FUJI ROCK FESTIVAL'14二日目

暑い。
熱いじゃなくて暑い。ていうか避暑地の苗場で30℃超えの気温てどういうこと・・・:(;゙゚'ω゚'): 何か最高気温が予報で34℃とか出てるし。ただでさえ体調が微妙だというのに!なんとか午前中に起きてフィールドオブヘブンのピザ食いながらオレンジコートに行ってモンゴルに隣接するトゥバ共和国ホーメイ(ホーミー)の名手ことHuun Huur Tuをちら見。ホーメイといえばMayhemのアッティラさんがやってることぐらいしか知らないのですが、本場のものを実際に見るとやっぱり凄い。これはドゥームだ、と素面で思った。インスタで見てくれた方が早いかも。しかしこの炎天下で聴くもんじゃねーなwとも思ったので途中離脱してホワイトのWhite Lungへ移動。
行ったらメンバー自ら音出しリハーサルやってるという。

  • White Lung




女声カナディアン・ハードコアパンクバンドことWhite Lungがまさかのフジロックの初登場&初来日!最新作の「Deep Fantasy」がインディー大手のドミノ・レコーズ(日本盤はホステス)からリリースされたこともあってか、一気にステップアップ&来日の足掛かりを作った感じですね。元々日本のコアなパンクシーンでは名が知られていたものの、フジの観客にはどう見えたか?というところも見逃せないです。僕も最新作は上半期ベストの選出したし、かける期待は大きいです。
メンバーが登場するなりステージ左のケネス・ウイリアム(Gt)がギターをかき鳴らす。カミソリのように切れ味鋭いシュレッドリフから繰り出されたのは勿論最新作の一曲目であり、シングルリリースされた"Drown With the Monster"から。ケネスは明らかにメタルを知ってるというかスラッシーなリフを弾き出すので頼もしい限り。いい意味でラフなスラッシュ・ハードコアパンクサウンドを苗場に轟かせていました。フロントウーマンのミッシュ・ウェイ(Vo)姉さんが身振り手振りを交えつつスクリームし、集まった観客を釘付けにしていく。この人見た目以上に声量があってビックリ。頭にペットボトルを乗せて歩き出したりチャーミングな一面も。ところで、
なんですかこのスケスケドレスはー!


黒のブラウスとショーツがシースルードレスから透けているw ねぇわざと?わざとなの? と野郎の視線を集めた後に「もっと騒げー!アタシたちはうるさいのが好きなのー!」とLOUD AS FUCKにアジテートしていく。序盤は観客もまばらで様子見という感じでしたが、次第に激音を聞きつけたフジロッカーが集まり始めて熱気も上がりモッシュ&ダイブが発生して大分盛り上がっていましたね。ここで他のメンバーに触れておきましょう。実は昔在籍していたポップパンクバンドのRiff Randells(現在は活動休止・・・?)で来日経験があるアン・マリー(Dr)。伊達メガネというか不格好なサングラスをかけてクールに決めつつ、タイトなドラミングを披露していました。久々の来日はどう映ったでしょうか。 そして忘れてはいけないのがヘザー・フォーチュン(Ba)。この人もLAを拠点にしたWax Idolsというポストパンクバンドをやっていまして。昨年からWhite Lungにパーマネントなメンバーとして加入し、自分のバンドと折り合いつけつつ活動しているっていう感じですね。この日はゴシックなドレスを身につけハードにベースを弾いていて、その見た目といったらジョーン・ジェットやブロディ・ダルを彷彿とさせるクール・ビューティな姉御肌といった感じでしたね。主演後にもあのベースの人カッコ良かったとの声もチラホラと。(だが私は弾いてる時にピック落して若干テンパってたお茶目な一面を見逃さなかったぞ・・・!)
セットの方はどうだったかというと、最新作を中心にプレイしつつ2ndアルバムの「Sorry」から"Take The Mirror"や"The Bad Way"、昨年リリースした7"の「Song of The South」から"Blow it South"、あと1stアルバムからも一曲やってましたね。キャリアから万遍なくやってもトータルタイムが正味35分という潔さ。今急上昇中のバンドのソリッドかつシャープに攻めてきたライブでした。※ミッシュ姉さんが今回のライブは大変満足したようで、来日滞在記を書き下ろした程でした(リンク先英文)。きっとこういう人は後ろで見てたんだろうし、

それからご飯休憩のためにオアシスでゆっくりした後、本日のDQN枠のためにホワイトへ戻る。

  • The Qemists




UKのデジロックエレクトロバンドことThe Qemistsフジロック初見参!サマソニ09に出た時は大変不評(主に演奏が下手で雑)を買っていたものの、あれから五年経ってどの程度成長したのかが見どころな訳ですよ。プロディジーは新作出さないし来日もしないし、ライバルのPendulumは活動休止してリーダーののロブがKnife Party始めてEDM方面行っちゃうし、ビッグビートを鳴らす第三極のバンドとしても期待が大きいっていうね。
リハーサルで黒人(インド系?)MCのブルーノ・バランタが自らマイク・チェックしつつ、熱心なファンにアイコンタクトや手をかざしたりとフレンドリーな一面を見せたりしながらいざ本番。コアメンバーのダン(数年前からライブではベースを使わずにシーケンサーサンプラーを操るサウンドシステムブースになった模様)とリアム(Gt)とリオン(Dr)に加え、前途のブルーノとSkrillexのレーベルことOWSLAのシャツを着たマット・ローズ(Vo,MC)の五人編成でステージに立つ。早速MCの二人が観客を煽っているw ブルーノが日本語でゲンキデスカーッ!とも煽っていて猪木かよ!と突っ込みたい事案も。一曲目は1stアルバムの「Join the Q」より、かのマイク・パットンがフィーチャーされてることでも知られている"Lost Weekend"から。ブレイクダウンからのアイガッチョマニー!と叫んでリズムチェンジして早速巨大なモッシュピットが発生。あーもうめちゃくちゃだよ(歓喜
当然僕も血が騒いでピットに突撃!漸く暴れ枠が回ってきたな!ただでさえ雨が振ってないので砂埃が酷い!ステージからスモークの残り香も舞っていて砂埃と混じって何がなんだか分からない空気で最悪で最高!(?)そして何故かこういうDnBバンドのピットには女子が多い( ^ω^ ) 続いて2ndアルバムの「Spirit in the System」より"Your Revolution"、"Dirty Words"へと流れていきます。マットがクリーンなヴォーカルを聴かせつつやっぱりリズムチェンジしてピットが大運動会と化すっていう。うん、知ってた。前者だったか巨大なサークルピットも出現していましたね。お前らこんな夕方の暑い時間帯なのに元気だなおい!(白目 
演奏の方も多少荒くてもノリで押し切ってしまう圧倒的なパワーが有り、なるほどハードコア由来のバンドなんだと感じました。この辺がメタル寄りのPendulumとの違いなんでしょうな。ここで気になったのはマットのヴォーカルスタイル。数年前からライブメンバーとして参加していて、異様大きい声量でスクリームもクリーントーンもそしてハイトーン(!)も器用にこなすし一体何者なんだ?と思って調べてみたら元々Djent系のメタルコアバンドに在籍していたんですね。(因みにMonumentsというバンド) なるほど、どうりで上手いわけだ。
何故か神輿のようにダイバーが運ばれつつ(?)、くっそ早いBPMの"Be electric"のVIPバージョンや、昨年緊急リリースされたシングルの"No More"とかっ飛ばしていったところでこの日最初のサプライズが。
なんとビースティ・ボーイズの時代を超えたパーティーチューンこと"Fight For Your Right"のカヴァーをかましてきたじゃないですか!!!それも当然こいつらが演るのでメタリックかつエレクトロ・ダブな仕上がりに。これには馴染みの深いフジロッカーも大盛り上がり。You Gotta Fight! For Your Right! TO Paaaaaaaarty!!!!! と鉄板のシンガロングもバッチリ決まってピットも大いに沸き上がってました。フェスにこういうパーティー野郎がいるのはいいことですよ!そして続けざまにもう一つのサプライズが。「この日のために新曲を用意してきたぜ!フジロックのためにな!それも世界初さ!」と告げられて披露されたのが今年中にリリースが予定されている新作より"Jungle"。ちょうど苗場の森の中でジャングルとはシャレが効いてるな?と思いつつ、ジャングルっぽいベースサウンドドラムンベースも組み合わさった新曲は即効性バツグン。このバンド特有のわかりやすさノリやすさも人気の秘訣っぽいですね。
ラストは1stアルバムから"Stompbox"をやって締め。ここでブルーノが「ミナ、シャガンデー!ミナ、シャガンデー!シャガンデー!」と呼びかける。しゃがんでって?マットも手を下にかざしDown!Down!と呼びかけているのでしゃがむのが正解だったのかしら。(その後クリス・ペプラー氏がこのようなツイートをしていたので謎は深まるばかり)その後は当然一斉にジャンプ!続いて巨大なモッシュピットも発生!と、見事にこの日のDQNバンド枠の仕事をバッチリこなしていたのでした。思い出せないだけで他にも何曲かやっていたと思うのですが、1stアルバムを中心にプレイしていたような記憶。2ndからTake it BackとかHurt lessとかも聴きたかったにゃん・・・ まぁ、新作出したらまた来てくれることを願いましょう。ポストPendulum、いやポストProdigyとしてポジションをしっかりと果たしていたライブでした。

いやー、運動会終わって疲れたなーとちょっと小休止した後、USインディーの変な女の人を見にレッド・マーキーへ。やっぱりレッドの中が蒸し風呂状態で暑い・・・

  • St.Vincent

女帝降臨!



SET LIST
1.Rattlesnake
2.Digital Witness
3.Cruel
4.Marrow
5.Every Tear Disappears
6.Surgeon
7.Cheerleader
8.Prince Johnny
9.Birth in Reverse
10.Huey Newton
11.Bring Me Your Loves
12.Your Lips Are Red
USインディーの女帝にして美の奇人SSWことセイント・ヴィンセント(本名:アニー・クラーク/以下アニーと表記)が苗場の地に初降臨!新作の通算四枚目となるセルフタイトルアルバムも好評で、今をときめく旬の人だと思うし待望論が根強かったのではないでしょうか。ステージ後方には噂のお立ち台がそびえ立つ中、出番を待つ。BGMでTim Heckerのravedeath,1972が垂れ流しにされてる中(アニーのお気に入りかしら?)、定刻になると同じくTim Heckerの同アルバムよりThe Piano Dropのイントロが前奏曲として流れ出す。アナウンスのような音声が流れた後に堂々とスラっとタイトなドレスに身を包んだアニーとサポートメンバーが登場。余裕のある笑み(というかドヤ顔)を浮かべつつステージ中央の定位置につくと、"Rattlesnake"のデッデデデ〜♪というイントロと共に踊りだすではありませんか。新作を引っ提げたツアーからこういうパフォーマンスを取り入れているみたいですね。(コラボしたデヴィッド・バーン先生の影響かな?) youtubeなどでライブ動画を見ている人にはお馴染みの光景ではあるのですが、初見の方は思わず面食らったのでは?スルスル〜とすり足早歩きでマイクスタンドに近づいて歌い出し、「アッアアアアーアッアー♪」と耳に残るコーラスを放つ。そしてまたスルスル〜と斜め後ろに下がってローディーからギターを受け取るとアニーの本領発揮。ステージ前に詰め寄って無茶苦茶にギターを弾き倒す!

そう、コレを待っていた!アニー本人としても自分はまずギタープレイヤーだと自認しているし、フジロッカーにもアヴァンギャルドな彼女の姿を見て強烈なインパクトを与えたかと思います。続いて新作からのリードトラックでありPVも作られブラスセクションも交えてゴージャラスな"Digital Witness"、前作の「Strange Mercy」より全米でスマッシュヒットを記録し、生き埋め真顔PVでもお馴染みの"Cruel"と序盤からキラーチューン連発。この辺りだったか、やたら長々とMCをしていたので何を言っていたのと思えばこういうことでした。見た目以上に思慮深い側面を垣間見た気が。続いて2ndアルバムの「Actor」より、サイケデリックな曲調に非情なノイズギターが炸裂するひねくれたポップソングの"Marrow"、新作から"Every Tear Disappears"、そして前作よりファンキーなギターフレーズが特徴的な人気曲(4ADセッションでもお馴染み)の"Surgeon"とプレイされていきました。
ここでアニーが後ろのピンクのお立ち台に立つ。

そしてプレイされたのが前作より"Cheerleader"。「アーッ!アーッ!アーッ!」とリフレインする歌詞が脳内にこだまするこの曲ですが、お立ち台にそびえ立って歌うのは歌詞(何者にも囚われずに自分自身であり続ける意匠を含む)やPV(アニーが崩落する巨像となっている)を意識してのことなんでしょうか。そのままアニーがお立ち台に立って新作から"Prince Johnny"を披露しヘヴィーなギタープレイを終えてローディーにギターを預けると、突如しゃがみこんで倒れて崩れ落ちるようにゆっくりとお立ち台から降りていくではないですかw

最終的には寝転がって犬神家的落下というオチw どこまでも変な人!w
ライブも佳境に入り、新作から"Birth in Reverse"をプレイ。デーデッ!デーデッ!とファズがかかったようなイントロを経てコーラスパートで「逆子で産まれるように」と皮肉っぽく歌うこの曲ですが、見どころは別にあって。ライブのサポートメンバーであり今や無くてはならない存在である元Blonde RedHeadで現Enonのヤスダ・トーコさんと、デヴィッド・バーンのバンドに参加経験があるシンセ使いのダニエル・ミンテリースとの息の合ったパントマイムのようなダンスw これを見に来たw youtubeで何度もみているものの、実際に見るとやっぱりシュールw 君らデヴィッド・バーンStop Making Sence見ながら考えてたでしょ!そして更にはアニーとヤスダさんがギターを抱えたまま交互に前後へスルスル〜と動く謎の掛け合いも。

これもやっぱりシュール。この時は一際歓声が上がっていましたね。続いて新作からアニーの当て振りのようなひょこひょこした振付と、ヤスダさんと向かい合って共にディストーションのかかったギターサウンドを響かせる"Huey Newton"と、また新作からまたしてもアニーがヤスダさんと共にギターを抱えつつクルクルと回ったり、遂にはダニエルも交えて三人の息のあった振り付けも楽しめる"Bring Me Your Loves"と見逃せない見せ場をドンドンかましていきます。もうなんというかライブというよりもコンテンポラリーなアートパフォーマンスのような趣きもあるんじゃないですかね、これは。
締めは1stアルバムの「Marry Me」から"Your Lips Are Red"をプレイ。で、この曲でアニーの真髄というか狂気性を見た・・・!儚げななヴォーカルとは対照的に不協和音も混じったノイジーな演奏を聴かせる様はドリーミーというより悪夢、というかセイント・ヴィンセント版ジャンクロックとも言える様相に。なるほど、Swansのマイケル・ジラからラブコールを送られるのも納得。ラストではアニーがギターを抱えたままフロアへダイブを敢行!

