 愛らしい。ね?(威圧的)愛らしい。 ここでちょっとしたサプライズが。ウィンがモッシュピットでハイチ国旗を見つけたようで、ファンから受け取ると当然レジーヌに手渡してあげるという場面がありまして。

ここでレジーヌのテンションがブチ上がったのか、旗をヒラヒラさせながらクルクルと踊りだしていたw やっぱり愛らしい。最後にはステージ左奥のパーカッショニスト(どうやらハイチ人だそうな)の肩に国旗をかけてあげて、ハイチ語でパーカッショニストが歌い出す場面もありました。とてつもないブードゥー感!
ライブも後半に差し掛かかってきてプレイされたのが新作より"Afterlife"。ここでまたミラーマンが再登場!



ステージとお立ち台と両方見えるポジションについた自分を褒めたい。ピッピッピッと笛が鳴らされてアフロビートも加わりブラジルのカーニバルのように聴こえるものの、それと同時にどこかもの悲しげなな陰鬱な雰囲気も漂わせるこの曲。「オーオーオオー♪」というコーラス(この時もウィンがマイクを向けていた)もさることながら、二回目のヴァース終わりに「Ive gotta Know!」と畳み掛けるところで思わず鳥肌が。思わずグッときて泣きそうになったのですがやっぱり堪えました・・・w どこか「未来は明るい」的な勇気をもくれる印象もあって新作の中では一番好きな曲なので本当に嬉しさがこみ上げてきましたね。
Afterlife終わりにレジーヌがステージを後にすると、さっきミラーマンがいたお立ち台に突如現れて"It's Never Over (Oh Orpheus)"へ。

ヘッドホンとキラキラとしたマントを身につけたレジーヌに加え、映画の「黒いオルフェ(Afterlifeのリリックビデオのやつ)」の死神を彷彿とさせる骸骨スーツ姿のダンサーも登場。(因みにステージ内で撮影したカメラマンも骸骨スーツでした。みんな気づいたかな?)


ディスコビートと80年代のカーペンターっぽいシンセサウンドに彩られつつ、オルフェウスとユーリディスの悲哀を歌うこの曲。ヴァースごとにウィンとレジーヌが交互に歌ったり(この時レジーヌが旦那に熱視線を送っている)、「Hey, Eurydice!」叫んだ後のヴォーカルの掛け合いも魅力的。そういえば何でレジーヌはこの時ヘッドホンしてるのだろう?とずっと思っていたのですが、ヴォーカルの掛け合いで片方のリズムに釣られないようイヤモニ代わりにクリック音を拾ってるんじゃないかと。そう納得しています。
ジーヌがステージのセンターに戻り、自身がリードヴォーカル務めるポジティブなディスコチューンの"Sprawl II (Mountains Beyond Mountains)"をプレイ。で、改めてレジーヌの歌声について思うわけですよ、愛らしいと。この人の歌声は特別上手いわけでもなく、かと言って下手というわけでもなく、じゃあなんだよ!と言えば完全に曲の雰囲気で保っているという凄さ。ある種の危うさっていうのが根底にあって、それが愛おしくみえる。そういうことですな。
ここで一度ブレイクしたのでアンコールかな?と思いきや、直ぐ様例のアレがw

ボブルヘッド軍団キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

フジロック最高!みんなでワイワイなうw」をそのまま体現したような賑やかなステージにw ボブルヘッド軍団は皆Arcade Fireのメンバーの顔に似せてるのですが、一人だけ異様に背が小さいヤツが紛れてるw 誰かのお子さんかな?そのまま何を演るかと思えばYMOライディーンとはw 何故かウィンがスペイン語で「ムーチャス、グラシアス!(本当にありがとう!)」と言い出す場面も。メキシコ辺りのお祭りと関係があるのか・・・? ご当地カヴァーソングはどこの国でもやっているのですが、日本はこれかー。まぁ、妥当かなー。海外で知られている日本の有名ソングとなると中々選出が難しそうだし。そんな賑やかなステージの中、"Normal Person"へ。

勿論新作からの曲であり、「普通ってなんじゃろな?」と単純な疑問を問いかけるこの曲。新作の中でも割りとストレートなロックソングではないでしょうか。ボブルヘッド軍団を出すのも所謂イレギュラーな奴らと「普通の人」とのコントラストを出すためなんでしょうね。
ボブルヘッド軍団が骸骨スーツの女の人に誘導されてゆっくりとステージを後にすると、ショーも終盤に差し掛かり新作から屈指のパーティーチューンの"here Comes The Night Time"へ。冒頭からリオのカーニバルのようにウワーッと盛り上がったと思えばスッとアフロビートに乗せて落ち着いた感じに歌い出すこの曲。二回目のヴァースも終わりに差し掛かり、
Here Comes the Night,The Night,The Night,The Night Time!!!
という歌詞とともに
紙吹雪ブオオオオオ!!!!!

こうなって↓

更にこうなって↓

こうなりました

なんて幸せ夢空間なんだ・・・
視界を遮るほどの大量の紙吹雪が苗場の空を舞い、もうなんかひたすら多幸感しかなくて我を忘れてブチ上がってしまった・・・w このお祭り感には現行のどのバンドも勝てない。いやー、演出の勝利ですわ。ホントに。
ラストは当然1stから"Wake up"の大団円で締め。苗場に響き渡る定番のあの「オー、オー、オオオオー♪」っていうコーラスの大合唱で感無量・・・! 夢なら覚めないでくれ、しかしWake Up(目を覚ませ)とはまた酷な感じが・・・ 悲喜こもごもな感じで圧倒的スケールのライブが幕を閉じていったのでした。
後片付けするスタッフの心中ご察しします・・・w

それにしてもこの日この瞬間に立ち会えて良かった。ここまでロックをエンターテイメントの域に高めているとは。PA前のお立ち台や紙吹雪の演出もそうですが雨が降っていたら出来たかどうかも怪しいし、昨年のNIN同様に持ってるバンドは天気を味方につけるという事実がまた証明された!
流石に憔悴しきってしまったのでこの日は他に何も見ず真っ直ぐ宿に帰って就寝。

三日目へ続く