上半身から突っ込んでまたしても犬神家方式に倒れこんでいましたw そんなに横溝正史が好きか!最後はルンルンと小走りにステージを後にしたアニー。どこまでも変な人だったw 今をときめく女性シンガーの歌と踊りが楽しめる狂気と娯楽性が入り混じった圧倒的なパフォーマンスでした。また来日してくれ〜!

フジロック二日目もいよいよ大詰め、メインのArcade Fireまで時間に余裕があるので少し休憩。

人が大勢詰め寄せる中、どんうぉりどんうぉりw(まぁ、酷かったらしい)の誘惑を振りきってグリーンの前方ブロックの左のエリアへ移動。BGMでフェラ・クティのZombieが流れる中真っ白なステージングが準備されていて、上を見ると六角形の鏡が複数貼り付けられていた。

  • Arcade Fire

SET LIST
1.Reflektor
2.Flashbulb Eyes
3.Neighborhood #3 (Power Out)
4.Rebellion (Lies)
5.Joan of Arc
6.The Suburbs
7.The Suburbs (Continued)
8.Ready to Start
9.Neighborhood #1 (Tunnels)
10.We Exist
11.No Cars Go
12.Haïti
13.Afterlife
14.It's Never Over (Oh Orpheus)
15.Sprawl II (Mountains Beyond Mountains)
16.BobbleHead Band登場〜Rydeen(YMOのカヴァー)〜Normal Person
17.Here Comes the Night Time
18.Wake Up
カナダが誇る世界最高峰のオルタナティブ・ロック/ライブ・バンドArcade Fireフジロックに初登場!6年ぶりの来日ということもあって、この日を待ち侘びた人も多いのではないでしょうか。カニエ・ウェストが出演キャンセルになってフェスに暗雲が立ち込める中、4月に突如出演が決まってネット上が騒然としていたのも記憶に新しいです。(海外とのギャラと人気の差がありすぎて)今ここで呼べないともう日本には来られないだろう、という噂も囁かれていたぐらいですからね。僕自身熱心なファンではないのですが、ロック好きとして見逃してはアカンだろうとゴーストが囁い(ry
定刻になって照明が落ちると、前方ブロックの間のお立ち台にに例のミラーマンが出現!(断じてミラーマン植草ではない)

反射してとても眩しいw

するとミラーマンが日本語で喋り出すではないですか。(実はどこの国でもライブを行う国の言語で喋っている)ミナサーン、コンバンワ!ワータシハ、ミラーマンデス!キョウハ、ハジメテノ、フジロック!オオイニ、タノシンデ、クダサーイ!アーケイド・ファイア
と告げられてプレイされたのが当然"Reflektor"。


新作アルバムタイトルと同名のリードトラックですね。冒頭からコンガが鳴り響き、エレクトリックな異国のディスコサウンドが苗場に炸裂!従来のバンド編成の6人に加え、ヴァイオリン×2(一人はなんとオーウェン・パレット)、サックス×2、そしてコンガを含むパーカッション×2と総勢12名によるパフォーマンスはやはり圧巻の一言。(決して米米クラブ言ってはいけない)フロントメンバー6人全員が横一列に並んでコーラスに参加してる様も凄い。実際に目撃すると、定評のあるライブパフォーマンスにはそれなりの理由もあると実感。なんというか感慨深いですね・・・ 曲の途中でウィン・バトラー(Vo,Gt,etc)がカメラマンのカメラを奪い取って自分の顔を自撮りするイタズラっ子な場面もw 基本的に何かやらないと気がすまない性格かな?Reflektorの切ないアウトロの幕切れの後に、同じく新作からダブっぽい感触もある中南米に迷い込んだようなダンス・チューンの"Flashbulb Eyes"、永遠の名作1stアルバムの「Funeral」より情念のロックソングの"Neighborhood #3 (Power Out)"と続いていきます。特に後者の鉄琴の音色が力強いロックサウンドにアクセントとなって浮かんでくるあの感じは何とも言い表わせないですなぁ。フォークかつトラッドな音楽とでもいえそうな雰囲気がそこにはありました。
続いてライブの定番曲の"Rebellion (Lies)"へ。待ってました! ウィル・バトラー(Sys,Gt,Ba,Per,etc)がタムドラムを持ち歩いて(マイクで音も拾えてないのに)ぶっ叩きながらステージを右往左往!そしてこの曲といえばあの「ラーイッ!ラーイッ!」ってコーラスですね!少なくとも自分の回りではみんな合わせて歌ってましたねー!ただ自分は体調不良につき、喉が枯れ気味で歌えなかったのが心残り。
それから新作より"Joan of Arc"をプレイ。スラッシーなイントロからガクッとブレイクダウンしてズンタッ、ズンタッとゆったりとしたダンスビートな曲調に変貌し、仮面とマントを羽織ったレジーヌ・シャサーニュ(Vo,Per,Piano,Dr,etc)がステージ左のお立ち台に立ってコーラスの掛け合いも楽しめるこの曲。この時のレジーヌはクルクル回っていたり、ずっと旦那のウィンの方を向いて歌っていたりと楽しそうでした。

次はあのグラミーを制した3rdアルバムの「ザ・サバーブス」から"The Suburbs"〜"The Suburbs(Continued)"という至極の流れですよ!裏のスクリーンには少年時代の一時をイメージしたPVの映像が流れる中、ウィンが自らピアノを弾きつつもう戻ってこない少年時代と永遠のサマータイムを想起させるメランコリーな曲が展開されていく。この曲といえばSometimes I can't believe it♪ I'm movin' past the feeling♪という歌詞のシンガロングですが、あまりみんな歌えてなかったのでちょっとがっかり。ラストではウィンが観客にマイクを向けて歌わせてたけど、やっぱり反応が鈍い。これに関してハッキリ言うと、ザ・サバーブスツアーで日本に来なかったのが悪い!(責任転嫁)
まぁ、次回では定着して歌えるようになるといいですね?と願うなど。同じく「ザ・サバーブス」よりNow I’m ready to start!と歌い上げるもののどこか哀愁ただよう"Ready to Start"ときて、新作よりテン年代の(僕の中で)ベストクィアソングと名高い"We Exist"へ。

かの俳優のアンドリュー・ガーフィールド性同一性障害に悩む役としてPVに出演していることでも知られているこの曲ですが、裏のスクリーンにもPVに出てきたフル・モンティ宜しく男性ストリッパーの映像が映されていました。ナナナナナ〜♪とリフレインするコーラスと共にムーディーな雰囲気が漂うダンスソングであるこの曲。場末のクラブでかかってそうだし、私的にもNINのCloserに変わるベストストリップソングなんじゃない?という率直な感想も。そして2ndアルバムの「Neon Bible」からヘイッ!という掛け声が逞しく聴こえる"No Cars Go"へ。この時にはステージ中央でレジーヌがアコーディオンを弾いていました。今さら言うまでもないですが、曲ごとに各メンバーがそれぞれ代わる代わる楽器をスイッチして演奏してて凄いなと。めまぐるしく展開するのがこのバンド強みであり凄みであると改めて実感。そして1stからレジーヌがリードヴォーカルを務めるフォーキッシュな"Haïti"を披露。レジーヌの両親がハイチ共和国から難民としてカナダに移住したということについてはそれなりに知られているでしょう。このハイチにまつわる出来事は新作のテーマとして語り尽くされてるので割愛しますが(各自ググってね)、レジーヌが踊りくねりながら飾りのついたグローブをフリフリして歌う様は愛らしい。そんなにルックスも良くな(ry 愛らしい。ね?(威圧的)愛らしい。 ここでちょっとしたサプライズが。ウィンがモッシュピットでハイチ国旗を見つけたようで、ファンから受け取ると当然レジーヌに手渡してあげるという場面がありまして。

ここでレジーヌのテンションがブチ上がったのか、旗をヒラヒラさせながらクルクルと踊りだしていたw やっぱり愛らしい。最後にはステージ左奥のパーカッショニスト(どうやらハイチ人だそうな)の肩に国旗をかけてあげて、ハイチ語でパーカッショニストが歌い出す場面もありました。とてつもないブードゥー感!
ライブも後半に差し掛かかってきてプレイされたのが新作より"Afterlife"。ここでまたミラーマンが再登場!



ステージとお立ち台と両方見えるポジションについた自分を褒めたい。ピッピッピッと笛が鳴らされてアフロビートも加わりブラジルのカーニバルのように聴こえるものの、それと同時にどこかもの悲しげなな陰鬱な雰囲気も漂わせるこの曲。「オーオーオオー♪」というコーラス(この時もウィンがマイクを向けていた)もさることながら、二回目のヴァース終わりに「Ive gotta Know!」と畳み掛けるところで思わず鳥肌が。思わずグッときて泣きそうになったのですがやっぱり堪えました・・・w どこか「未来は明るい」的な勇気をもくれる印象もあって新作の中では一番好きな曲なので本当に嬉しさがこみ上げてきましたね。
Afterlife終わりにレジーヌがステージを後にすると、さっきミラーマンがいたお立ち台に突如現れて"It's Never Over (Oh Orpheus)"へ。

ヘッドホンとキラキラとしたマントを身につけたレジーヌに加え、映画の「黒いオルフェ(Afterlifeのリリックビデオのやつ)」の死神を彷彿とさせる骸骨スーツ姿のダンサーも登場。(因みにステージ内で撮影したカメラマンも骸骨スーツでした。みんな気づいたかな?)


ディスコビートと80年代のカーペンターっぽいシンセサウンドに彩られつつ、オルフェウスとユーリディスの悲哀を歌うこの曲。ヴァースごとにウィンとレジーヌが交互に歌ったり(この時レジーヌが旦那に熱視線を送っている)、「Hey, Eurydice!」叫んだ後のヴォーカルの掛け合いも魅力的。そういえば何でレジーヌはこの時ヘッドホンしてるのだろう?とずっと思っていたのですが、ヴォーカルの掛け合いで片方のリズムに釣られないようイヤモニ代わりにクリック音を拾ってるんじゃないかと。そう納得しています。
ジーヌがステージのセンターに戻り、自身がリードヴォーカル務めるポジティブなディスコチューンの"Sprawl II (Mountains Beyond Mountains)"をプレイ。で、改めてレジーヌの歌声について思うわけですよ、愛らしいと。この人の歌声は特別上手いわけでもなく、かと言って下手というわけでもなく、じゃあなんだよ!と言えば完全に曲の雰囲気で保っているという凄さ。ある種の危うさっていうのが根底にあって、それが愛おしくみえる。そういうことですな。
ここで一度ブレイクしたのでアンコールかな?と思いきや、直ぐ様例のアレがw

ボブルヘッド軍団キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

フジロック最高!みんなでワイワイなうw」をそのまま体現したような賑やかなステージにw ボブルヘッド軍団は皆Arcade Fireのメンバーの顔に似せてるのですが、一人だけ異様に背が小さいヤツが紛れてるw 誰かのお子さんかな?そのまま何を演るかと思えばYMOライディーンとはw 何故かウィンがスペイン語で「ムーチャス、グラシアス!(本当にありがとう!)」と言い出す場面も。メキシコ辺りのお祭りと関係があるのか・・・? ご当地カヴァーソングはどこの国でもやっているのですが、日本はこれかー。まぁ、妥当かなー。海外で知られている日本の有名ソングとなると中々選出が難しそうだし。そんな賑やかなステージの中、"Normal Person"へ。

勿論新作からの曲であり、「普通ってなんじゃろな?」と単純な疑問を問いかけるこの曲。新作の中でも割りとストレートなロックソングではないでしょうか。ボブルヘッド軍団を出すのも所謂イレギュラーな奴らと「普通の人」とのコントラストを出すためなんでしょうね。
ボブルヘッド軍団が骸骨スーツの女の人に誘導されてゆっくりとステージを後にすると、ショーも終盤に差し掛かり新作から屈指のパーティーチューンの"here Comes The Night Time"へ。冒頭からリオのカーニバルのようにウワーッと盛り上がったと思えばスッとアフロビートに乗せて落ち着いた感じに歌い出すこの曲。二回目のヴァースも終わりに差し掛かり、
Here Comes the Night,The Night,The Night,The Night Time!!!
という歌詞とともに
紙吹雪ブオオオオオ!!!!!

こうなって↓

更にこうなって↓

こうなりました

なんて幸せ夢空間なんだ・・・
視界を遮るほどの大量の紙吹雪が苗場の空を舞い、もうなんかひたすら多幸感しかなくて我を忘れてブチ上がってしまった・・・w このお祭り感には現行のどのバンドも勝てない。いやー、演出の勝利ですわ。ホントに。
ラストは当然1stから"Wake up"の大団円で締め。苗場に響き渡る定番のあの「オー、オー、オオオオー♪」っていうコーラスの大合唱で感無量・・・! 夢なら覚めないでくれ、しかしWake Up(目を覚ませ)とはまた酷な感じが・・・ 悲喜こもごもな感じで圧倒的スケールのライブが幕を閉じていったのでした。
後片付けするスタッフの心中ご察しします・・・w

それにしてもこの日この瞬間に立ち会えて良かった。ここまでロックをエンターテイメントの域に高めているとは。PA前のお立ち台や紙吹雪の演出もそうですが雨が降っていたら出来たかどうかも怪しいし、昨年のNIN同様に持ってるバンドは天気を味方につけるという事実がまた証明された!
流石に憔悴しきってしまったのでこの日は他に何も見ず真っ直ぐ宿に帰って就寝。

三日目へ続く

FUJI ROCK FESTIVAL'14 一日目


今年もフジロックに3日通しで行ってきました。例年に比べてメンツがパッとしないだのカニエ・ウェストキャンセルだのどんうぉりwどんうぉりw色々ありましたが、ただ(期間中)家でゴロゴロしたくないという理由で3日通し参戦です。なんか行かないだけで惨めな気分になるし・・・ 今回は天気にも恵まれて(むしろ暑い)、絶好のフェス日和というロケーション。しかしながら開催間近になって夏風邪拗らせて体調絶不調につき、ロキソニン&キューピーコーワゴールドでドーピングしながら参加というアレなことに。そんなボーっとした頭のなかレポート。

いざ入場してみたら噂通りオアシスエリアとトイレを繋ぐ橋が無くなっていました。長年の大雨で地盤が緩くなってしまったのが原因だそうですが、来年にはどうにかして開通してほしいものです。

炎天下の下、物販列に並んでslowdiveのアジアツアー限定シャツをゲット!ぐうかわやぞ!


とりあえずシャツ買ったしSlowdiveまで見るもんねーなーとあちらこちらブラブラ。MIYAVIのフィンガー・ピッキング上手いなー(小並感)とか、

James Ihaを冷やかしに見に行ったら生ぬる〜いライブだったとかフェス飯食いながらダラダラと時間を潰していました。

そろそろいい頃合いかなぁとレッド・マーキーに移動。

マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、ライド、スワーヴドライヴァーと共にシューゲイザー四天王として讃えられるゆるふわ轟音シューゲの一角、slowdiveが19年ぶりに再結成&初来日!このために苗場行きを決めた方も少なくないでしょう。それに今年の5月に母国のイギリスで行われた再結成後初ライブの評判が物凄く高くて期待が高まっていたところでした。モワッとした熱気の中待機。リハの段階で結構音が大きい。


SET LIST
1.Slowdive
2.Avalyn
3.Catch the Breeze
4.Crazy for You
5.Machine Gun
6.Souvlaki Space Station
7.When the Sun Hits
8.Alison
9.Golden Hair
開演時間を2〜3分前倒しで何かのインストが流れる中(どうやらブライアン・イーノのDeep Blue Dayだった模様)メンバーが登場。当然一曲目はバンド名と同名であるデビューEPの"slowdive"から。かるやかなメロディーを伴ったイントロのリフの残響が鳴り響き、ニール・ハルステッド(Vo,Gt)とレイチェル・ゴズウェル(Vo,Gt,Per)の優しいヴォーカルのハーモニーが重なる。終始ニコニコして笑顔を振り向いていたレイチェルでしたが、ややヴォーカルが埋もれ気味。しかしコレ系ではよくあることなのでご愛嬌。それにしてもUKシューゲイザーだというのに音もくっきりしていてやたら演奏がタイトで上手くてとても聴き応えがありましたよ?同期のマイブラが未だに入りをミスったりして演奏が危うい時があるというのにw まぁ、バンド解散後もメンバーはそれぞれ現役でバンドをやっている事もあってブランクなど殆ど無かったのでしょう。
続いて同デビューEPより"Avalyn"へ。レイチェルをリードヴォーカルに据えてギターも抱え、ややアンビエントな序盤から徐々にボルテージを上げていくこの曲。
やはり終始ニコニコしながらタンバリンを振るレイチェルw

ここでバンドの凄みを見せつけるウォール・オブ・サウンドとでも言うべき轟音を披露してビックリ。幾層にも音のレイヤーを重ねていく辺りにポストロックの雛形を見せている印象も。こういう系統のバンドだとエフェクトで誤魔化しを効かせるバンドも少なく無いとは思うのですが、シンプルに音を組み立てて轟音を披露出来るところにオリジネーターの凄みを感じました。
それからは、ドリーミーな轟音の波が感動を誘う"Catch The Breeze"、ただ音に身を委ねたくなる幻惑の白昼夢ソングの"Crazy for You"と続いて、2ndアルバムの「Souvlaki」より"Machine Gun"へ。ここのヴォーカルの甘美なメロディは何物にも代えがたい・・・。「Son of Sheba I saw him drown〜♪」の歌詞の下りでグッと来てしまって思わず泣きそうだったのですが、流石に堪えました・・・。 この時点でフジロッククライマックスみたいな感じもあったような気がw たまたま近くに外人がいたのですが、その人が「オゥ・・・オゥマーイガッ・・・」と漏らしていたのが未だに忘れられません。そして同アルバムより"Souvlaki Space Station "へ。この曲だったか次の曲だったかニールが掻き毟るようにトレモロピッキングをしていて、なるほどこれがシューゲイザーブラックメタルの原型か!と思った次第。しかしまぁ、復活したslowdiveがここまで完璧だと後発のバンド(特にalcest)は立場が無いですよ??? 
次にまた同アルバムから轟音の渦が甘いメロディと相俟って圧倒的なサウンドスケープを醸す"When the Sun Hits"ときて、この日何度もリクエストの呼び声が多かった皆さんお待ちかねの"Alison"へ。伸びやかなニールのヴォーカルとポップなメロディが会場を包み込む。レイチェルのバックコーラスも重なって甘美な時間だったと言う他ないですねぇ。ラストはピンク・フロイドシド・バレットの轟音でカヴァー"Golden Hair"で締め。レイチェルが冒頭部分のヴォーカルパートを終えると、特に何も演ることが無くなったのかステージ袖に下がってローディーとおしゃべりしたりステージ後方に下がって写真を撮ったりと、シューゲイザー熟女のお散歩タイムと化していました'`,、('∀`) '`,、 そんなわけで一時間弱のライブはあっという間に終了。あー、もっと色々聴きたかったなー。MorningriseとかMorningriseとかMorningriseとかMorn(ry まぁ、新作を作っているとの噂もあるのでまた再来日を祈願しつつ別の機会に。僕は前の方にいたのでそこそこ音が大きいと感じたのですが、後ろの方に居た人はそうでも無かったとかなんとか。何なら最初から前こいや!(好きなバンドは後ろで棒立ちで見れない性分)全体の感想としては、各方面に影響を与えたバンドの単なる再結成には終わらない凄みを感じたライブでした。

slodiveが終わってまたフェス飯食いながらダラダラしていたのですが、QFH(急に風呂に入りたくなった)nなので一度宿に戻る事を決意。レッドが日陰の避暑になってなくて蒸し風呂状態でクソ暑かったのと、体調が微妙なので休みたいのと、ツアーバスで来てちょうど24時間ぐらい風呂に入ってないのもあってですねぇ(;´Д`) まぁ、そんなに熱心に見るものがな・・・おっと!それから宿でちょっと休憩した(風呂は日焼けあとが既に出来てて熱くて入れなくてシャワーだけでしたが:(;゙゚'ω゚'):)後にグリーンの電気グルーヴへ移動。

ステージ転換中にやたらデカい階段のような白い箱が設置してあって、Amon TobinのISAMみたいにプロジェクション・マッピングでもするんかな?と思ったらまんまその通りだったっていう。俺も来世はピエール瀧みたいな楽なポジションつきてーなーとか思いつつ、やたらマジメにプレイしててなんだかなーとも思ったのでホワイトのDisclosureへ移動。

  • Disclosure




SE LIST
1.F for You
2.When a Fire Starts to Burn
3.You & Me
4.Grab Her!
5.White Noise
6.Voices
7.What's in Your Head
8.Confess to Me
9.Running (ジェシー・ウェアのカヴァーでリミックス)
10.Help Me Lose My Mind
11.Latch
イギリスは南ロンドン出身、UKガラージや2ステップを兼ね備えたハウス・ミュージックをインディー・ロック的タームをもって一気にメジャーフィールドまで押し上げた脅威のダンス・デュオ(しかも兄弟)こと、Disclosureフジロックに初登場!度々自分の音楽アンテナにも何度か引っかかていたものの、昨年の恵比寿リキッドや今年の新木場コーストもスルーしてて。いやまぁ、これはフェスでみたいなぁと思っていたので願ったり叶ったり。
ぶおおおっとスモークが焚かれる中ローレンス兄弟が登場し、一発目はヒットシングルである"F for You"から。今回はアルバムの曲ではなく、メアリー・J・ブライジをフィーチャーしたヴァージョンを披露。(因みにこの曲だけで今年初頭に再シングルカットしてリリースされている)ミニマルでポップな曲調に分かりやすい歌詞の「Because I played the fool for you」という復唱(あの甘いルックスで歌うわけだ)と、メアリーのソウルフルなヴォーカルをフィーチャーしてよりR&B感が増していて。これで人気が出ないわけがない鉄板曲で最初から大盛り上がり。続けざまに1stアルバム「Settle」の二曲目のヒップホップチューンの"When a Fire Starts to Burn"をプレイするとスクリーンが真っ赤に炎上。そこで映しだされるローレンス兄弟の二人なのですが、こういうハウス・ミュージックには珍しく楽器を持って演奏しているんですよね。兄弟それぞれ幼少期から楽器に慣れ親しんでいたいたので、マルチに演奏出来るのだそう。MPC連打してるだけで様になってるし。イケメンルックス(かわいいー!と女子の声もチラホラ)に加えて卓越した演奏スキルといい、神は人に二物も三物も与えるなぁ・・・(裏山)
そしてラコステのCMでもお馴染みの(アレはFlumeのリミックスだけど)"You & Me"やバンド(ユニットの方が相応しいかな?)の代名詞的なヒットソングの"White Noise"とキラーチューン連発。後者はアナ・・・アルーナ・ジョージをフィーチャーしたJust Noise〜♪ white Noise〜♪っていうコーラスがお馴染みですが、詰め寄せた観客に歌わせていましたね。確かに大盛り上がりだったものの、あんまり歌えてなかったような?まぁ、認知度の差ですかね。それからUKのR&Bの歌姫であるジェシー・ウェアをフィーチャーした"Confess to me"、続いてそのジェシー・ウェアの曲をリミックスした"Running(Disclosure Remix)"、そしてロンドン・グラマーをフィーチャーした(結局なんでキャンセルしたんでしょう?)"Help me Lose My Mind"と演奏して
一度音を止めて締め。定番の「OK,One more song?」と観客に問いかけて、ラストはこれまたヒットシングルのサム・スミスがヴォーカルとしてゲスト参加した"Latch"をプレイ。するとジャケットやPVでもお馴染みのサム・スミスの顔をかたどった例の顔がスクリーンに映しだされて歌い出すw(ところでこの顔、ちびまる子の藤木くんに似てないすか)

ネッ、ヴァー!とお決まりの掛け声から始まって、コーラスではNow I've got you in my space,I won’t let go of you!ネッ、ヴァー!)ときてGot you shackled in my embrace,I’m latching on to you! (ネッ、ヴァー!)と繰り返されるパートですが、これがまたヤバい。ハウス・・ミュージックマナーでお決まりのブレイクしてからの〜、コーラス!ブレイクしてからの〜、コーラス!と何度も畳み掛けるパートは当たり前とはいえ圧巻。絶妙にチルして落してからガバっとコーラスが来られるのは抗えないですわ。ひとしきり盛り上がった後にこうして一時間ほどのセクシーで気品のあるイケメンハウス・ミュージックを魅せつけられたのでした。EDMとは違って過剰すぎず健全なところもこのバンドのいいところだと思いますね。これはますます人気出るでしょ。それこそ全盛期のFBSやケミブラみたいに。

それからまた各地をウロウロ。グリーンのフランツやホワイトのベスジャをチラ見しながらダラダラしていました。

それにしてもベスジャ人大杉。またUターンしてオレンジコートに行って今度は大友良英さん率いるスペシャルビッグバンドをチラ見。これまた思いの外結構人がいた。あまちゃん人気はまだ続くか・・・w 二階堂和美さんが観客に一から盆踊りの振り付けを教えていて新鮮。見てたら途中で飽きてきたのでオアシスに戻ってご飯休憩した後、とんぼ返りしてオールナイトフジのThe Orbへ。


左右にサブウーファーが増強されて低音強めのサウンドシステムでジ・オーブっていう。十分トリッピーで良い感じでした。Vaporwaveライクないい加減なVJが左右のスクリーンに映されつつステージの様子が見たくなったので前の方に行ってみたけど、二人とすっかりおじいちゃんフェイスだった・・・ まぁ、キリングジョーク辺りのポストパンク世代と同期だしね・・・いくら何でも前半まったりし過ぎなセットじゃないかと思いましたが、後半ぐらいからやっと調子を戻してきてラストはド定番の"Little Fluffy Clouds"で締め。まぁ、これが聴ければ後は何でもいいですわなw 確か他には昨年出したリー・ペリーとのコラボ作からちょこちょこやってたと思いますが、うろ覚え。そしてボアダムスEYヨちゃんを尻目にこの日どうしても見たかったDarksideのためにレッド・マーキーに小走りで移動。

EYヨちゃんまた高いところに居たけどまたノリでダイブしそうで怖いw レッド・マーキーに着いてやけにおっさん臭いディスコサウンドが聴こえるなぁと思ったらどうやらFloating Pointsレアグルーヴ祭りを展開していた模様。ちょっと見たかったような気も。それにしても人いねぇ!

  • Darkside




SET LIST
1.Freak, Go Home
2.The Only Shrine I've Seen
3.Heart
4.Metatron
5.Paper Trails
6.Golden Arrow
弱冠24歳の天才プロデューサーのニコラス・ジャー。そのニコラスのソロツアーのサポートを務めていたギタリストのデイブ・ハリントンをメンバーとして引き入れ、結成されたのがこのDarksideというわけでして。昨年リリースされた1stアルバムの「Psychic」も各方面で大絶賛だったし、あまりにドロドロとしたまどろみのようなアルバムだったので僕も多大な期待を寄せていたのでした。
もくもくとスモークが焚かれる中メンバーの二人が定位置につくと、影絵のようにストロボが当てられて照らされるライティングに。
か、かっこいい!
ストロボのライティングを2つに絞って効果的に見せるステージングは見事としか言い様が無いです。この日一番の見てくれの良さがありました。そしてズズズッ・・・とドローンノイズが鳴り響かせてさっきまでのおちゃらけたダンスフロアの空気を一変させて繰り出されたのが"Freak,Go Home"。なんという曲名w「ここからは俺たちの時間だ。浮かれたキチガイには用は無い。見たくなければ去れ。」と(言ってはいませんが)ある意味突き放したようなスペーシーなクラウトロックを聴かせ始めてくれました。想像通りというか期待通りというか、ライブは音源よりもはるかにノイジーでダウナーでスペーシー。こういうのを待っていたんだ・・・
続いてニコラスの甘いヴォーカルと相反するようにボディービートに近い低音が体を貫く"The Only Shrine I've Seen"へ。ここでのファンキーなデイブのギターフレーズもたまらなかったです。そしてトライバルなビートから始まってニコラスのファルセットヴォーカルが一気に底なし沼にチルアウトさせていく"Heart"、ややもの悲しげにも聴こえるギターフレーズと共に、ゴージャスでグラマラスでジャジーな雰囲気をも漂わせる"Metatron"と続きます。ここでもやっぱりニコラスのファルセット・ヴォイスが際立ってましたね。時折性急にビートを速めたりもしていましたが、そんなに踊らせる気は無さそうな感じでした。あくまでバンドという位置づけのなのでしょうね。サウンド的にもピンクフロイド辺りの影響も受けてそうですし。そして極めつけは"Paper Trails"。ハンドクラップ(実際に手拍子を煽ってたような)から始まって次に聴こえるのはニコラスのテノールヴォイス!これがまたセクシーで官能的でヤバい!深夜のフジというシチュエーションも相俟って思わずウットリしてしまうレベル。効果的に鳴らされるデイブのギターフレーズも緊張感を漂わせていい感じ。ラストはアルバムの冒頭を飾る"Golden Arrow"を短縮版でプレイして締め。短縮版は冒頭のドローンパートを排除して(もしかしてライブ冒頭のドローン部分と挟んでる!?)ヴォーカルパートから一気にスペースロックが展開されるような感じに。あのエコーがかかったヴォーカルから一気にブレイクしてディスコビートに転じるパートは実際に肌で感じても鳥肌が。こうして官能的なスペースロックタイムはちょうど一時間ほどで終了。皆一様に凄いもの見てしまった的な表情をしていたのも印象的でした。これはまた見たい。ソナーか恵比寿リキッド辺りで。因みにダークサイドがこの日のMVPです。音もステージングも衝撃的。
ここでもう力尽き始めたので宿に戻って就寝。熱い(暑い)一日だった・・・

二日目へ続く

Emperor@TSUTAYA O-east

だからこのTSUTAYAってネーミングライツどうにかなんねーの?(二回目)
皇帝、再誕!!

あの!あの!あのブラックメタルを代表するEmperorがまさかの初来日ですよ!!!1stアルバムの「In the nightside eclipse」リリースから20周年ということで、記念ツアーをするために再結成を果たしたわけです。世界各地でもフェスティバル出演のみだしまさか来日なんて無いだろ(ドラマーのファウストが入国出来ないって話もあったし・・・)うと思っていた矢先にこれだよ!!そのファウストのピンチヒッターとしてまさかのタリムが急遽参加というサプライズでもって迎えられたわけですよ!全世界でもクラブショーで単独公演を行うのは日本だけ!東京公演のチケットは2日でソールドアウトというところに驚異的な人気と待望論が根強かったところが伺えますね。私的にもブラックメタルはエンペラーのベスト盤から入ったクチなので思い入れはそこそこありまして。でもまぁ、一番好きなのは2ndで(ry
会場に入ったら案の定黒T連中しか居なくて恐れおののく私(;´Д`)

  • Sigh




SET LIST
1.A Victory Of Dakini
2.The Transfiguration Fear
3.Purgatorium
4.The Soul Grave
5.Introitus/Kyrie
6.Inked In Blood
7.Me-Devil
突如エンペラーのツアーマネージャーが現れて煽りプレゼンの後にオープニングゲストとして迎えられたのは、所謂ノルウェイジャンブラックメタル黎明期のシーンから彼らと交流がある、国産ブラックメタルSigh。以前見た時はDr.Mikannibalさん(以下ミカンの人)も居ないし、ヴォーカルの川嶋(未来)さんも喉を気にしてなのか曲ごとに水飲んでてアマバン感丸出しでなんだかなーって思ってて。それが久々に見たらバンドとして大分ブラッシュアップされていてビックリしました。ギミックを多用した怪奇なメタルショーとして見応え充分。川嶋さんもフロントマンとして堂々としていたし、定番の火吹きやのパイロも多用して観客を楽しませようと躍起になってて微笑ましかったです。川嶋さんにミックミクにされてしまったぜ!それとミカンの人は事前の告知通り妊婦仕様の露出度の高いステージドレスを着て登場。序盤では頭巾を覆い被せてドルイド僧のような出で立ちでしたが、徐々に露出度が増加。血塗れになったり、堕天使の黒い羽を着たり、終いには妊娠中でポッコリお腹なのにもかかわらずお腹に低温ローソクを垂らしたりやりたい放題でしたw 

勿論当人のスキルも忘れていません。得意のサックスやクリーンヴォーカル(これは特に声量が凄かった)、そしてグロウルとマルチにこなしていました。流石博士(無関係)。
曲の方はといえばHangman's Hymnを中心としたスラッシーなセットでした。ここ最近の新作はライブで再現できないという理由もあるのでしょうが、やっぱり速い曲のほうが盛り上がるよね?という趣向もあるのでしょう。きっちり30分とあっという間でしたが、見応えのあるステージでした。

  • Emperor

エンペェーラーッ!エンペェーラーッ!



SET LIST
1.Into The Infinity Of Thoughts
2.The Burning Shadows Of Silence
3.Cosmic Keys To My Creations & Times
4.Beyond The Great Vast Forest
5.Towards The Pantheon
6.The Majesty Of The Nightsky
7.I Am The Black Wizards
8.Inno A Satana
〜アンコール〜
9.The Ancient Queen
10.Wrath of The Tyrant
11.A Fine Day To Die (Bathory Cover)
またしてもエンペラーのツアマネが現れて煽りプレゼンをしつつメンバーを呼びこむ。1stアルバム冒頭の不穏なイントロが流れる中メンバーが登場。他のメンバーはメタル然とした感じながらも、やっぱりイーサーン(Vo,Gt)が大学の教授のような出で立ちw 一曲目は当然"Into The Infinity Of Thoughts"から。タリム(Dr)の爆走ドラムを皮切りに疾走しつつ冷ややかなシンセとトレモロリフが被さって展開していくこの曲。当然といえば当然なのですが、イーサーンの見た目とその口から吐き出す金切りスクリームのギャップに驚く。確かイーサーンとサモス(Gt)が1stアルバムを作った時は二人とも18〜19歳だったと思うのですが、ギリギリティーンエージャーの時に作ったアルバムを再現するのは懐かしさと同時に気恥ずかしさもあるのかな?と思ったり。中盤のギャー!っと混沌とした展開からブレイクダウンしてシンセのメロディが華を添えるパートも良かったです。
次はまたもタリムのフロアタムを多用した脈動するドラムから始まり、トレモロリフのブリザードが襲う"The Burning Shadows Of Silence"。イーサーンのソロバンドでバックバンドを務め、今回シンセサイザー担当のメンバーとしてツアーに帯同しているLeprousのエイナー(Key)も縁の下の力持ち的ポジションながらバンドサウンドに多大な貢献をしていたように思われます。短髪ながらも何度もヘドバンしながら弾いてて印象的だったのも確か。でも見た目がM字ハ(ry そしてカミソリのように切れ味鋭いシュレッドリフのフレーズが耳に焼き付いて離れない"Cosmic Keys To My Creations & Times"へ!これを見に来た! この曲も冷たいシンセの音色が特徴的なのですが、所謂オーケストレーションなアレンジでは無くパワーコードのみでひんやり包み込むアレンジなんですね。ここにノルウェイジャン・ブラックメタルの本家本元を垣間見た気がします。
それから"Beyond The Great Vast Fores"、荘厳としたイントロに導かれる"Towards The Pantheon"、冒頭からブラックメタルの凶暴性を押し出し、中盤ではコールドブリザードなメロディに包まれつつポエトリーリーディングも交えたりとドラマティックな展開を魅せる"The Majesty Of The Nightsky"と続きます。
ここで他のメンバーに触れておきましょう。サモスは定位置で淡々とギターを弾いていた印象。まぁ、元々ステージアクションが派手な人ではないですが。風でなびく長髪が北欧人らしいセクシーさを醸し出していたようなw セクスデーモン(Ba)といえば前日に体調不良を嘆いていた(FB情報)ものの、蓋を開けてみればガニ股で扇風機ヘドバンをかましつつ、グロウルでコーラスするなど万全ぶりをアピール。流石Myrkskogの1stで超人的なドラミングを繰り出していた鉄人。本人的には自分はドラマーだと思っていないそうですがw そしてドラマーのタリム。今回急遽日本ツアーに参加して暫く振りに要塞ドラムキットに着くということでブランクが懸念されましたが、こんなもんチョロいぜ!とでも言いそうなタイトなドラミングを披露!本人的にも手余りにすら感じていたのではないでしょうか。トレードマークといえそうな高速ブラストも無かったですしね。


ショーも終盤に差し掛かり、皆さんお待ちかねの"I Am The Black Wizards"へ!この曲はブラックメタル史における至高のイントロであることは言うまでもないですね!珍しくイーサーン自ら曲の冒頭でサークルピットを煽るなど、バンドにとっても特別な曲であることが伺えます。ここで待ってましたと言わんばかりにモッシャー大発生!僕は大人しく見ていましたがw それにしてもいやぁ・・・感慨深いですよホントに。ブラックメタルの代名詞的バンドのド名曲を聞ける日が来るとは・・・ これを見に来た!(二回目) 曲の終盤ではSatyriconのMother northと同様にメロディーをなぞった「オーオーオー♪」という勇壮なコーラスも発生していましたね。イーサーンも聞き耳を立てて煽っていました。これがこの日のハイライトの一つ。そして当然次は"Inno A Satana"へ。またもイーサーンが冒頭で叫ぶわけですよ、
イヌアー?

\サターナー!/

イヌアアアー?

\サタアアーナー!!!/

イヌッ!アッ! サターナアアアアッ!!!!
とファンとコール&レスポンスして演奏へ。これを見に来た!(三回目) 他の曲とは違いクリーンヴォーカルを交えつつスクリームと交互に歌い上げて徐々に雰囲気を高めていくこの曲。曲終盤では荘厳としたコーラスとブラストビートに導かれて終焉を迎えていくわけですが、凍てつくトレモロリフと寒々しいシンセの音色がコーラスパートをより引き立てていたようにも思います。イーヌーアー、サァターナーと会場が歌声につつまれたのがこの日のもう一つのハイライト。ここで一度本編が終了し、アンコールへ。アンコールでは1stアルバム以前の「Wrath of the tyrant EP」より、極初期のプリミティブなナンバーの"The Ancient Queen"と"Wrath of The Tyrant"をプレイ。この曲を書いた時はまだ高校生ぐらいの年頃だったかと思うのですが、既にこの時点でブラックメタルの青写真を築いていた事に驚き。今改めて再現される事によって、極初期から確かな演奏力が備わっていた事の証明になったと感じました。極めつけはラストのバソリーのカヴァーの"A Fine Day To Die"。牧歌的なイントロから始まり、邪悪かつ独特な酩酊感のあるミッドテンポのスラッシュソングへと変貌するこの曲。あろうことかイーサーンが歌いながらライトハンド奏法でピロピロ弾いていましたw 流石イーサーン!いやイーサーン先生と呼ばせてください!最後の最後でイーサーン先生の音楽スキルの変遷を見せつけられる事になろうとは・・・w 
とまぁ、これでライブは終了。こうして来日が実現できた事は奇跡としか言いようがないですが、Emperorのバンドとしての歴史的価値とそれ以上にノルウェイジャンブラックメタルの資料的側面を垣間見たライブだったように思えます。恐らくは二度とないような気がしますが、もしまた来日してくれるならば2ndアルバムの再現ツアーでもやってくれたらなーwと思う次第。20年という時を経て今よみがえる90'sブラックメタルの原点をまざまざと見せつけられた良いライブでした。

Leave Them All behind 2014 extra show (Russian circles/JK FLESH/ENDON)@TSUTAYA O-nest

このNESTのTSUTAYAって名前どうにかなんねーの?
今年も轟美重音を標榜するフェスLeave Them All behindが開催!といっても本編は諸々の事情で行けず。でもまぁ、jesuもMONOも実際そんな好きじゃ(ry でもってエクストラショーの方にはRussian Circlesをヘッドライナーに迎えるのに加えてあのジャスティン・ブロードリックの久々にビート・ミュージック名義のJK FLESHが出るということで、現行のインダストリアルを追ってる身としては行かねばならんだろうと。

Russian Circles / JK FLESH / ENDON

会場に着いたのが大体19:30ぐらいで、フロアに行くとENDONがいつも通り?殺気立ったライブを披露していた。

この見ていてハラハラする感じで、次に何が起こるかわからないような一触即発なライブがやっぱりENDONだなぁ、と。そして強面フロントマンの那倉さんがやっぱり怖い(;´Д`) 音の方はといえば初のアルバムリリースを控えているのか、そこからの楽曲が殆どだったかも。苛烈なパワーエレクトロニクスとヴァイオレントなメタル&ハードコアが織り成す激音が放出されつつも、新境地とも言えるやや叙情的な側面もあってとても良かったです。ところで新作EPのリミックスにVatican Shadowが参加ってなんつー俺得。

  • JK FLESH

ENDONが20:00前に終わってセットチェンジが始まると、奥のスクリーンにはJKF vs WSDの文字が。

WSDってなんじゃろな?とド忘れしていたんですが、ジャスティンのパワーエレクトロニクス/ハーシュノイズ名義のWhite Static Demonの略でした。このWSDとは元々ジャスティンが極初期からやっているFinalから分離したユニットで、Finalの作風が徐々にパワエレ・ノイズからドローン/アンビエント化していくのに対しこのWSDはそのパワーエレクトロニクス成分を残したまま新たに別ユニットとして切り離したものなんですね。そしてそのWSDも近年ではローファイブラックメタルにインスパイアされたような荒削りなノイズをも取り入れたりしています。(同様にValley of Fearというユニットもあり。)言わばジャスティンの原点的なポジション。ノイズのひな形とも言えそう。それで今回はTechono Animal,Curse of the Golden Vampire(ケヴィン・マーティンaka 祝The Bug来日!)以降のジャスティンのエレクトリック・ビート・ミュージック(まぁ、The Blood of Heroesもあるけど)であるJK FLESHと融合させるという目論見のようで。少しググってみたら2012年のかのRoadburnでもこの組み合わせはやっていたみたいですね。
田舎のおじいちゃんルックwのジャスティンが自らセッテイングを行い、20:15頃に再登場。

何あの緑のレインパーカー姿は:(;゙゚'ω゚'): こんな暑い日にたまげたなあ・・・ JK FLESHのステージといえばフードを深めに被ってプレイしているのが知られているとは思いますが、わざわざ首元までジッパー閉めてるし他に着る服無かったのかよw
ジャスティンがマイクを握ってモジュールとラップトップを弄りノイズが空間を埋め出し、ワブルベースが鳴り出す。一曲目は多作な奇人のドミニク・フェルノウのノイズユニットことPrurientとのスプリット「Worship is the cleansing of the imagination」から"Fear Of Fear"。ジャスティンがエビ反り絶叫という非常に稀な瞬間を見た・・・! どことなくConvergeのジェイコブさんを彷彿としますね。あとしかもマイクを握りつつアンプにソイヤッ!と拳を突き出すお茶目な一面も見てしまったw ただノイズを撒き散らしながら絶叫しているパワーエレクトロニックなステージングを見ていると近年のPrurientを想起させる一面もあったり。ダブステップ以降のエレクトリック・ビートにWSDのノイズが覆い尽くすという、云わば近年のインダストリアルの潮流の一つであるダンスミュージックに不純なノイズを混ぜていくテクノイズに接近したサウンドとも言えそうです。
そして何故JK FLESHがPrurientとスプリットを出したのか漸く理解出来ました。そのPrurientも昨年リリースした「Through the window」でこれまでのハーシュノイズ一辺倒な作風から一変してポエトリーリーディングを交えた冷徹なインダストリアル・シンセテクノを聴かせて世間の度肝を抜いたのも事実。といっても通常のテクノよりはやっぱりノイズ色があってこれもまたテクノイズの文脈に繋がり、JK FLESHとPrurientの共通点でもあり。ジャスティンがノイズから音楽キャリアをスタートさせてGODFLESHと平行してTechono Animalでテクノフィールドに踏み込んでいたし、ドミニクも同じ道をたどっているとも言えるでしょう。そのドミニク・フェルノウもVatican Shadowでローファイブラックメタルにインスパイアされたサウンドを披露していてまた類似点がありますし。あのスプリットは現時点でハイドラヘッド最後のリリースとなっていますが、先のトレンドを読んだとしても先見の明があるし最後の最後で大きな種を撒いたなぁ・・・ 因みにこの日お忍びで来ていたダブステップの名手ことGOTH-TRADもノイズからテクノフィールドに移行している方ですね。Daymare RecのボスやBorisのメンバーと談笑していました。

ああ、だいぶ話がそれた(苦笑)続いて二曲目は同スプリットからドローンギターリフとジャングルめいたブレイクビーツが交錯する"Deceiver"。ホワイトノイズやハウリングノイズが加味されて不穏な空気とビートが入り混じる感じはDemdike StareのTestpressingシリーズに近い印象もありました。で、この曲の高速なブレイクビーツでアドレナリン噴出。この曲ホントかっこいいわ。次はアルバム「Posthuman」から一転してダビーなハーフステップとざらついたノイズが特徴的な"Devoured"へ。裏の退廃的な映像を含めてバーミンガムの工業地帯やらブリストルの淀んだ空気を感じ取ったり。そして同スプリットから"Obedient Automaton"と来て未発表曲と続きます。ヴォーカルエコーをループさせてジャスティンの咆哮が鳴り響く中、ハーフステップ・ビートとハウリングノイズ&ハーシュノイズが組み合わさる地獄絵図のような様相に会場が陥るなど。それでもビート感は失われていないし、ノイズでも踊らせられる感じは凄いなぁ、やっぱり。最後は「Posthuman」からダブステップっぽい"Underfoot"とこれまた未発表曲?をやって締め。最後の曲はWSD名義だったのかFinal名義だったのか。欲を言えば"knuckledragger"や"Idle hands"も聴きたかったのですが、それはまた別の機会にということで。今回はノイズとダブが交錯するやや特殊なセットだったわけですが、ジャスティンのノイジーな側面がここ日本で初お披露目となり、改めてジャスティンがThrobbing Gristleから脈々と続くUKノイズ・インダストリアルの血の繋がりを再認識した次第。これだけでも来た甲斐がありました。

  • Russian Circles

SET LIST
1.309
2.Harper Lewis
3.Geneva
4.Burial
5.Carpe
6.Deficit
7.Mlàdek
〜アンコール〜
8.Youngblood

幾度と無く来日を熱望されたインストゥルメンタル・ロック/ポストメタルの巨人Russian Circlesが待望の初来日!んでもって本日は事前情報によりフルセットでやってくれるそうなので期待値がとても高かったのですよ。(LTAB本編では40分程度しかやらなかったそうな)
ショーは21:20過ぎ頃にスタートし、一曲目は彼らのセットのド定番である4thアルバムの「Empros」より"309"から。どんよりとしたイントロを経て軽快なドラムを叩きつつ、ダイナミックなアンサンブルが会場に響き渡る!そう!これを見に来た!明らかに日本から生まれることのない肉食性インスト・ヘヴィロックの極致。こう、獣性を伴った力技のインストロックって他に例が無いと思うのですよ。彼らの凄いところは叩きつけるようなバンドアンサンブルをテクニックとパワーで押し切ってしまうところ。勿論繊細なところもあるのですが。また、ドラマーのデイブ・クランツの躍動感がある手さばきも凄い。ポストメタル系統では意外にも手数が多くて全くダレずに聴かせる手腕はお見事。(因みにISISの欠点はドラムが弱いところ)それと下から当てられるライティングによってスティックを振りかざした時の見栄えのカッコ良さは二割増しぐらいありました。ホントマジイケてる。

そして特徴的なのはこういう系統では珍しくベースがゴリゴリと主張して来る部分。ここのベースといえば3rdアルバムの「Geneva」から加入したブライアン・クック(ex-Botch,ex-These arms are snakes)なのですが、流石鉄人。スキルが段違い。エフェクターペダルやサンプラーを駆使して音のレイヤーを重ねていくのが素人目でも上手すぎる。おまけに見た目のくまおじさんみたいな風貌のゴツさもヤバい。こう、サスペンダーを履いてビシッとガチムチ紳士な服装で

と迫られたら誰も拒否出来ないと思うのですよ。あの場に居た人はみんなそう思うはず。
ええと、話を戻しましょうw 二曲目は2ndアルバムの「Station」から"Harper Lewis"をプレイ。イントロからしなやかに打ち鳴らされるドラミングや、後のまるでメシュガーを彷彿とさせるゴリゴリなユニゾンリフもバッチリ決まっていました。この辺のややカッチリとした感じのマスロックを内包したようなところもこのバンドの持ち味だと思うのですよ。それから三曲目にはひたすらリズムとフレーズを重ねていく感じの。超ヘヴィーなベース・ラインとユニゾンリフが耳に残る"Geneva"(3rdアルバムのタイトルトラック)、四曲目にはダークというよりはむしろ邪悪といっても差し支えのないトレモロピッキングのフレーズが強烈な"Burial"(目下最新作の5thアルバム「Memorial」より) 、五曲目は儚いイントロからドラマティックに展開していくポストロックアプローチの"Carpe"(1stアルバムの「Enter」より)と続きます。
ちょうどここで40分ぐらいだったのですが、この日はまだまだ続きます。六曲目にはブラックメタル感化のシンフォニックなイントロがフロアを覆い尽くし、後半ではドラムが走り始めてシュレッドリフの応酬も加わるなど展開に飽きない"Deficit"(「Memorial」より)、七曲目の本編ラストは明るいメロディーを綴りつつも、ダークな雰囲気に変貌してゆっくりと谷底へ引きずり込んで最後には全てをなぎ倒す"Mlàdek"(「Empros」より)。この曲ではギターのマイク・サリバンが右手でタッピングしてフレーズを重ねていくなど技巧派な側面を見せつけていました。三人という限られた人数ながらも各人がマルチタスクで小技をねじ込んでいくのは見事と言うしかないですな。
アンコールでは「Station」より"Youngblood"をプレイして締め。緻密なフレーズが反復されるイントロからアップテンポで尚且つハイテンションに展開されるこの曲。後半のぶり返すような波のある展開も聴き逃せなかったです(終電ギリギリでとっとと帰りたかったのは内緒だ!)

終わってみればトータル一時間強。いやはや強烈なバンドでした。ポストメタル系統では新作を出したら新作しか演らないようなイメージがあったのですが、(特にISISがそうだった)、新旧満遍なくやってくれたセットでしたね。現在進行形で動いているジャンルの音楽鳴らすユニットと、音楽シーンの前線を走るバンドの音楽が激突した熱い夜でした。LTAB本編より充実度が高かったりして・・・w

上半期ベスト13枚+α

はーい、意識の高い()音楽クラスタ()がこぞって何故かアピールしている上半期ベストの季節がやってまいりましたよ。円安は続くはUSPSは値上げするわ、消費税は上がるわ(安倍SHINE!!!)で買えてない新作とかデジタルで買うしかない状況に追い込まれていますがまぁなんとかやっています(;´Д`) という訳で昨年に引き続き13枚をピックアップ。今回もアルファベット順で。
※バンド名・アルバム名・リリースレーベルの順(国内盤が出てれば両方表記&太字表記)Bandcampかsoundcloudのリンクもあれば追加。
【上半期ベスト13枚】

  • Ben Frost - A U R O R A [Mute Records/Bedroom Community/Traffic]


オーストラリア出身で現在はアイスランドレイキャビックを拠点として活動している電子音楽家による4thアルバム。第一印象でいえば昨今のポスト・インダストリアルの流れを組んだややノイジーアンビエントと、メタルパーカッションが織り交ざった電子音楽とでもいいましょうか。こう、インダストリアル化するチルウェイヴといった印象も。昨年リリースされたPete swansonのPunk authorityに近い肌触りでもあります。特にシューゲイジングするノイズと反復するメタルパーカッションが交錯し、飽和を迎える#2、メタルパーカッションがポストロック的ダイナミズムで展開される#4、MogwaiにLiturgyが憑依した(実際にLiturgyのGreg Foxが参加)としか言い様がない苛烈なブラストビートにぶっ飛ばされる#5、SwansのThor Harrisがパーカッションで参加して華を添えつつトライバルなビート冷徹の反復される#6など聞きどころ満載。どちらかと言えばインダストリアル系が好きな人よりもポストロック/ポストメタル/シューゲイザー好きは聴いてほしいと思う。2014年ならではの電子音楽でした。
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  • The Body - I Shall Die Here [RVNG/Diskunion]


00年代以降のドゥームメタルの爆心地とも言えるアメリカのオレゴン州ポートランドで活動するスラッジメタルデュオが、暗黒ドゥームテクノことThe Haxan CloakのBobby Krlicをプロデューサーに迎えて制作されたアルバム。通算五枚目。昨今のポスト・インダストリアルブームはとうとうドゥームメタル界隈まで伝染した模様。The Haxan Cloakの場合、元々Aurora BorealisからデビューしていてSUNN O)))のスティーブン・オマリーと親交があったりとテクノ畑の住人ながらもそう遠くないフィールドにいたわけで遂に具現化したか!っていう。The Bodyの方も聖歌コーラス隊のAssembly of Light choirとコラボレートして暗黒舞踏ドゥームメタルを繰り広げたり、某オウムの尊師の声をサンプリングしてサリンを讃えたりなど頭のネジが弛んだヤツラですが、実際今作はどんな感じになったかといえばわりかし予想通りなインダストリアル色強めのドゥームメタルといった感じに。ゆっくりじっくりなぶり殺される陰鬱なスラッジソングの#1,もはやホラー・ドローンドゥームな#3、リードトラックとして発表されてドゥームメタルとベースミュージックがファックしたとでも形容せざるを得ない#4などが特徴的でした。ただ欲をいえばあまりに小奇麗にまとめ過ぎてやや物足りなさを感じるきらいも。でも今のところは気に入ってるので取りあえず選出。
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  • BORIS - NOISE [Sargent House/Daymare Recordings/Tearbridge Records]


日本を代表し、世界においても比類なきバンドであるヘヴィーロックトリオの最新作。通算19枚目のフルアルバム。メジャーリリース二作目。遂に出た!大文字名義としては6年ぶりの作品ですが、やっと膨大なディスコグラフィーを総括できるアルバムができたなぁ、と。ヘヴィーなロックを追求する名義のBORIS、エクスペリメンタルなサイドに沿った実験色の強い音楽性のboris、そしてそのどちらでもなくあるいはどちらでもありメジャー志向とも言えるBorisとこれまで名義を使い分けてきましたが、今回は多様な音楽性の振れ幅を持ってあえて大文字名義に回帰しリリース。今作は基本軸にポップっていうのが据えてあるような印象が強いです。轟音ながらも"ポップ"なメロディを聴かせる#1,ヘヴィロックチューンながらも突き抜けた"ポップ"感がある#2,あからさまな"ポップ"なチューンな#5,長尺曲のながらも歌モノ曲として"ポップ"に聴かせる#6、そして異色のスラッシュメタル・"ポップ"な#7など。ポップ≒ノイズかー?と邪推したくもなるようなw ノイズっていうのは人によって捉え方は様々で、ヘヴィーミュージックに慣れ親しんだ人ほどポップソングをノイズとして捉えるだろうと。そういった意味を含めてタイトルを飾ったのは上手いなぁ。様々な音楽性を一枚に詰め込む事に成功しているので、Boris初心者はとにかくこれは聴け!っていう大推薦な一枚。
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  • EYEHATEGOD - S/T [Housecore Records/Daymare Recordings]


スラッジメタルを世に確立させたルイジアナ州ニューオリンズのバンドによる14年ぶり通算5枚目のアルバム。前作以降バンドには色々ありまして。バンドのリーダーであるジミー・バウアー(Gt)がPanteraのフィリップらと共にDownを結成して当のバンドが宙ぶらりんになって活動休止状態になったり(残されたメンバーはジミー抜きでOutlaw Orderを結成した)、地元にハリケーンカトリーナが襲来して自宅を含めなんもかんも崩壊したり、今作制作中にはドラマーのジョーイ・ラケイズが無くなったりと苦難の道が続きました。そして漸く届けられた今作はセルフタイトルなのですが、一曲目からパンキッシュに疾走してて新境地かな?となるも二曲目からはいつもと変わらないNOLAスラッジ節全開で微笑ましくなりましたw(NOLAとはNew Orleans, Louisianaの略語)ペーペーとフィードバックノイズと不協和音を撒き散らしてるのももはやトレードマークか。国家権力を嫌い苦悶と怒りに満ちたマイク・ウィリアムスの咆哮と、楽器隊が織り成すズルズルと這いつくばるような殺伐としたグルーヴ感。このバンドはこれだけでいいし、それ以外の事は求めていないですし。ややアップテンポな曲もありましたが、それらはArson Anthem(これまたPanteraのフィリップとマイク・ウィリアムスが結成したバンド)での経験もあるからなのでしょう。これはバンドのパンク的側面が現れてかっこいいんですけどね。NOLAスラッジマスターの無駄の無い作品。

  • HTRK - Psychic 9-5 Club [Ghostly International]


オーストラリアのメルボルンで活動しているシンセウェイブ/ポスト・インダストリアルユニットの三作目。バンド名の読み方はヘイトロック(Hate Rock)。元々トリオ編成だったものの、前作制作時にメンバーが自殺。それでも歩みを止めずに活動を続け、届けられたのがこのアルバム。時間が傷を癒やしてポジティブに捉えられるようになってから制作された今作では、ダビーなビートがゆったりと振り落とされて時間軸が歪んでいるような感覚に陥る程のサウンドスケープを見せてくれます。ゴシックかつセクシーなボイスがエロティックに感じてしまうところも特徴的。比較対象として挙げるなら昨年リリースされたTropic of Cancer(互いにスプリットをリリースしている)のRestless Idyllsが暗黒一辺倒のコールドウェイブだったのに対し、こっちはポジティブで耽美的なミニマル・ミュージックっていうのが相応しいかな。ズッシリ撃ち落とすダブビートとスモーキーなヴォーカルが絡み合う#1,白昼夢のPortisheadのような#2,か細いヴォーカルとリヴァーブのかかったサウンドとミニマルなビートがある種の陶酔感をもたらす#6などなど聴いているととてもうっとりとさせてくれます。The XXやPortishead、Tropic of Cancerが好きな人は聴いても間違いない!と思うはず。
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  • Kyoka - IS(Is Superpowered) [Raster-Noton/inpartmaint.inc(P*Dis)]


ドイツのベルリンをベースに活動している日本人女性電子音楽家の初のフルアルバム。「踊れる電子音楽」を標榜して音楽の幅に囚われない、遊びゴコロのある低音重視の(インダストリアル)ダンス・ミュージックを提示。本人が口々に言うかわいい音っていうのが何なのかは僕にもさっぱり分かりませんが、ダビーなビートやブレイクビーツを駆使しつつカットアップやボイスサンプリングを織り交ぜて音のレイヤーを重ねていく手法は面白いなと感じました。特にボイスサンプリングは殆ど意味がないらしいってのがまたw 声も音ってことなんでしょうか。ズッシリとしたマシーナリービートが心地良い#5,ほぼ意味不明な言葉遊びがそのまま曲になっている#10、1,2,1,2,3とカウントしてから往年のTechno Animalを彷彿とさせるブレイクビーツを乱射する#11などなど。かわいい(テクノ)は正義!
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  • Millie & Andrea - Drop The Vowels [Modern Love]


UKのダークなテクノレーベルModern LoveのオーナーであるAndy Stottと、同レーベルの看板アーティストことDemdike Stareのメンバーであるmiles whittakerの二人が変名で組んだ実験色の強い変形ジャングルユニット。そして今回が初のフルアルバム。両者ともダークなミニマルダブをやってるいるのは周知の事実だと思いますが、こうも享楽的な音楽を作れるんだなと。(少なくともDemdike StareはTestpressingシリーズでその片鱗を見せていた)あくまでインダストリアルを中心に捉えつつ、ジューク〜ジャングル〜ダブを行き来するトラップミュージックを提示し、明らかに踊らせに来ていてすげーなという感想を持ちました。ただ両者ともまだ実力を出しきってなくて腹八分目な印象をうっすら感じてしまうのも事実。それでも「醜いままであれ」とアイロニックなタイトルが特徴的な灰色のジャングルベースソングの#2,PitchforkでBest New Trackを獲得した暗黒ブレイクビーツ速射チューンの#5,本来のAndy Stottのサウンドに近い畝るミニマルベースな#7,そしてDemdike Stareの意匠のような不穏なダーク・アンビエントがアルバムを締める#8など存分に聴かせてくれます。これも2014年ならではの最新音楽。
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  • St.Vincent - S/T [Loma Vista/Republic/Hostess Entertainment]


インディー・ロック界の女王St.Vincentことアニー・クラークさんの通算四枚目のアルバム。今作は古巣の4ADを離れてRepublic Records内のレーベルのLoma Vistaよりリリース。当初は気に求めていなかったものの、フジロック来るんだーとのことで予習がてら聴いていたらズブズブハマってしまったという恐ろしい作品・・・!四枚目にしてアーティスト名をタイトルに飾って見たいものを見せてやるわ!的な岡崎京子ヘルタースケルターみたいな見世物小屋感覚に端を発しているかはどうかは分かりませんが、トレードマークのエキセントリックかつファンキーなギターワークとあま〜い歌声が織り成すポップソングは今回も健在。そしては今作はダンサンブルなチューンも多く占めていて圧倒的な高揚感に包んでくれましたよ。ファンキーなギターフレーズとアップテンポなビートが独特のグルーヴ感を産み出す#2,しっとりと歌い上げるバラードチューンの#3,PVの渾身の池沼演技も話題なブラスセクションが味わい深い#5、ファズ・ギターをブーストさせつつコーラスパートの気持ちの良い歌声で充足感が得られる#7などなど。インディー・ロック界最高の女声SSWとして堂々とした作品。
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  • The Soft Pink Truth - Why Do the Heathen Rage? [Thrill Jockey Records]


↑よく見るとR-18画像なので拡大要注意
ブラックメタルはゲイ
アメリカの変態電子音楽デュオMatmosの片割れである(ゲイを公表している)Drew DanielによるThe Soft Pink Truth名義の全くまともじゃない三作目。なにがどうしてこんなことになったのか。ブラックメタルの名曲をメジャーマイナー問わずにハウス・エレクトロカヴァーするなんて・・・! 当人の考えいわく、「ブラックメタルの音楽性は評価するが、人種差別的であったりペイガニズムだったりナチズムを孕んでいる精神性を冒涜して呪ってやる!」というコンセプトに基づいているそうです。詳細なステートメントなどはここで。ブラックメタルはピュアでトゥルーであればあるほどどうも滑稽に見えてきてしまうのですが、こういう(精神性を攻めていく)形でコケにしているのは中々新鮮。エレクトロにカヴァーしてもやっぱりそれっぽく聴こえるVenomのカヴァーの#2,R&B調にするわ(Wye OakのJenn Wasnerがヴォーカルで参加)喘ぎ声はサンプリングするわでめちゃくちゃなSarcofagoのカヴァーの#4,Locrianのテレンス・ハナムが強烈なスクリームで脇を固めるもエレクトロな印象は薄れないSargeistのカヴァーの#5,Hellhammerをブレイクビーツでカヴァーしてある意味"マニアック"な#9と、バラエティ溢れる作品です(?)せっかくなのでBurzumのRundgang Um Die Transzendentale Saule Der Singularitatのカヴァー(フリーDL可)とひたすらブラックメタル系のイントロとアウトロを集めた謎すぎるミックスのリンクも貼っておきますね。あとホモホモしいPVも。

  • SWANS - To be kind [Mute/Young God/Traffic]


10年代SWANSの三作目。通算13枚目。今作はマイケル・ジラ自身のレーベルYoung Godを離れ、ノイズ・インダストリアル系老舗レーベルのMuteよりリリース。今作も前作同様に二時間の超大作であり、これにて冥府魔道の道も遂に第三弾と。延々と続く呪術的なミニマリズムを突き詰めた作風は前作と変わらないのですが、今作ではライブレコーディングを敢行した曲もあり、ダイナミックかつよりフィジカルによりダイレクトに訴求する作品となりました。なんと今回は人間賛歌的な側面もあって驚きを迎えています。Toolを引き合いに出せそうなストリングスが特徴的かつ、毎度お馴染み打ち鳴らされる金管が絶妙なアンサンブルを放つ#1,30分以上の大曲であり前作の「The Seer」の続編としての意匠を引き継ぎ延々と続くミニマルビートが高揚感をもたらし、マヤ文明宜しく太陽賛歌とも言うべきコーラスが続き、終いにはスペイン語でまくしたてながら半狂乱で神を讃えライブレコーディングで録音された#4,St.Vincentをゲストに迎えて不愛を題材としつつ気味で美しいデュエットを聴かせる#5,得意のミニマリズムを持って、とてもじゃないが還暦を迎えた大人が書いた歌詞とは思えない「ニャンニャンニャン!ファックファックファック!お前の名前はクソ!」という叫びが強烈な#6,バンドの初期を彷彿とさせるグルーヴ感が堪らない#8、まさかSWANSに泣かされる時が来ようとは・・・としか言えない人間賛歌をアコースティックで歌い、ラストは全てが崩壊するアルバム締めのナンバーの#10。今作には抗えない説得力があり、各地のレビューで絶賛を浴びるのも頷けるの納得。やっと時代がSWANSに追いついたか。今年これを抜きにして音楽を語ることを許されない強烈な超大作。なお日本盤では昨年来日して代官山UNITの電源を落として半ば伝説化しているライブの"Coward"が収録されていて、アノ雰囲気そのまま封じ込められているでオススメです。
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  • Thou - Heathen [Gilead Media/Robotic Empire/Howling Mine]


アメリカのルイジアナ州バトンルージュで活動しているスラッジメタルバンドによる、膨大なリリース量を誇るものの意外にもフルアルバムとしては四作目。多産なことで知られるバンドですが、調べたら昨年は一枚もリリースされていないんですね。今作は凄いです。ゲロゲロデロデロな極悪スラッジメタルに悲哀のこもった激情的なメロディーが高次元で融合を果たしているという信じられない一枚に仕上がっています。前作の「Summit」やその前作のアウトテイク集の「The Archer & The Owle」に収録されているPygmy Lushのカヴァーでもその叙情的な片鱗を見せていましたが(後者は特に顕著)、今作で遂に爆発。全10曲74分という大作で間にインタールードを設けて聴かせる作品に仕上がっている事に脱帽。荒涼としてスラッジリフが5分程続いてから漸く苦悶する絶叫が悲喜こもごもに放たれ、叙情的なメロディーとないまぜになる#1(この後のインタールードの重たいアコースティックギターも最高),人外めいた絶叫が響いているのにも関わらず、メロディックなフレーズがドラスティックに展開され頭から離れない#6、抗えないメロディックなフックと後半のトレモロリフが寒々しく綴られる#7,Wolves In The Throne RoomのTwo Huntersを想起させる女声ヴォーカルをフィーチャーして完全に泣き落としにかかるスラッジソングの#9。私的には現時点でこれが僕のアルバム・オブ・ザ・イヤーかな。これを超えられる作品に出会えるといいのですが。ところで今年もThouのリリースラッシュは始まっています(白目 Summit以前にリリースされたEPを一つにコンパイルしたCeremonies of Humiliation、まさかの危険な遭遇を果たし狂気のスラッジデュエットをかまして頭痛がひどくなるThe Bodyとのコラボ作のReleased from Love、そして今作のアウトテイクにあたり非メロディックな従来のThouに近いサウンドが聴けるThe Sacrifice、(ヘヴィードローンソングやまたしてもニルヴァーナのカヴァーも収録w) などリリース攻勢が止まらないっ!
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  • Trap them - Blissfucker [Prosthetic Records]


アメリカのワシントン州シアトルやマセチューセッツ州セイラムで活動しているダーク・クラストコアバンドの四枚目のアルバム。前作の「Draker Handcraft」をリリースした後にしばしの充電期間を経てリリースされた今作。かのBlack Breathが注目を集める以前からConvergeと並んでEntombedやスウェディッシュクラストの影響をもろに受けたサウンドだったバンドですが、前作で見せたロックンロール色や新境地とも言える叙情的なサウンド(Drag The Wounds Eternalが特にそう)を封印。その一つ前の「Seizures in Barren Praise」を彷彿とさせるグライディングなサウンドに回帰。ドラマーが交代して元The Red Chordの人が加入したのも貢献度が高いと思いますね。といっても今回はミッドテンポに重きを置いているのか渦を巻いたようなカオス感がたまらないです。そしてあえて後半にアルバム冒頭と似たような不協和音を垂れ流して、A面B面を混同させるアナログ盤を重視したような曲順も秀逸。D-Beatマナーな#1,マシンガンの如くカッチリとしたブラスト速射の#2と#8,ドロドロと怨恨渦巻くドゥーミーな#9,何度も同じヴァースが続いた後にブチ切れたがごとく「Bang on your Head!!」と絶叫した後ブラストビートが全てを粉砕してしまう#11など。痛快なハードコアアルバムに思わず脱糞ガッツポーズですわ。Trap Themは裏切らねぇ。
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  • White Lung - Deep Fantasy[Domino Records/Hostess Entertainment]


カナダのバンクーバーをベースに活動している女声ハードコアパンクバンドの通算三作目。今作から大手レーベルのドミノレコードに移籍。全10曲22分強でスラッシーに一気に聴かせる傑作。明らかにメタルノリ(トレモロリフなんかもあって創意工夫を感じる)で前のめりで突っ走るパンキッシュなハードコアサウンドに脳天直撃。特にカリスマ的なオーラを放つヴォーカルのミッシュ・ウェイ(バンドと兼業してViceやNoiseyのライター業もこなしている才人)のスクリームや力強い歌声には、全盛期のホールのコートニー・ラヴを彷彿させる感じがありますね。初っ端からカミソリの如くシュレッドギターが飛び出す#1,暴走特急の如く走りまくる#2,L7みたいなPVも含めややグランジテイストに感じられる肌触りの#4,芯の強いしっかりと伸びやかなヴォーカルが確固たるガールズパンクサウンドを確立させているとも言える#10。今年のフジロックのも出演が決定しているめちゃくちゃ楽しみ。

で、これで13枚。あとその他佳作とかEPなどいろいろ。
【次点&EP】

  • GODFLESH - Decline & Fall [Avalanche.inc/Daymare Recordings]


インダストリアルメタルの裏番長、13年ぶりの復活EP。怒りに満ちたヴォーカルと歪みきったベースラインに無機質なギターリフとハンマービートが反復されるという、GODFLESHのトレードマークは相変わらずで最早笑うしかないw Techon Animal〜jesu〜JK FLESHを経てダブステップ以降のビート偏重なサウンドは更に磨きがかかっている模様。このEPはまだ序章に過ぎなく、今秋リリースされるフルアルバムにて全貌が判明するというのでそちらも期待大。
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  • Floor - Oblation [season of Mist/Daymare Recordings]


ストーナーポップバンドのTorcheの前身に当るバンドであり、伝説のスラッジメタルとして名高いFloorの13年ぶりのアルバム。スピーカーがぶっ壊れそうな音がブーストしたような殺気に満ちたサウンドは今も健在。しかしどこかポップに聴こえるから不思議。
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  • Trash talk - No Peace [Odd Future/Trash Talk Collective]


アメリカのカリフォルニア州サクラメントで活動しているモダンハードコアバンドの通算五作目。Odd future移籍後としては二作目。クッソドープなThe Alchemistプロデュースのオープニングトラックから幕を開けるハードコアサウンドは掛け値無しにかっこいい。というか初期はパワーヴァイオレンスな作風だったのに作を増すごとにどんどんストレートなハードコアに変化していて面白い。D-Beatを取り入れた曲もあるし。


ドイツのベルリンで活動する電子音楽家の通算四作目。「ナイン・インチ・ネイルズを聴いて育った」「DJのやり方なんて知らないし、僕はトラックメイカーだ」と語るカンディング・レイことデヴィッド・ルテリエ。昨年注目を集めたPrurientのThrough The Windowの作風にも近い(もしくはVatican ShadowのRemember your Black Day)冷徹なインダストリアルテクノといった感じ。夜の高速道路を駆け抜けている時に聴きたい一枚。NINのGhostsⅠ-Ⅳが好きな人にもオススメ。
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  • Black Monolith - Passenger [allblack recording company]


耳の早いリスナー間では既に話題になっていた元DeafheavenのライブメンバーことGary Bettencourtによるワンマンブラックメタルバンドのデビューアルバム。基本軸としてはWolves In The Throne RoomやDeafheaven影響下のポストブラックメタルなのですが、このバンドのキーとなっているのがD-beatを大胆に導入してクラスティーな味付けに仕上がっているところ。引き合いに出すならHexisやYoung And In The WayやOathbreaker辺りでしょうか。ある意味型に囚われないサウンドで楽しく聴けます。
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  • Killing Sound - S/T [Blackest Ever Black]


かのWIRE誌の表紙を飾り一躍注目を集めている、ブリストルサウンド新世代集団のYoung Echo(Collective)。その分派ことKilling SoundのデビューEP。(メンバーにはTri-AngleからアルバムをリリースしているVesselも含む) サウンドの方はどんなものかといえば、同レーベルの看板アーティストでもあるRaimeと同様にメタル化するドローンに対するテクノ畑からの解答ともとれる高圧的なドローンテクノ。やたら録音レベルが高く、再生すると音圧に圧倒されます。デジタルリリース無しでアナログ盤初回プレスのみのリリースだったのにも関わらず、予約分だけであっという間にソールドアウト。レーベルとして異例の再プレスを行うなどその注目度が伺えます。
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雑感としてポスト・インダストリアルの文脈で語れるアーティストが増えたなーってのと、ドゥーム・ストーナー・スラッジ系のバンドは安定して聴けるなーってとこでしょうか。今年後半にも話題作も目白押しですし。私的に期待しているのがYOBとPallbearerとEarthとGODFLESHかな?あと元ATDI&元Mars Volta組のAntemasqueもか。Flying LotusとPrurientの新作も期待大。カスカディアンブラックのPanopticonも要注目したい。
あとYoutubeに上半期ベストのプレイリストも作ったのでコチラもどうぞ。
best of 2014 so far

Boris "Live noise alive"@新代田FEVER

重音と轟音と爆音の極致

やって参りましたこの日が。今更説明不要な日本のヘヴィロック・トリオのBorisが、久々の大文字名義BORISで新作の「NOISE」をリリース。そしてリリースに先駆けて新作を全曲披露するというワールドプレミアを行う(!)ということで万難を排して足を運んだわけです。更にオープニングゲストには日本が世界に誇る金沢の暴虐Hardcore rockバンドこと、GREENMACHiNEが参戦!昨年再結成をを果たし、今年から本腰?を入れて活動していくようでこれほどグッドタイミングであり好対バンな相手も居ないでしょう。

めでたいことにこの日はソールドアウト。そりゃそうでしょう、こんな機会逃したら死んでしまう!
以下バンドごとに感想などなど。

  • GREENMACHiNE



SETLIST
1.ON
2.Muddy
3.Red Eye
4.Cunt Maniac
5.Narrow
6.D.A.M.N.
7.Burdens of Karma
8.Slug
9.Black Summer
10.Anima
11.Fire Never Ends
12.Hammer And Burner
開演を前にしてフロアは既にパンパン。こんなFeverなかなか見れないな(;´Д`) そして時刻は19:10を回ってやや押したところにGREENMACHiNEのメンバーが登場。あれ四人?(それは後述) 
改めてバンドの歴史をざっくり振り返ると、1995年に結成し、1stアルバム「D.A.M.N.」を海外のストーナー系レーベルの名門Man's ruinよりリリース。そして続く2ndアルバムの「The Earth Beater」を同レーベルよりリリースした後解散。その後2003年に再結成を果たし、2004年にDiwphalanx recordsから「The Archives of Rotten Blues」をリリースするものの、金沢というエリアの難しさ故の問題なのか2006年に再度解散。(因みに今や伝説となっている2006年10月に行われたWizard's Convention下北沢シェルター3Daysの最終日に解散ライブを行い、その模様もDVD化された) 2010年に地元で一夜限りの再々結成ライブを行うも、沈黙は続きました。それから自体は急変。2013年の5月に再再再結成ライブを行い、それ以降「当面のライブの予定はない」と周囲をヤキモチさせるのも束の間、2013年後半には関西方面で幾つかのライブをこなし大々的に復活をアピール! そして半年経った6月に複数のライブをアナウンス!それで今に至る、ってとこですかね。
関東では長らくライブをしていなくて、八年ぶりって感じですか。そしてBorisとは同期で何度も共演していて、互いにストーナームーブメントを牽引して漸くここで・・・!っていう。前振りが長くなってしまった。一曲目はD.A.M.N.からのON。久々の挨拶代わりに一発かますぜ!ってムードがプンプン。そしてMuddyRed eyeで繰り出された地を這う超弩級のスラッジ・ロックンロールで悶絶。これはすげーな・・・ 全くのブランクを感じさせないパフォーマンスに唖然。気迫のこもった演奏による圧倒的な熱量で攻め立ててきてFever大炎上ですわ・・・ えーとそれでそう、メンバーについて。コアメンバーであるドラマーのDatsuさんとギター・ヴォーカルのMonzawaさんに加え、昨年からの再始動メンバーとして初期のベースプレイヤーだったYoshikawa氏(通称:将軍)が復帰。そして更には同じ金沢のハードコア・メタルバンド、The DonorのMAX氏がセカンドギターとしてサポートで加入。という新旧の血を通わせた四人編成となっているのでした。今が最強や!(個人の感想です)
そして四曲目には情念のハードコアチューンCunt Maniacで再度屈服。それからNarrowD.A.M.N.におけるあの時代のストーナー・ロックが勃興した空気感を音に封じ込めて尚且つ、今でも全く古びていないどころかビルドアップされている印象すら受けました。グルーヴィーで業の深いサウンドだ・・・ ここで思ったのはMAX氏の貢献度の高さ。コアメンバーの演奏スキルは言うまでも無いですが、サポートというのでリズムに徹するかと思いきや、中々に良いギター・ソロを聴かせてくれるではありませんか。リフもブリブリ鳴らして最前列右端で見ていた私のお腹にもガッツリ重低音が。 右のフロア袖の方を見るとネペンシスの根岸さんがエアギターで応戦していて微笑ましかったですw と、ここまでD.A.M.N.をアルバムの曲順通りにやっていたので当然次は2ndアルバムのThe Earth BeaterよりBurdens of Karma。アップテンポなリフの応酬!思わず自然とヘッドバンギングしてしまう!続く軽快なヘヴィロックソングSlugと来て次は
Black Summer!!!!!
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
そうだよ!!コレを待ってたんだよ!!コレをどれほど待ったか!最高の夏!!最高の初夏!最高の黒い夏!Black summerの夏!!3rdアルバムのThe Archives of Rotten Blues一曲目である豪快ハードコア(ブルース)・ロックチューンで会場は大興奮!!Fever大炎上!!モッシャー&クラウドサーファーも出現!!最高すぎてもうなんとも言えないこれは。続いてAnimaFire Never Endsとハードコアソングが続き焼きつくされんばかりのパフォーマンスにたじろぐ私。ラストは爆走ロックンロールチューンのHammer and Burnerで全て焼殺しかねん勢いで吹っ飛ばしていきました・・・ 
もう笑うしか無いねコレw 比類の無い圧倒的なパフォーマンスをまざまざと見せつけた正味50分なのでした。改めてセトリを見るとバンドの歴史を順に追っていった組み立て方ですね。欲を言えば2ndから二曲しかやってないし、もう少しやって欲しかった気もします。だからねぇだからねぇ、うおおおおおまた関東来てくれええええ!!!!

事後。

GREENMACHiNE終演後、一度暗幕が閉められ転換へ。この時点でもう耳がキーンとなっててダメージが・・・w やや時間がかかるかな?と思ったものの、20:30ぐらいには開演。案の定初っ端からブワーッとスモークがががが。

SETLIST
1.黒猫メロディ
2.Vanilla
3.あの人たち
4.雨
5.太陽のバカ
6.Angel
7.Quicksilver
8.シエスタ
アルバム再現(初お披露目)ライブなので当然一曲目は黒猫メロディから。抗いがたいキャッチーなコーラスやメロディを主軸としつつも、それと相反するようにベースラインがグラインドして鳴り響いて体(鼓膜)を震わせ、轟音のハーモニーを放出するといった感じでしょうか。挨拶代わりとして、ライブでの一曲目のつかみとしてはとてもいいと思いました。続いてリードトラックでありミュージックビデオも作られたVanillaへ。PINKやメッセージやフレアのような系統の王道ロックソングですが、ある種の突き抜けたポップ感覚が非常に中毒性を喚起してくれます。そして忘れてはならないのが曲後半のビッグなブレイクダウンから飛び出すSleep直系のストーナーリフ。過去にもHeavy friendsやあくまのうたのようなストーナーチックな曲はありましたが、ここまでモロだと思わず笑ってしまう。これメジャーフィールドで響かせてるってと思うと感慨深いですな。このアルバム冒頭二曲を実際に体感して思いましたが、メジャーに行って培ったポップ感覚が漸く結実を見たかなぁと。そのメジャーリリース一作目のの「New album」は本当になんだかよくわからなかったw「メジャーリリースってこういうもんなんでしょ?」と意図したのかある意味で実験的なアルバムでしたし。「(従来のファンには)拒否反応が起きても当然」とかAtsuoさんが語ってような覚えもありますが、今となってはアレが私達にとってのノイズなんだろうと。そういう風に結論づけてますね、私達にとっては。

三曲目はあの人たちサイケデリックなメロディに包まれてしっとりと歌い上げるこの感じはどことなく栗原ミチオさんとのコラボ作の「Rainbow」に収録されていても違和感が無いし、SMILE収録の花・太陽・雨(PYGカヴァー)にも近い印象を受けます。歌モノだけどエクスペリメンタル、みたいな。それからへ。冒頭で何度かチューニングを合わせていてやたらビガガガッ!と鳴ってて不失者みたいに聴こえていたので曲の一部か!?と思ったけど違ったよね`,、('∀`) '`,、 いつものか細い声でwataさんが歌い出し、はち切れんばかりのヘヴィーなスラッジリフ(SMILEの"タイトル無題"のラストによく似たリフ)が轟音を響かせて静寂を打ち消す。静と動のコントラストというよりは絶妙なアンバランス感が息をつく暇もない空間を形成している、という印象を受けました。特に静寂からのドカーン!とダイナミックな展開には思わずヒエッ・・・と竦むような気分に。MogwaiのFear satanとかCorruptedがよく演るようなアレですよ。体に悪いよコレはw 次は太陽のバカ。これがまたらしくないポップソングでw もうなんかロキノンくさいっつーかギターロックっつーか・・・うん。(ギターロックってなんだよ!!!ロックってギターで演るもんじゃねーのかよ!!!) これもNew albumに入っていたような(Boris)らしくなさを楽しむ曲なんでしょう、きっと。我々は試されているのだ! と、五曲目が終わって一度ブレイク。ここでAtsuoさんがMCを。「えー、こんばんは。ここまでA面とB面が終わりました。それでは引き続きお楽しみください。」(うろ覚え)と言っていました。曲順もやっぱりアナログ盤ありきで考えていたことが伺える発言ですね?アルバムをサラッと聴かせるテンポも大事ですしね。

ライブも中後半にに差し掛かり、長尺曲のAngelへ。クリーントーンのギターの音色がフロアへゆったりと鳴り響き、それと呼応するようにドラムも歩調を合わせて叩き出す。(ここはfloodっぽい展開)独特の不安定なTakeshiさんの歌声が張り裂けそうな緊張を紡ぎ出していく。wataさんの長めのギターソロが華を添え、強く歌い出したと同時にサウンドもピリオドへとゆっくりと進んでドラマティックな方向へ。(ここはfeedbackerを想起させる)そしてバンドの新たの境地とも言えるオーガニックな展開を迎え、トレモロリフがポストロック/シューゲイザー的なアプローチで空間を埋め尽くす。本当に気持ちが良かったな、ここは。だがも束の間の一時であり、不意に冒頭と同じメロディへ回帰して終焉を迎える。ってとこですかね。大抵の場合、今までの感じだとこういう曲は一番最後に持ってくるかと思うのですがあえてここでっていう。がっつり堪能させていただきました。続いて狂乱のスラッシュメタル・ポップナンバーのQuicksilverへ。猪突猛進で突っ走るこの曲でモッシャー発生w やたらとなんか漢くさいシンガロングパートも笑ってしまうほど良い。しかし何でしょうここまで分かりやすく2ビートで疾走するこの曲に変な違和感を覚えるのはw スラッシュメタルやってみました感凄い。まぁ、かっこいいので良いのですけども。過去にTorcheとのスプリットで"Luna"っていうブラックメタル・ポップソングがありましたけど、それに近い印象も。あとPINKの俺を捨てたところ(今更ながらブログ名はこれから取った)〜SMILEの枯れ果てた先〜New albumのTu,la laと同じ系譜に連なっているとも感じました。曲の終盤では皆さんお待ちかねのスラッジ・ドローンパート。Atsuoさんも立ち上がってfloodのライブでもお馴染みのエフェクターオシレーターかな?)をかざしてノイズ大噴射の爆音ホロコーストタイム!当然というか恒例行事というかAtsuoさんがステージ前に現れてイーヴルホーンを掲げつつ、クラウドサーフを敢行!

ある程度のところまで行ったら押し戻されるっていう、絶妙なファンの空気の読み方と息の合い加減w そして戻って演奏は続き、締めのシエスタへ移行した先でハプニングが。イントロを少しやったところで
(アンプの)電 源 が 落 ち ま し た
今年の1月にUFO clubでラストにVomitselfを演った時も途中で電源が落ちたそうなので、ある種の芸風化しつつあるのかもしれません(?) 当然アンコールも無しでライブは終了。正味70分ぐらいだったかな?という訳でアルバム完全再現ならずで無念!次は9月に代官山UNITでリベンジですかね。7月下旬から8月下旬までアメリカでヘッドラインツアーをこなしてからの凱旋ライブになるので、また一層ブラッシュアップしたものを提供してくれるはず。
両者ともに現在進行形で鳴るべきところで鳴るべきを音を鳴らすバンドの最高で最高なライブでした、と。

↑物販で売っていたGREENMACHiNEのGODFLESHのS/Tリップオフシャツ。思わず衝動買い。

Earth@新大久保earthdom

ネ申 再降臨!
ヘヴィードローン・ゴッドにして、最近はダークアメリカーナ路線を突き詰めたことをやっているEarth=ディラン・カールソンが再び日本の地を踏む!。前回から一年と九ヶ月ぶりの来日かな。ヘヴィーな側面に揺り動いたとされる新作のリリースを9月に控え、今回のツアーで新体制及び新曲も交えた新機軸を見せつけてくれるということなので行かねばなるますまい!ということでレポ。

  • 感想

遅れて会場に着いたのが19:15分ぐらい。既にオープニングゲストのNepenthesが得意の泥酔ドゥームメタルをプレイしていました。

とりわけヴォーカルの根岸さんの5時からのドゥームメタルな見てくれで暴れる様は最早恒例となってきた感じがw ギターのSUTOさんも「オラ!酒よこせ!」と言わんばかりに最前のファンとボトルを回し飲みしていたのも印象的。毎度のことですが、まだデモ一枚しか出してない新人()バンド(今更言うまでもなく玄人揃い)なのに演奏に安定感あって凄いなー。デモ未収録の新曲もいくつかやっていたのでフルアルバムはよう!そういえばライブ終盤で根岸さんが振り回してたマイクがコードからスッポ抜ける→誰かの頭に当たる→自分の手元に転がるという珍事がw ステージを見上げたら根岸さんがコードに声出して歌っていたし、なんだこれwww ともあれ珍事も含め楽しいパフォーマンスでした。
何故かBGMにマッシヴ・アタックのメザニーンが流れる中、次はもちろんEarthです。今回はディラン(Gt)とエイドリアン・ディヴィス(Dr)に加え、今回はアシッドフォークグループのJesse Sykes & The Sweet Hereafterのメンバーであり、SUNN O)))&BorisのAltarやEnsemble Pearlにも参加しているシアトルコミュニティとしても名高いビル・ヘルツォーク(Ba)が参加。このビルの見た目が言い方が悪いように取られるとアレですが、レッドネックまんまの田舎の白人っぽくてヤバい。オリバー・ストーンのUターンに出てきそうな風貌。背が高くてガタイもいいし。あとディランの見た目ですがなんというか、ますます髭の生え具合が増して仙人というかドローンメタルの翁化しつつw すこぶる体調は言いようで何より。 オールドスクールメタルのパッチを貼り付けたジャケットを着ていましたが、バックパッチにカスカディアンブラックメタルとして名高いWolves In The Throne Roomのやつデカデカと貼り付けていて意外だなと。そういえば過去に一緒にツアーしたことがありましたわ。エイドリアンは前回同様パワフル姐さんですので何卒。そしてメンバー自らセットチェンジ&サウンドチェックを行い、20:30ちょい前ぐらいにライブがスタート。



セットリストはこんな感じ。
1.Badger's Bane(新曲)
2.Even Hell Has Its Heroes(新曲)
3.Old Black
4.There's A Serpent Coming(新曲)
5.The Bees Made Honey In The Lion's Skull
6.Rooks Across The Gate(新曲)
7.Coda Maestoso in F(Flat) Minor
8.Ouroboros Is Broken
9.タイトル未定の新曲

一曲目は前回の来日公演でも披露していたBadger's Baneから。流石に聴くのは三回目なのでイントロで分かりました。反復を基調とし、哀愁と黄昏感に満ちたダークアメリカーナチューンとでも言うべきサウンド。そして間髪入れずに新曲のEven Hell Has Its Heroesへ。この曲もアメリカーナ路線を踏襲した曲なのですが、やたらダウナーなコード進行に昔の影がちらほらと。あとギターをより動かしてフィードバック音を響かせていたのも特徴的。この曲の時だったか、ビルがベースを叩いて音を出していました。近年のEarthの特徴とでもいいますか、やはりメインはディランのギターフレーズの反復なのであくまでベースは縁の下のちから持ち的ポジションなのかなとベースプレイを見ながらぼんやり。
見た目のお陰でやや取っ付きづらい印象のあるディランですが、喋ると意外と声が高くて温和なおじさんと化す彼が一言。「今日は来てくれてありがとう。この曲はOld blackだよ。」と告げて前作の"The angels of darkness,Demons of light 1"よりOld blackを。前回の来日でもプレイしていた曲ですが、今回この曲ではややヘヴィーな意匠にアレンジを加えられていて、メロディーラインを抑えつつディストーションを加味した感じになっていました。元々チェロもフィーチャーされていた曲ですが、骨格が見えてきた、そういう印象を持ちましたね。それからまた新曲のThere's A Serpent Comingへ。この曲ではとにかく残響を重視したサウンドだったかと思います。珍しくギターを掲げて振ったりしてフィードバックドローンを鳴らしていたのが記憶に残っていますよ。そういえば例のギターについて。前回来日した時に「世界各地に預けておけば(来日した時に)何時でもプレイ出来るじゃん?」という理由で赤のハグストロムをDaymare Recordingsのボスに預けていまして。それで今回使ってましたが例のかわいいキャラクターのステッカーも健在w一部Twiter周辺でも話題にもなりましたが、アレはトキドキっていうキャラクターブランドなのだそうで。ディランってこういうの好きなんですね。だからといってディランはかわいい物好きの変なおっさんとかそういうツッコミはよしておくれ!w えーと、もっとも最近使っているのはエピフォンのSGだそうですが、今回は見当たりませんでした。
次にプレイされたのが前回の来日で個人的にハイライトでもあったアルバムと同タイトルのThe Bees Made Honey In The Lion's Skull。この曲といえばアレですよ、ディランがひたすらフィードバックノイズを延々と垂れ流しつつ、エイドリアンがドラムスティックをタクトのように振りタイミングを合わせて皆一斉にブレイク、というフレーズの繰り返し。そう、これを見に来たんだよ!!とりわけディランが本当に楽しそうにギターをブンブン振りまわしたり掲げたりしていたのが微笑ましかったですw やはりオリジネーターが鳴らすフィードバックドローンは格別ですね? 続いて新曲のRooks Across The Gateへ。この曲もダークアメリカーナ路線の曲なのですが、時折意表を突いたようにミュートしたりと面白い曲でした。そしてここでもややディストーションを重視しているようにも聞き取れましたね。そして次は"Hibernaculum"EPよりCoda Maestoso in F(Flat) Minorを新たなイントロを加えてプレイ。まぁ、プレリュードみたいなものでしょう<新イントロ ダークでもの悲しげなメロディを奏でつつ、徐々にディストーションが増して重厚なサウンドに変貌していくイントロ。正直これだけでも曲として出せばいいのに!とも思えるぐらい完成されてました。その重厚な前奏を経て本編に進行していきますが、ここでもやはりディストート強めといった印象。サウンド。の変化がバンドとして新たなフェーズへと移行しているのが窺い知れますね。
やはりというか当然本編ラストはバンドとしてもクラシックソングであるOuroboros Is Brokenを披露。ここでもまた新出のイントロを経てプレイされていました。「この曲はOuroboros Is Brokenダヨー」ってディランが言って違う音が流れてきたので???とはなりましたがw そのイントロを経て一発目から豪快に
デーン!!!
とビッグなリフを鳴らして来たところで思わず鳥肌立ちっぱなしですわ・・・ そうだよコレだよコレ!これを見に来たんだよ!!! なんかディランもフィードバック効かせながら白目剥いてたけどこっちも白目状態だよ!!!この曲ではかなりディストーションを強めて1st収録の原曲に近からず遠からずであり、再録版とも違うアレンジで演奏してて目からウロコ。独特の殺気が音から発せられていました。元々殺伐とした曲ですが、原曲を聴いた時にうっすら思っていたSaint Vitus(言わずもがなドゥームメタルのパイオニア)直系の地を這うようなヘヴィーさに確信が持てましたわ。(EarthはSaint Vitus直系だろ!と自分で勝手に思っている。実際バンド初期ではカヴァーもやっていたらしい) 
アンコールでは「今日は来てくれてありがとう、今から演るのはまだタイトルが決まって無いんだけど、別の何かのサントラに収録されるかもしれない。OK、それじゃあやってみようか。」と告げられてプレイされたのはタイトル未定の新曲。この曲はドローンと言うよりもひたすらミニマルにフレーズを重ねるダークアメリカーナソングでしたね。Earthというよりもディランのソロ名義のDrcarlsonalbionの楽曲に近い印象も持ちました。
これにてライブは終了。終わってみれば二時間弱たっぷりやってくれた事に驚き。今回はバンド(ディラン・カールソン)がヘヴィーなサウンドへ移行しているのを肌で感じられたいい機会でしたね。これは新作も期待できると感じられた良いライブでした。